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第二話 兄弟はたいていが呼び捨て(無情)

 高二で既に扶養から外れ、ダンジョンドリームの第一人者として億万長者になったサグルだが、その実家は普通の戸建て住宅である。


 そして、そこに住むのはサグル含めて二人。


「ただいまー。あれ、サグル。どっか行くのか」

「おかえり、ナオキ。うん。ちょっとダンジョンマートに行ってくるから留守番よろしく」

「え、なら俺も行きたいんだけど。ちょっとまって、すぐ準備してくるから!」


 黒川直樹はサグルのひとつ下の弟である。

 最寄の高校という理由で偏差値を無視して私立の進学校に通うサグルとケイと同じく、自転車で片道5分の魔力に惑わされ新入生として今年度からサグルの後輩になった。


 兄弟仲は特に良いわけではない。

 けれど、悪くないのは確実である。


 ダンジョンドリーマーの兄を持ち自分もと一度は挑戦しようとしたものの、高校に上がるまでは許さないと言う両親に同意を得られず、半ば反抗期だったが、今日この日よりようやく解禁されることになった冒険者ライフにナオキは心躍っていた。


「ごめん、お待たせ」

「なんかデートっぽい言い方だな」

「は? きもっ」


 容姿は瓜二つ。黒髪に赤い瞳。強いて相違点を挙げるならば、ナオキの方が背も小さく華奢で、中性的に見られがちと言うことだろうか。


 黒川兄弟が同時に中学に在籍していた頃は顔が良すぎる兄弟として有名だった。そのため今現在高校で陰の者なれど、ナオキの登場により兄であるサグルに注目が集まるのではないのかと自意識過剰になっている。


 とはいえ、高校生活ですっかり交友関係を無くしたサグルにとっては一大事なことであり、もし知らない人間から声をかけられると心臓が飛び跳ねるだろうと予感していた。


 頼むから兄より優れた弟でいてくれるなよ。

 サグルは弟の高校デビューが失敗に終わることを望む。自分本位に人の幸せを願えないクズだった。


「金持ってきた?」

「え、入学祝いに買ってくれるって言ってたじゃん」


 くそ、余計なこと言ったな。4ね!

 サグルは過去の自分を呪い殺した。今のお前は誰やねん。


「でも、本当にいいのか? ナオキってスターダストってわけじゃないんだろ? 武器は買えるけど素の能力でモンスターと戦わないといけないんだぞ?」

「サグルだって戦闘に役立たない力なんだろ。変わらないって。ほら、早く行こうぜ」


 急かしてくるナオキの後を追うように玄関を出る。

 鍵を閉めて自転車に乗り、二人はダンジョンを中心に専門街となっている迷宮街へ繰り出した。

読了ありがとうございます!


短いですが細々と更新。次回ショッピング(with弟)

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