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第一話 プロローグ
人形は、ただ音を鳴らす。
どこまでも空っぽの音を。
音に、感情を吹き込むのは。
誰、ですか――――?
お父さんは天才指揮者。
お母さんは天才フルート奏者。
お兄ちゃんは天才ヴァイリニスト。
皆は、すごいって羨ましがるけれど。
心は、その度に凍っていく。
だって、次に言われる言葉は。
『じゃあ、詩歌さんは何をしてるの?』
私は、父の、母の、兄の代わりじゃない。
私に、それを求めないで。
私に、それを言わないで。
いつだって、周りが求めるのは。
他の人の、幻影でしょう――――?
夕暮れピアノです!
更新は他の作品ともにマイペースに、不定期ですけど。
応援してくださったら嬉しい限りです。
なんかシリアスになりそうですけど、基本、私のはじめはこんなんです。