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勇者は、この世界を案内でき、更に戦力としても期待ができる賢者を連れ『ソシア』を旅立ち、魔王に操られし魔物の軍隊を打ち破り、凍てついた12月『ソシア』の国土を奪還し、『ポールン』の地に進撃していった、小国とは言え僅か3日で開放し、次は『ルーマリア』、『バルアリア』、『ギルシア』、『リューゴラスビア』、を開放、この頃に勇者は生涯の友となる女性騎士を迎え入れ、更に勢いを増し、『ドルツ』の領内へと足を踏み入れて行った、しかしそこで強敵と相まみえる事となる。
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憂鬱だ、私が何をしたって言うんだ、私は今、辺境伯に呼び出され馬車に揺られている。
何だってこんな変わり者をお呼びになるのだろうか。
其れに、この辺境伯、最近良くない噂があるそうだ、確か、「国王を口車に乗せて、私兵を増やしてる」だとか、「少し前結婚したけど相手は子爵の娘、これは不自然、なにかあるのでは?」だとか、「最近、やたら筋肉をつけているがこれはもしや、国王を拳で暗殺するため?!」みたいな...いや、最後のは無いだろ。
と言っても、大体有力な貴族のこういった噂話は絶えることはない、大概は妬み僻みからくる愚痴みたいな物、有名税みたいな物だろう、私の噂とは違うもだろうけど。
しかし、ホントに私が、何をしたってんだ...
今まで、話したこともないし、特に接点なんて無い、此方としては特に興味もない.
私が何時も通り、研究室にこもって魔法の研究と実験をしていたら、家で働いてくれているメイドちゃんが、手紙を持ってきてくれたた手紙の送り主の名前がピンとこなくて、メイドちゃんに言われて、初めて辺境伯だって気づいたぐらいには関係がない。
なんで呼出されてるんだろうか、失礼な事をした記憶もない
はぁ、これはもう考えても仕方ない、どうして、じゃなくて、どうすれば、を考えるべきか...いや、全く思いつかない、考えられるのは当たり障りのない挨拶ぐらい、失礼な事をした覚えは無いからいきなりクビキリってことは無いだろうから、なるようになるだろう...はぁ、着いちゃったか...
メイドさんに案内され、御当主様の所に挨拶に来ている、目の前には筋肉質で筋肉に違わぬ厳つい顔の男がいる、何かこの方凄く怒ってない?凄い怖いんだけど、ホントに何で呼出されたんだ?
「よく来てくれた、アベリア男爵、私はブラオ・リリー歓迎する」
「ど、どうも、リーラ・アベリアと申します、さっそくですが、本日はどのようなご用件で?」
さあ、私が何をしたのか白状してお貰おうじゃないか??
「実はな、君を呼んだのは私では無い」
じゃあ、誰が呼んだってんだよ、この家の誰とも接点ないぞ。
「...奥方様ですか?」
「いや、ヴェルトではないよ、君を呼んだのはノワール、私の娘だよ」
娘?確かメイドちゃんが「五年ほど前長女が、四年ほど前に長男が生まれた」って言ってた気がする、だがまだ五歳、その子が私を知っていることが変だ、もう文字は読めるだろうが、だからといって、私が出てくるような魔法書を読めるわけ無い、何処で私を知ったんだ?
「まあ、不思議に思うのも無理ないな、だが、実際に会ってみれば嫌でもわかるさ」
「そうですか...楽しみにしておきます」
「そうしてくれ、ではノワールの部屋へ案内させよう」
メイドさんに案内され、ノワール様の部屋へと来ている、少し女の子っぽさはないが特に変な所のない良い部屋だと言えるだろう、だがこの部屋の主は異質であると言える、何だこの子は、上級貴族の子供は皆こんなにしっかりしているのだろうか?五歳ならもう、挨拶ぐらい出来るだろうが、まだたどたどしく可愛らしい物だろう、だが目の前のこの子は挨拶から所作に至るまで、ほぼ完璧だ、本人の見た目も相まって、非常に美しい、いっそ不気味ですらある。
「本日、貴女様をご招待したのは、他でもない貴女に魔法をご指導頂をお願いするためです」
挨拶をこなした彼女は今何と言った?私に魔法を習いたいと?私に?
「なぜ、私に?もっと他に高名な魔法使いを呼べたのでは?」
「いえ、貴女ほどの魔法使いは他にはいないでしょう」
「そんな事は無い、もっと優秀な魔法使いはたくさん居る」
これは謙遜でもなんでも無く本当だ、私の魔法は邪道だ、王道を行く優秀な魔法使はたくさんいるし、私は王道を行こうとすれば、どうしようもないほどにダメダメだ、だから邪道を行くわけだが。
「ご謙遜を、貴女ほどの方は中々いないでしょう、其れに、私が魔法を習いたいのは、魔法を非常に論理的に捉えている貴女なのです、他の方の本では、魔法や魔力というのがどのような物なのかが分かりそうにありませんもの」
この子ホントに五歳児?絶対なんか可笑しいって、私がこれくらいの頃はまだ魔法を本格的に習おうなんて思ってもいなかった。
普通、10歳ほどから魔法を教え始めるのだが、これは一般的に魔法を使うには、魔法で起こす現象を想像して、魔力を注ぎ発動させる、発動に想像を使うためにあまりに小さい頃から教えてしまうと、自制が効かず大惨事になってしまうことが考えられるため、ある程度精神的に成長してから教えるのだが、彼女にはその必要は無いだろう、彼女はもう十六程度の学園に通っている学生たちよりも大人している。
というか、魔法を論理的にって、普通の子は魔法は小さい頃の絵本や、お伽噺などから得たイメージと、ある程度大きくなってから教えられる魔力に指向性をもたせる方法を使い、感覚的に魔法を使う、そのため魔法を論理的に考えるとういのは普通ではない、普通感覚的に魔法を使うことに疑問を持たなし、考えることもないだろう、何故ならば、小さい頃から其れが普通だと教えられるし、そのやり方で魔法が使えてしまうからだ、しかしノワール嬢は其れを無邪気に信じ込めるほど精神が幼くない、まるで大人が子供の皮かぶったようだ。
「魔法を論理的に...か、たしかに其れなら私が適任かもしれないが、普通に魔法を覚えたほうが効率的だ、其れに君は血筋的にも魔力量も多いはずだ」
「血筋が関係有るのですか?」
「おや?知らないのか」
「ええ、その様な事は余り魔法書には書いていませんもの」
「まあそうか、ホントに血筋が優秀な者は其れを自慢しないし、自慢好きなのは其処まで高くない地位の貴族たちだからな」
「そうなのですね、少しご教授頂けませんか?」
まあ、少しぐらいい良いか、どうせ位が違いすぎて断ることは無理だろうしな、いくら大人びていてもこの子は五歳児、すぐに飽きるだろう、飽きるまで付き合ってやろう。
「...ふむ、何処から話そうか、そうだな、まずこの国の成り立ちから話しましょう」
「よろしくおねがいします、師匠」
「し、師匠?できれば先生とかのほうが良いのだが」
師匠ってお前、いきなり貴族のご令嬢らしくなくなったぞ、後そんなに残念そうな顔されると罪悪感が...そんなに師匠が良かったのか?わからんな。
「では先生と呼ばせていただきますね、先生、私は生徒なのですから敬語は取って頂けませんか?」
コロコロ表情が変わると子供のようで可愛いでじゃないか...?あれ???まあ、いいか。
「そうか、じゃあ、敬語はやめよう、えーと何だっけ?ああそうだ、血筋と国の成り立ちだったか」