Ep.3-20 〝再戦〟
「さて……と、自己紹介も終わったことだし……やり合おうじゃないかーー」
スゥーーと、背中から大剣を引き抜くロブルス。
「喜んでいるみたいだよ?このこの《魔剣ヴァルハラ》も君に会いたがっいたからね〜、ユウキーー!!」
ユウキも息を整え、先程倒した〝邪竜・バルトロス〟の元に行き、ポピィの短剣を引き抜く。
「ハァ……魔族や魔剣に好かれたって、こっちは嬉しくねぇんだがな……!!」
そう言ってユウキが短剣を構えたところで、再び戦いの火蓋が切って落とされたーー。
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〝灰色のダンジョン〟ーーB1階層。
本来〝茶のダンジョン〟であったはずのこのダンジョンだがーー、もう既に一階層から別次元の難易度に変わっていたーー。
「「「「グアアアアッ」」」」
大量のゾンビを群れに、ドロシー達は適当にあしらいながら次の階層への階段を急いで駆け目指す。
その合間にドロシーが、スキルーー《ステータスウィドウ》を開くーー。
そこにはレベル114×57 【ゾンビ】(使役状態)の文字が書かれていた。
「厄介ね……このレベルなら私達だけでもなんとかなるけどーーどう思う?グレイス」
「御前様の采配だーー。致し方無いが、これしかあるまいーー」
そう言ってグレイスは、先程のカーヴェラとのやり取りを思い出す。
パチィンッーー!!!
「あれ……おかしいな……私の魔法が弾き飛ばされるとは……いや、これはどちらかと言うと……」
先程現れた騎士の群れを適当に倒した一向は、カーヴェラが《星の魔法》でダンジョンの現状を把握するまで待機していたのでだがーー、
「……やれやれ、厄介な事になった。どうやら敵さんは予め《星の魔法》を使われた場合の《魔法無効》系の技をあらかじめ使っていたらしい……。つまり、だ。今このダンジョンで何が起こっているのかも、どんな奴が潜伏しているのかもわからない状態だーー」
手を挙げフリフリと頭を振るカーヴェラ。
「うーむ……我が見た時感じたのはまぁ……我の《血の匂い》に反応しただけじゃからの〜……まぁ、わかりやすく言えば勘というかそういう嗅覚というか……まぁそんなとこじゃから察知できたのやもしれんな……」
腕を後ろに噛む華麗。吸血鬼は時に危険な場所や人物を感知できるスキルを生まれ持っている訳だが……それは特殊な例だともいえよう。
「よしっ!決めた。グレイスーードロシー、君たちは華麗と共にダンジョンに入って中を見てきてくれ。ここまで用意周到な奴らだーー間違いなく、中も相当危険だろうーー。華麗もいれば、相当役に立つはずだぞ?」
「カーヴェラよ……我をこき使うとはこの代償ーー高く付くぞ?」
ニヤリーーと口の端をあげて笑う華麗。そんな彼女に向けてカーヴェラは人差し指を上に向けてあげた。
「お前が以前に言っていた……古代王家の墓に眠っていた〝純銀の指輪〟はどうだーー?吸血鬼は純銀が苦手だからなかなか入手が難しいだろうーー?」
「〝あれ〟かーー!!うむっ!いいだろう……それなら問題ない」
華麗もまた、カーヴェラに向けて親指をグッと立てていた。




