Ep.3-21 〝華麗の力〟一段目
「しかしーー、御前様。もうすぐそこに敵の援軍がーー」
そう言うカーヴェラ一向に向かって遠くからやってくるーー〝聖騎士〟の援軍が。
「見つけたぞ〜!!奴らだ!!〝あの方〟の邪魔をさせるな!!」
「やはり、私も残ります!!御前様を守るのが、私の役目ーー」
しかしそう言ったグレイスの発言を、カーヴェラは片手を上げて静止する。
「たかが〝聖国の騎士〟ーーたかがその数〝三百程度〟ーーだ。私を誰だと思っている?」
カーヴェラは右手でパチィンッ、と指を弾く。するとカーヴェラの瞳が変わり、纏っている魔気が先程までとは別物の質量へと変化するーー。
「魔族に魂を売って結託する程度ーーの奴に、私が負けるとでもーー?」
客観的に見れば《伝説の魔法使い》であるカーヴェラが負ける道理など一つもない。だが、今回は少し異質すぎる。
それ故に不安を募らせていたグレイスだったが。しかしーー
「わかりました。御前様、どうかご武運をーー」
カーヴェラの瞳に気押され、伏目がちにそう答えた。
「恩師、ユウキとポピィは必ず助け出すから心配しないで」
「ああ、思う存分行ってこい」
そう言い残して、ダンジョンへと突入する二人だったーー。
……………………。
「華麗殿ーー!!」
華麗の元へゾンビが一匹近づく。
そんなゾンビに触れ、華麗はーー
「ハッーー!気安く我に触れようとは分をわきまえぬ愚か者どもめーー。しかし使役されていると言うのも哀れなものよの〜……〝流血せよ〟」
華麗がゾンビに触れ、そう唱えた直後ーーゾンビの体内の腐った血液が徐々に流れ出ていく。
「怯える事はないぞ。放っておいても一分程度で体内の血液が全て流れ出ていくはずだ。そうすればあの者の中にいる囚われの魂もいずれ、肉体を失い天へと還るだろうーー。」
そう言って、近づいてくる複数のゾンビに触れて同様の魔法を発動する華麗。
その姿を見たグレイスはーー
「これが〝吸血姫〟華麗殿ーー。噂では彼女の〝右手一つ〟によって一度の戦で千の騎士が葬られたと聞いたが……まさかこれほどまでとは。」
「これ……正直言って、私達今回いらないんじゃないの?」
ため息を吐く二人に対して華麗は。
「心配するな!!流石に日の当たらない場所だと制限がかかってしまうが、ダンジョンなら深く潜れば潜る程、もっと便利な技が使えるはずじゃ!!」
空気を読めず、グッと親指を立ててピコピコと耳を振るわせる華麗。その発言が、さらに二人をどん底に叩き落とすのであったーー。
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ガキィンーースパッーーガガガガガ!!
先程から続く《防御職》のゼルーーもとい、《魔将十傑》第七将ロブルスVS〝名無しの英雄〟ユウキの戦闘ーー。
絵面を見れば魔族VS〝反転血種〟と言う、似た技を使う者同士の応酬のような場面であったーー。
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