今後の話
「?」
神塚先輩が口を開けたまま立ち尽くしていた。
「神塚先輩ー」
大声で呼ぶとどこかに行っていた意識が戻ってきたらしい。
「ナイスボール」
と言いながら、握手を求めてきた。
後ろから同級生の声が聞こえてきた。
「神塚先輩って、去年唯一高二でu18呼ばれたよな?」
後で調べてわかったことではあるが、神塚先輩は有名な選手らしい。打力の面はまだ伸びしろに期待という状態であり、現にこのチームでも七番を打つが、捕手としての能力は高校生トップとの判断から呼ばれているらしい。国際大会では急造バッテリーを組むことが多く、バッテリーエラーの多発、内野の連携ミスが課題になるので打力を犠牲にしてでも神塚先輩は必要になるのだ。
とりあえず、一年の投手組のブルペン練習が終わり、野手の方も練習を早めに切り上げて、交流を深めるために自主練習をすることになっ
俺はほぼ全員に囲まれることになった。今までも、イカれた片鱗を見せていたのだが、今回のことでついに聞かずにはいられなくなったのだろう。
「お前、今まで何をしてきたんだ?」
神塚先輩が単純に疑問を口にするように尋ねてきた。
別に信じてもらえなくてもいいので異世界の話をすることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リンシャ
「とにかく筋肉つけて投げる速さあげろ〜」
リンシャがずっと側にいて教えてくれたおかげで投げる石の速さもコントロールもついてきたのだがその時が来た、パチンと音がして、その後右肘から猛烈な痛みがおこり全く腕が動かなくなった。
様子を見ていたリンシャがミレーユを呼ぶ。
「ミレーユ、出番だぞ」
「ハイハイ、回復専門ミレーユちゃんだぞー」
トテトテというオノマトペがふさわしいように短い足で、金髪をツインテールにした可愛いい少女が走ってくる。
「組織修復」
と呪文を唱えると痛みが治まり、腕の感覚が戻ってきた。
「これ何が起こったの?」
リンシャに聞いてみると
「あぁ、靭帯が切れただけだ、一日中投擲を繰り返してたらいつか疲労で切れるだろうとは思っていたが」
表情に変化はなく淡々と言っているのが恐ろしい。
「喜べ隼人、一度切れた靭帯を魔法で回復させると出せる力が上がるぞ一緒に靭帯ぶち切りまくろうな」
宝石と形容した目が比喩を超えて輝いていた。