表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/61

Ep.3-10 〝灰色のダンジョン〟

   


B5階層ーー。


その地下へと続く階段は降りたところで行き止まりになっていたーー。


「一体どうなってやがる……なんだ?これ」


「行き止まりの地下ーーだなんて、不気味ですね〜」


「…………………」


「……………………」


「ぎゃあああああああああ」


「わああああああああああああ!!」


「きゅいい!?(何!?)」


やかましい悲鳴の合唱が、狭い階段を反響して木霊する。


「お前っ!なんでいるんだよ!?帰れっつっただろう!?」


「ユウキさんを置いて行って死なれたら後味悪いじゃ無いですか!?先に帰らされる方の身にもなってくださいよ〜!?」


「おまっーー勝手に殺すな!!」


ぎゃいぎゃいと騒ぎ立てる二人を、ポピィに抱きかかえられながらジト目で見るスライム。


しかしこれだけ騒いでも、全く開く様子のない行き止まりの空間だったーー。


「ハァ……にしても、なんで現れたんだこれ?今までなかったのに……お前、何かしたか?」


「何もしてないですよ!?ていうかさっき言ってた気配ってどこからしてるんですか?」


ポピィの言葉に、だんまりとするユウキ。


「……………………消えた」


「消えたーー、消えたって、どういう事なんですか?」


「わかんねぇ……階段を降りてる最中に、ふと消えたんだよーー。全く……何が何だかわかりゃしねえ……」


と、そこまで言った時の事だったーー。


「はぁ……とりあえず、もう一度上に上りましょう……ユウキさんの言う通り、危険なら一度立て直してーー」


そこまで言ったポピィとユウキに、急な浮遊感が襲う。


「あ……あれ、?」


「……………………やべっ」


「きゅい……(下……)」


「「ぎゃあああああああああああああーー!!!」」


奈落の底へと落ちるーー3人であった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「誰か〜!誰かいませんか〜!?お〜い!」


かつて落ちてきたパーティーグループの女の《魔法使い》セシリアが、落ちてきた場所から上に向かって叫ぶ。


辺りは薄暗く、赤黒い古びたレンガ質の一本道で、横幅3メートル程と若干狭めの空間だった。


そんな中、叫べど叫べど反応しない助けに、ただひたすらに虚しく木霊するだけだったーー。


「どうしよう……このまま誰も助けが来なかったらーーレックス……ゼル……アレン……みんな……怖いよ……」


今にも泣き出しそうなセシリア。


とーー、そんな時だったーー。


「いやああああああああああ」


ポニョ〜ンッーーー、コテッ、と。


スライムがクッション代わりになってくれた事で、大したダメージを負う事なく落ちるポピィ。


「いっててて……はっ!?スライムちゃん!大丈夫〜!?」


「みゅ……みゅいい〜(だ……大丈夫〜)」


クラクラと頭を天使が飛び交うスライムを前に、一応の無事を確認できて安心するポピィ。


とーー、


「うわあああああああああ!!助けて〜!」


ドシーンッーー!とダイレクトに床に落下するユウキーー。


「おいお前!ずるいぞスライムを盾にして自分だけ衝撃和らげるなんて……!!」


「わ……わたしだって意図して落ちた訳じゃないんですよ〜!?スライムちゃんが落下寸前にクッション代わりになって助ける〜って、助けてくれたんだから仕方ないじゃ無いですか!?」


場所をわきまえずぎゃいぎゃいと騒ぎ立てる二人を見て、おずおずと問いかける。


「あ……あの〜……あなた達は?」


「「……………………誰?」」


呆気に取られ、口をポカンとするユウキとポピィだったーー。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「あの……わたし、セシリアって言います!ずっと助けを求めてて……ぐすっひっ、ひくっ……」


涙ぐみながら自己紹介するセシリア。


どうしたものかと思い悩む二人だったがーー、


「そっか……ずっとこんな暗いところにいたら怖かったよね……。わたしはポピィ!私たちが来たからにはもう大丈夫だから、安心して!」


胸を張って元気づけるポピィ。


すっとユウキの方を見てグッと親指を立ててウィンクした。


「はぁ〜、メンドくせえなあ〜……」


頭をわしゃわしゃと掻きながらぶつくさと文句を言う。


「で……一体何があった?」


そう問いかけるユウキに若干怯えるセシリアだが……やがて。


「急に……ここに落ちてきて……進んでも進んでも出口が無くて……私のパーティーメンバーも、この先に進んでて……私はずっとここで……」


「誰かの助けを待ってた……ねぇ……」


コクッと、強く頷く。


「ユウキさん……ここって」


ポピィも気がついたのか、魔気を感じられなくてもわかるほどに圧倒的な〝異質な空気〟。


何が言いたいのか察したユウキは、ポピィにこう告げる。


「いいか……?これから俺が先頭で進むから、お前らは俺より3歩離れた場所からついてこい……何かあったらすぐにオレに知らせろ……いいな?」


二人が頷く様子を見て、作戦実行に移すユウキーー。


〝茶のダンジョン深層〟ーーB()6()()()の探索が始まったーー。

   

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ