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Ep.3-31 〝黒幕〟


〝灰色のダンジョン〟B5階層ーー。


ドロシー、グレイス、華麗の三人は遂に〝茶色のダンジョン〟最下層と呼ばれる地点へと辿り着いたーー。



「っーー!!おかしいわね……ここが最下層のはずなのに……ユウキとポピィの魔気が感じられない……いや、それよりーー」


「ああ……いるな。先程の所にいたエドロという男とは比較にならないこの魔気……」


「何にせよ、我らの敵では無いがのーー。さっさと邪魔者を排除してこの階層を調べるとしよう。」



そう三人で作戦会議を終えたーーその時だった。



パチッパチッパチッパチッーー



B5階層大広間の中央にひっそりと佇む一人の老人が拍手で出迎える。その老人は一通りの拍手の後、杖をつきながらドロシーたちの前へと歩を進めた。



「いやはや……あなた方は素晴らしいーー。あれだけのモンスターをものともせずにこうして〝最下層〟まで辿り着いたーー。それに……まさかこうして、華麗様にお目にかかれるとは…………この老いぼれも長生きするものだと関心致しまする」



明らかに方便である。世辞の裏腹にどれだけのドス黒い心を宿しているのかーーその瞳は闇のように深く、一切の光を浴びていなかったーー。



「ご紹介が遅れてしまい申し訳ありませんーー。私は《魔将十傑》〝第五将ーージェイク・バルワッハ〟と申しますーー」


「「っーー!!《魔将十傑》第五将!?」」


目を見開き驚愕を露わにするドロシーとグレイス。華麗は見え麗しい前髪をサッーーと払い、ジェイクに向かって告げる。



「魔王軍の者かーー。ここにいたハズの人間二人、〝黒髪黒目の少年〟と〝赤髪赤目の娘〟を探している。心当たりは無いかーー?」



知らないーー。そう答えると華麗は思っていたーー。が、しかし。



「その二人なら、()()()()()にいますよーー。そこのドアから入れます」



ジェイクは丁重に華麗の質問に答えた。わざわざ後ろにある()()()()()に指を指し示しながら。



「っーー。そうか……礼を言う。行くぞ、お主らーー。」



スッーーと、華麗がジェイクの横を通り過ぎる。その時だったーー!!



「時に華麗様、一つ質問をしてもーー?」



一気に魔気を引っ込めたジェイクの行動に、若干の警戒を取る華麗は



「なんじゃ?あまりゆっくりと談笑をしている時間が無い故、簡潔に述べよ」



そう冷たく言い放ち、ジェイクはニヤッと不気味に微笑む。



「ずっと疑問に思っていたのです……なぜ我らの味方だった()()()が……何故人間と一緒に行動を共にされているのですか……?」


「なんじゃその質問は……どうでも良い事じゃろう。我にとってカーヴェラは友であり、利のある()()()()じゃ……。その仲間である此奴らも同様じゃ。お主にとやかく言われる筋合いは無いぞ?」



多少の不機嫌と苛立ち混じりに、華麗が答える。その様子を、警戒と共に不安な表情で見つめるドロシーとグレイスであった。


がーー、次の瞬間。全員が臨戦体制に入らざるを得なくなる。



「とやかく言われる筋合いは無い……ですと?笑わせるで無いわ!!『あの時』……『あの戦争』で……()()()がいればあんな《転生者》の小娘ごときに我らが負ける事はなかったーー!!そうすれば、今頃人間共は皆我が配下となっていたのにーー!!…………我が主ヘル・ゲザート様がどのような思いで魔王軍を再興してきた事かーー。()()()がどんな愚かしい決断をしたか!!ご存知なのですか!?すべて()()()がーー!!あなたが我らを裏切った事が、全てを狂わせた原因ですぞ!!《()()()()()()()()》ーー《吸血姫》華麗様!!」



ゴウッーー、と一気に爆発させた怒りが魔気となって部屋中を覆い尽くす。その禍々しさは、先程ユウキ達が対峙したロブルスとは比にならない程であったーー。



「華麗が……〝元・魔将十傑第一将〟って……嘘でしょ?本当なの?」


「……………………ああ、私も詳しくは知らないが……御前様から華麗様について聞いた事がある……。まさか、華麗様が〝第一将〟だったとは驚きだが……。まあ、御前様との取引によって魔王軍と手を切ったらしいが……」


ジェイクの放つ魔気に気押されながら、ゴクリッと生唾を呑むドロシーとグレイス。そんな中、どこ吹く風の華麗がジェイクに向けて侮蔑の表情で笑いかける。


「ハッーー知るか。そもそも我が〝第一将〟に付いたのはその前の戦で欠員が出た穴埋めのようなもんじゃろうが……結果だけを切り取って逆恨みで我の邪魔をするとは……相変わらず器の小さい奴が多いのぅ……()()()()



ジェイクの醸し出す魔気を、片手で作ったバリアで難なくやり過ごす華麗。さらに、続けて出てくる華麗の言葉は何とも冷徹なものだったーー。


「我はお前のような()()なぞ知らん。ヘルの坊主もあの時は《魔将十傑》にすら入れぬ低レベルのーー役立たずのガキだったではないか……」



華麗のその言葉に、怒りが限界まで達したジェイクが完全に理性を失う。



「っーー!!おのれぇ、貴様ーー!!我が主を侮辱した罪、絶対に赦しはせん!!」



ブワッーーと、ジェイクが暗黒の結界を作る。闇の(とばり)が、華麗達を包み込んだーー。



「そうか……貴様が今回の〝黒幕〟だな……。ハッーー!!面白い。《吸血姫》である我にケンカを売った()()な魔族は…………実に三百年振りだ!!」



《吸血姫》華麗VS《魔将十傑・第五将》ジェイクの戦いの火蓋が切って落とされたーー。

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