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不登校男子、顔出しナシでバズった結果→元委員長Vと恋愛コラボするハメに  作者: はりねずみの肉球
【第1章 】 顔を隠して、声だけで世界とつながるはじまり
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スクールライフの記憶と、瑞希の影

自室に戻り、明日の配信で話すトピックを考えながら、ふと手が止まる。

 机の片隅には、中学時代の卒業アルバムが置かれていた。高校入学と同時に不登校になった俺だが、一応中学は卒業している。当たり前か。

 アルバムを開きかけて、一瞬ためらう。そこには、見たくない記憶も写っている。笑顔のクラスメイトたちの中心に、ぎこちなく立っている俺がいたり、あるいはクラス行事の写真で俺がうつむいていたり。

 だけど、そのページをめくっていくと、ある写真で小さく笑っている自分を見つけた。まだほんのり幼さの残る俺の隣には、同じクラスで学級委員を務めていた篠原瑞希の姿――といっても、あまり親しげではなく、クラス行事の一環で一緒に写っただけのショットだ。

 瑞希……小学校の頃はあんなに仲が良かったのに。いつから距離ができたんだろう。

 思い返せば、小学校高学年くらいから、彼女は“委員長キャラ”というか、とにかく責任感の強い優等生タイプに変わっていった。もともと明るくてみんなを引っ張る子だったけど、中学では完全に“リーダー”だったと聞く。

 あの頃、俺が“顔”をいじられていたときも、瑞希は何か言いたげな表情をしていた気がする。でも、彼女が直接止めに入ってくれたわけではなかった……。そんな淡い記憶が、胸をチクリと刺す。


「まぁ、昔の話だな」


 アルバムをそっと閉じて、心の中で呟く。今さら悔やんでも仕方ない。あの場で誰も助けてくれなかったのは事実だし、彼女もまた学級委員としてあれこれ背負っていたのかもしれない。

 ――そう思う一方で、記憶の片隅にひっかかる小さな映像がある。小学校の体育祭、俺が転んで怪我をしたときに手を差し伸べてくれたのは、確かに瑞希だった。あの時は心底ホッとした。

 ふと気づく。もし今、俺が普通に学校に通っていたら、同じ高校に在籍している“はず”だ。瑞希も高校一年だって聞いた。きっと違うクラスなんだろうけど、もしかしたらすれ違う機会くらいはあったのかもしれない。

 それが今の俺にはない。引きこもっているから、同級生の顔すらわからない。ましてや瑞希と再会するなんて、夢のまた夢だ。

 ほんの少しだけ、胸がきゅっとなる。何か話せることがあったなら――今さら遅い話か。

 そう思ってスマホを開くと、SNSのタイムラインに“MIZUKI”という名のVtuberが流れてきて目が留まる。アイコンは清楚系のお姉さんキャラ、フォロワーもなかなか多いみたいだ。

 コメント欄には「委員長っぽい配信者」「真面目そうで好印象」といった書き込みが並んでいるが、まさかね。いや、世の中には“MIZUKI”なんて名前は山ほどいるし、偶然だろう。

 そう自分に言い聞かせながら、なぜかそのアカウントを開いてしまう。ツイートの文面をざっと眺めると――確かに硬い印象を受けるけれど、時折“本音”が滲むような言葉も並んでいた。


《たまには素直に叫んでもいい……よね?》

《私、やっぱり配信のときが一番楽かもしれない》


 目についたそのツイートを見ながら、心がざわつく。人にはそれぞれ事情がある。俺と同じように、何か隠していることがあっても不思議じゃない。

 こんなにもVが普及している時代だ。たとえリアルでは交わらなくても、ネットの世界では誰かとすれ違っているかもしれない――まるで“すれ違う”ようにして過ぎ去るユーザー名。

 苦いような、でもどこか期待の混じった感情を抱えながら、そっとスマホの画面を閉じた。

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