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[短編]サイコロステーキよりティーボーンステーキとイルミネーションの思い出

掲載日:2021/12/03

『そういうとこ可愛くないんだよ!』

『あんたこそ、すぐ怒るくせに!』


 売り言葉に買い言葉。


 あっという間に、あたしたちは別れた。


 クリスマスも近いのに。

 ぼっちで聖夜を迎えるなんて寂しすぎるからと、友だちに頼み込んで男性を紹介して貰った。


 そして、初めてのデート。


 仕事帰りの高級レストランで、おすすめのワインに料理。

 顔は少し好みじゃなかったけど、全然アリ。


 元カレよりも、収入も高そうだし、落ち着いているし、優しいし。


「ここの国産牛は特別なんだ。年間の出荷頭数も決められていて、他では食べられない。

 桑名(くわな)さんは、こういうの好きかな?」

「はい。お肉は好きなので、嬉しいです」


 はにかみながら、あたしは答えた。


 実際、お肉は大好きだ。

 肉さえあれば、あとはビールがあればいい。


 元カレも同じで、デートは肉ばっかりだったなぁ。


 ワインをかたむけながら、また、元カレのことを考えてしまった。


 忘れろ、忘れろ。


 あたしは目の前で優しく微笑む彼に、にっこりと微笑み返した。






「それじゃあ、また」

「はい、後で連絡しますね」


 駅の改札口で別れて、彼が人混みの中に消えていくまであたしは見送った。


 ベタ惚れに見える?


 違う。

 絶対に帰ったと確認するためだ。


 あたしは彼が見えなくなった途端に、駅のタクシー乗り場へ走った。

 行き先は。


「すみません!がっつりティーボーンステーキ食べられるお店、お願いします!」


 運転手のおじさんは、最初はびっくりしていたけれど、あたしがお肉食べたいと連呼していると、最後には大爆笑で運転していた。


「もー、ダメなの!サイコロステーキって何?!」

「それはあんたに気を遣って、女性向けに食べやすいようにしてくれたんだろう」

「いーやーなーのー!お肉は、こう!両手で掴んで、かぶりつくの!」

「はっはっ!ねぇちゃん、そりゃ合わねえよ」


 あたしがさっきのデートの感想を大声で叫ぶと、タクシー運転手のおじさんはそう言った。


 そう言われたら、やっぱり元カレのこと、忘れられていないじゃん、って思った。


 口が悪いけれど、その大きな口でいつも美味しそうに焼肉を食べていた。

 あたしは。


「やっぱり、元カレの方が好きぃ〜」


 ワインの酔いが今さら回ってきた。

 泣きながらタクシーの窓から見た街のイルミネーションは、元カレと一緒だったいつかのクリスマスを思い出させた。


 タクシーの着いたお店に、元カレがいたのは、また別の話。




下野さんの3役熱演を期待。(*´Д`*)

叫ぶ巽さんも聞いてみたい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 始まりの物語に気が付いておりませんでした。 これはなんて可愛いヒロイン♡ タクシーのおっちゃんもいい人そうな雰囲気が出ていて、物語の始終、その情景が目に浮かびました♡ [気になる点] >…
[良い点] なろうラジオ大賞3から拝読させていただきました。 周回遅れで追いかけさせていただいております。 やはり、肉はがっつりがいいですよね。 サイコロステーキもいいですが。
[一言] お肉がたべたくなりますねぇ! たらこはサイコロステーキ好きですよ(。-ω-)
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