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Ep.3-32 〝再会〟


「少々ーー本気で遊んでやるかの……グレイス、ドロシーよ。お主らは先に二人の所へ行ってやれーーここは我が引き受ける」



ゴキッゴキッと手を鳴らして《魔将十傑》第五将ーージェイクと向き合う華麗。そこには、久々の〝獲物〟を見つけた狩人の目を宿していたーー。



「かたじけない……お先に行かせてもらいます」


「油断しないでね華麗ーーあいつ、()()()()よ……」



不穏な空気を感じ取ったドロシーが、華麗に警告を残し去っていく。


しかし、その〝予感〟は二人がその場を去る前に的中する形となったーー。



「お前らを行かせるわけにはいかぬなぁ……お前達はーー《天国行き》だっ!!」


くわっーー、と目を見開いてドロシー達の足元の時空を歪ませるジェイク。



「「っーー!!わああああああああ(きゃああああああああ)」」


「お主らっ!!」



バッーーと振り向く華麗だが、そこには既に二人の姿はなかったーー。



「ふひひ……さて、流麗なる御前ーー華麗様。邪魔者はいなくなった事ですしーー、我々()()()()で〝楽しみましょう〟かーー」


「……ゲスがーー!!」



プチッ、とキレる華麗とは対照的に不気味な笑みを浮かべるジェイクであったーー。



……………………。



灰色のダンジョンB6階層。


「ふんふふんふふ〜ん」


薄暗い洞窟のような一本道とは思えないほどのハイテンションで歩くポピィだったーー。


「お前……ずっとご機嫌だな……。そんなに()()が良かったのかーー?」


ポピィの手には、煌びやかに光る〝邪竜バルトロス〟のドロップアイテムの数々が入った袋があった。あの後広間を立ち去る前にしっかりちゃっかり回収していたのだ。


「ふふ〜ん。こんなにレアな素材なかなか手に入らないんだよ〜?〝邪竜の鱗〟に〜〝邪竜の牙〟……〝邪竜の魔眼〟に〝邪竜の心臓〟〜……ははっ!こんなにたくさんの素材があったらすっごい良い剣が作れるよ〜!!」


さすがは鍛冶師。これだけの財宝全てを武器に還元するつもりなのだろうかーー。ちなみにレックスもセシリアもユウキももれなく全員ドロップアイテムの残骸を持たされていた。骨まで全てである。



「でもさ〜、ぶっちゃけセシリアちゃんの《空間魔法》がものすごい役立ったよ〜!!ゴメンネ、入るギリギリ限界まで詰め込んじゃって」


「ううん……お役に立ててよかったです!私……大して何もできなかったから……」


「そんな事ないよ〜!……まぁ、セシリアちゃん大活躍の時に私思いっきり気絶しちゃってた訳だけど……あはは……」



頭をかきながら笑いかけるポピィ。皆大荷物だったが、当の本人は比にならない重量を抱えていた。特にその背中にはーー



「にしてもお前……本当にがめつい奴だなーー。まさか〝それ〟まで持って帰るなんて……」


「ふふ〜ん!いいでしょ!?ちょっとひび割れちゃったけど元がいい素材だからね〜。もしかしたら今日一番の収穫かも!!」



ポピィの背中には、《魔将十傑》第七将ーーロブルスの持っていた魔剣がーー。置いていくのは忍びない気がしたのだろうか……いや、彼女の事だ。ただただ純粋にこれだけのいい素材が使われた剣を放っておきたくなかったのだろう……。



「ん〜!!疲れてるけど……何だかあまり動いていない感じなんだよね〜。…………フローレイさん……だっけ?またいつか会ったらお礼を言っておかないと!!」



にこやかにてくてくと歩いていくポピィーー。その姿は、フローレイがかつての恩人と言っていたーー〝赤髪の女の子〟のように太陽のような満面の笑みなのであったーー。



……………………。



しばらく歩いた後、ようやく初期地点へと戻ってきた一向。そこには、ペシャンコになった槍を杖代わりにして座り込むアレンの姿がーー。


「お〜い!お〜い!!アレン……アレンッーー!!」


レックスが、アレンの姿を見るや側へとかけ走っていく。



「ん……?レックスか……それにーー!セシリア!!無事だったか!!」


「アレンさんーー!!よかった!やっと会えたあ!!」



満面の笑みで再開する三人。敵として潜入していたゼル(ロブルス)を除いたーー久々の再会であった。


「この人たちは……?」


ポピィとユウキ、ゼリー(スライム)に関しては面識のないアレン。一通りの挨拶が終わった後、これからどうするか作戦会議が始まったーー。



「つまり、ここが僕たちが落ちてきた地点の真下に当たるわけだから、どうにかしてこの上まで上らなきゃならないわけだーー。アレン、他に出口のようなものは無かったんだよね……?」


「ああ……先程〝邪竜〟がいた地点の広間にも、ここに来るまでの道のりにも出口という出口らしい穴の一つも存在しなかったーー。つまり、俺たちがここから脱出するにはこの上にどうにかして上らなければならない」



着いたはいいものの、皆頭打ちになっている状況。そんな中、何か〝天啓〟が降りてきたような閃きを放つポピィが、ポンッと手を打つ。


「そうだ!そういえばセシリアちゃん、ユウキさんに教わった魔法使えるようになったんだよねーー!!だったら、もう一回ユウキさんに空飛ぶ魔法とか教えてもらったらいいんじゃないですか!?」


「すごい……すごいですポピィさん!!その手がありましたね……」



すぅーーと、そこまで言いかけたセシリアに静止の手を差し出すユウキ。


「あ〜、悪ィ……あの技はな。そもそも俺が使()()()()だったからセシリアに教えられたわけだ……。つまり、空飛ぶ系魔法とか時空転移系魔法が()()使()()()()俺には、教えられる事は無い……」


一同がっくりしてその場にへたり込む。そんな中での出来事だったーー。



ボウゥゥゥゥゥゥンッーー


「っーー!!な………何だ!?」


「気をつけろ!!何かが来るぞ……!?」



突如ポピィ達の頭上に現れた紫色の魔法陣。咄嗟の出来事に先程まで緊張していた体が、素早い反応で対処に動く。


と、……その魔法陣からやがて、ホウキに乗った一人の少女が現れたーー。



「やっほ〜!みんな、おっ待たせ〜!!」


「っーー!?お前はーー」



陽気な声で魔法陣から出てきたのはーーユウキとポピィがよく知る仲間。《大魔女》ドロシー・R・フェイトだったーー!!

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