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第一四話 遭遇戦

 俺に任せろと言った勇ましさはなんだったのか。


「ぅぉーー痛たぁああああ!!?」

「サグルっ!?」


 防護服の上から、頑強そうな黒光りする顎をもつ昆虫型のモンスターに腕を噛まれていた。

 腕を大きく横に振ってモンスターを払ったサグルに、慌てて直樹が駆け寄ろうとする。しかしーー。


「来るな!」


 涙声でそれを制したサグルが、投げられて直後に、もう一度飛びかかってきたモンスターの軌道上に刀の切っ先を向けた。


 ブチュと、膜を破裂させるような嫌な感触を手にしたサグルが嫌な顔しながら、頭を串刺しにした刀を持っていられないとばかりに地面へモンスターを振り落とす。


 モンスターからは透明な液体が流れており、そのサイズからくる光景がグロテスクで、後方で見ていたナオキとカイトは気持ち悪さを覚えた。生理的な嫌悪感とも言う。


「はぁ……はぁ……ふぃ…………よし……ヨシ!」


 しかし、すでに深層までのダンジョン探索を経験しているサグルは、それよりも達成感に打ち震えていた。

 ピクピクと足が動いているが、頭を貫かれたら時期に動かなくなる。キューブ化するまでに少し時間がかかるので、それまでに刀を雑巾で簡単に拭ったあと納刀して、振り返る。


「とまあ、ダンジョンはこういうふうに鉢合わせから襲われることがままあるから、ナオキは特に気をつけろよ」

「いや、言ってる場合かよ!?」

「……腕大丈夫なのか?」


 サムズアップして、いかにも何事もなかったように教訓を伝えるが、十字路で不意打ちを受けたことに始まった顛末なのでどうにも締まりがない。


 何よりも、モンスターの攻撃は人を簡単に故障させるとニュースでも大衆に広く触れ回っているため、さしものカイトですら、嫌いな人間であるサグルのことを心配げに見た。


「大丈夫大丈夫。俺は特別頑丈だから心配するな」


 そう言って元気にブンブンと腕を振り回しているのも強がっているだけではないのかと勘繰るが、買ったばかりのウルフ服も小さな破れができてしまったものの軽傷といった様相にしか見えない。


 もしかしたら先ほどのモンスターのカミツキが弱かっただけなのかーーそう勘違いしたくなるくらい、サグルは無傷だった。


「あっ、だからって自分が噛まれても大丈夫だって思うなよ。俺だからこれで済んでるけど普通ならあの顎で骨まで砕かれるから、鳥羽は不意打ちが来ても絶対にナオキを守れるように気を張っとけよ」


 自分ができないことを強制する人間の小ささたるや。しかし、契約を違えないためにも忠告は受け取る。


「今日は沸きが少ない一階層だけのダンジョンツアーの予定だけど、二人にはそれぞれ1匹ずつは倒してもらうからそのつもりで。あっ、報酬は等分だから。これリーダー権限だから反論は聞きません」


 さっきの蟲型モンスターは最安価である。素材になる箇所が顎以外、使い道が見えていないためだ。

 そうとは知らない二人に強引にそう言って「とりあえず全てのルートを見て回るか」と話して、サグルは先頭を進む。


 サグルとしてはいつもタイセイやジンたちの後ろで盾を構えるだけの荷物持ちだったので、いざ彼らの役を担い、うしろの二人の肉壁となるとその難しさと力が伴わない自分には度胸が求められると実感する。


 リーダーは見栄張ってなんぼ。自信のない姿を見せれば仲間はついていく気が失せてしまう。


 自信はない。けれども歳上の威厳として、弟にいい格好したいお兄ちゃんとして、リーダーらしく自信家の仮面を被る。


 その効果があってか、襲われたばかりで痛い目を見た直後だと言うのにその立ち直りように、ナオキとカイトはサグルに対して先輩としての功を感じて、後ろをついていく。


 ほぼ新米冒険者と変わらない荷物持ちは、こうして弟らと共に第二の冒険者生をモンスターの討伐成功という形で幕開けさせた。

読了ありがとうございます!

ブクマいいね感謝!


それにしても、これが戦闘描写ですか?(自答)

そもそもモンスターの形すらふわふわして決めきれてないし毎日更新で目標らしい目標もないままうろうろさせるのはやっぱりダメだなって。なんか毎日更新のためだけの話になってしまった感があります。今回は特に、読んでくれた人はありがとうございます。

書く側にとって毎日更新で見切り発車の怖いところを見つけた気がします。とはいえ改稿はしません。立ち止まる時はエタるとき……。


次回は光石について予定。



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