ヒビ
だめだ。三巡目はカルナさんと会話するできなかった。街にも入らずに外を歩き回っていたのに。カルナさんは街の中で死んでいた。街中で騒ぎがあり、どさくさに紛れて中に入ると、そのには叫び泣き叫ぶ群衆と血の海が広がっていた。
○○○
玄関。
「おい! 何ボケっとしてる? 早く酒を買ってこい!」
僕は自分の舌を噛みちぎった。膝から順番に倒れ込み、口の中を血がみたす。
痛み
こんな痛み、カルナさんが味わったものとはかけ離れているだろう。
あぁ
思考が遠くなる…………
●●●
真っ白で無機質な扉。
「次の方、どうぞ。」
「………失礼します。」
机の向こうにはカルナさんがいた。
口を開けてポカンとしている僕に首を傾げ、優しく微笑む。
「……どうしたんだい? 座りなよ。」
「……………」
僕は座布団に腰を下ろす。
「君には転生する権利がある。それも………」
「お願いします。」
「…………わかった。欲しい力とかあるかい?」
「人の思考が読める力が欲しいです。」
「わかった。その願い聞き届けよう。」
彼女がそう言うと僕の視界はぼやけ、落ちるように僕の視野は暗くなって行った。
●●●
僕はまた草原に転がっていた。
●●●
僕は森まで来ていた。今回はバンゼルさんを頼ろう。何度目かの慣れた道を進んでいく。
……………? 足が前に出ない。
徐に顔を下げると………あぁ
僕の腹を2本の触手が突き破っていた。その触手には見覚えがある。多分あのでかいナメクジのものだ。そもそもナメクジに触手なんてあったか? さすが魔法の世界だな。
鮮血がダボダボ出ている。痛みは感じない。体が上に持ち上がる。
……………
意識がとお…く
○○○
玄関。
あぁ。やっぱり廻天は死んでも自動で発生するのか。ツァイトの置き土産だな。
呼吸を整えて。もう一度。
「おい! 何ボケっとしてる? 早く酒を買ってこ………………
●●●
無機質で不恰好な扉。
「次の方どうぞ。」
扉を開けて中に入る。そして、座布団に腰を下ろす。
「…………何か望むことはあるかい?」
「転生がしたいです。」
「そうだろうと思ったよ。どのような力が欲しいんだい?」
「………解毒する力が欲しいです。」
「承った。」
彼女がそう言うと、僕の意識は暗く遠くなる。
●●●
草原に転がっている。ポケットから宝石を取り出す。やっぱりだ。
宝石は少しヒビが入っていた。
このループは制限付きのものだ。でも何もつかめちゃいない。何も変わってない。あのときよりさらにひどくなっていってる。まだ、たった3回だ。それでももう何かが崩れていくのを感じる。僕自身が死んでいくような何かを。
でもさ、彼女は言ったんだ。
{探してこい。君の人生を}
と。
そうさ。僕がここで朽ちてしまえば彼女との約束も果たされない。
体を起こし、あたりを見渡す。今回は逆方向に向かってみよう。
僕は足を前へと踏み出した。




