表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

諸君!筋肉は好きか!私は大好きだ!さあ、讃えよ!


筋肉!

それは、世界の真理を探求するもの

それは、美の終着点

それは、力の象徴

それは、強さの象徴

それは、強者の証

それは...


筋肉isパワー...筋肉isゴッド......あれ?俺、今何読んでるんだっけ???


父の書斎などから大量の魔導書をパク...借りてきて、読んでいるのだがどれを読んでも自慢話ばかり、これ、本当に魔導書?と言いたくなるような物ばかりだ。

魔導書と言えばもっと難しい単語やら、難解な魔法陣やら、魔法言語が使われているようなものだと思っていたのだが、どうも違うようだ。

レシピ本ならまだ謎解きをするために何度も読み返しただろうが、これは無理だ、謎が隠れているようには全く見えない、それに洗脳されそうだ。

更に、自慢話はマシな方で、どうやら魔法書は国が魔法を修める貴族に研鑽とその記録をまとめることを求めたことが始まりなようで、イヤイヤ書いている人が多いようだ。

始めはもっと真面目に開校したての学園の図書室の蔵書や、教科書に使うために集めていたのが始まりでいつの間にか伝統になったが、皆がやる気が有るかと言えばそうでもないし、初めはの決まりがある程度あったが今はそれもない、なので今は惰性と貴族特有の伝統大好きで成り立っている。

内容はないようですがデフォルト。国も特に何も言わないが、集めるだけ集めて欲しがる貴族に複製を許可している、となると


「この筋肉の書を求めた人が居るという事でしょうか、何か新しいし、いや、考えないようにしよ、うん、私知らない。お父様が割と筋肉質だとか、夫婦仲が大変よろしいだとか、私知らない」


今は春、此処は屋敷の中庭、ポカポカと暖かな陽射しが射し込み、紅茶の香りと花の香、それと、つまらない本が眠気を誘う。

しかし、監視の目がある以上、此処で机に突っ伏して寝てしまう分けには行かない、中身は兎も角、外面だけは、お嬢様で居なくてはならない、それが例え小さく非常に可愛らしい目であってもだ。


たしかあの子は、確か使用人夫婦の娘、今朝紹介されたばかりのララちゃんだったかしら、歳は、私のひとつ下。

可愛らしい白のワンピースを着た少女がこちらを見つめている、可愛い、将来有望ね。

いくら美少女にとは言え、見つめられているのは居心地が良くない、声掛けてみますか。

あ、でも、ティーカップも話を広げるための道具も無い、取りに行ってからにしましょうか。


キッチンの近くで、捕まえたメイドさんに二人分の紅茶と一人分のティーカップを中庭までお願いして、自分は書斎へ向かう、私には幼女の趣味など分からないが、絵本なら相当尖った物じゃない限り外れないだろう、これで仲良くなってあの可愛子ちゃんを撫で回すのです。

そんな邪な事を考えていたら大きな扉の前についた、と言っても私からしたら大体の扉は大きのですが、早く身長がほしいです。


「お父様、いらっしゃいますか?」

居ないみたいですね、そう言えば、お父様が昨日、「変わった本を頂いた」とか言っていたのだが、どんな本だろうか。

「少しぐらい、探してもいいかしら」

とは言え、探す迄もなく机の上にそれらしい新しい本が置いてあった、見たところ普通の勇者信仰の教典で、お父様が、変わった本と称した理由がよく分からない。

そう言えばまだこの世界の宗教『勇者教』なる、宗教の教典は読んだことがない。


「きっとこの本のことを言っていたんだよな...ですのよね?持っていって良いかしら?」

何が変わった本なのかさっぱり解らないが、読んで見る価値はあるだろう。ということで、借りていこう、紅茶もお願いしたし、たまには魔法書以外を読んで見るこのもいいだろう。


「...絵本忘れてた」


適当に選んだ絵本を何冊か持って中庭まで戻ったのだが、ララたんが居なくなってしまった、声を掛けた訳でもないのだから居なくなった所で不思議はない、明日もまた来るだろうから、対策を考えておこう、しかし今はせっかく入れて貰った紅茶とお父様の言う変わった本があるのだから、何処が変わっているのか、じっくり調べてみよう、幼女対策は夜、ベッドででもすれば良い。


この本の変わっている所は読み始めてすぐに気がついた。

何が変なのかと言えば非常に読みやすいのだ、内容がではない、確かに内容も、世界のほとんどを支配していた魔物の王、魔王を何処からともなくやって来た黒髪黒目の男が打ち倒すまでの物語で、語りは大分堅苦しいがストーリーは王道なファンタジー物で久しぶりにライトノベルを読んでいるような気分になって大変良い。

だが変わっているのはそこではない、変わっているのは文字の方だ、この本以外の本は人の手書きで、読み辛いということは無いにしても書き手の癖が出ていたのだが、此の本にはそれが無い。更には同じ文字が同じ形をして居るのだ、これは手書きではあり得ないことだ。


つまり、この世界では、産業革命の代名詞である、活版印刷機が完成しているということだ、さらに言えば、貴族であるお父様が変わったと称したことや、此の本が地球一のロングセラーのように、教典である事から活版印刷機は完成して間もないのだろう。

これは貴族に生まれてよかった、労働者階級に生まれていたら、元日本の学生だった私からしたら相当な地獄が待っていることだろう、貴族で良かった。でもマルクス主義にだけ気を付けて置こう。

まあ、弟が家を継ぐだろうから、私は、産業革命を利用して、功績を立て、結婚を拒むカードを作ることを考えよう、火薬だったり羅針盤だったりを前世の知識を参考に作れば功績としては十分な気がする、甘く見過ぎだろうか。まあ、すぐに考える必要はないだろう。


翌日

昨日と同じ時間に中庭で、対幼女装備を持って、勇者の冒険の書を流し読みしている、この勇者って奴、名前が『タチバナ コハク』ってこいつ完全に日本人でしょ、しかもコイツ、羨ましいことにチート貰ってるみたいだし、魔王とかいう分かりやすい目標が有るとか、羨ましい、だがまあ、その先輩転生者のおかげで、平和に暮らせているのだから、文句は言うべきじゃないだろう。

だが、まあ羨ましい事には代わりはない、コイツにチート付けたんだから俺にも言語能力ぐらい付けてくれても良かったんじゃねえか。それにコイツのやった魔王討伐とか間違いなくモテる、さらにコイツ、私の住んでる『フロムイースト』って国の国王じゃん、もう間違いなく、ハーレム作ってる系の主人公じゃん、間違いなく日本から来てるじゃん、そう考えると、『東から来た』って安直すぎませんかね。


っと、そんな事を考えていたら、お目当てのあの子が来たようだ、紅茶よし、クッキーよし、一応絵本も有る、昨日ベッドで考えていたのだが、初対面でいきなり、本に頼るというのはどうだ?悪くは無いだろうが、仲良くなろうと思ったら、初めはお話するほうが良いのではないだろうか。

しらんけど。


第一印象は大事、って良く言われるが、私が思うに会話をする時は既に第二印象なのではなかろうか、第一印象は基本的に容姿で決まる、その点、今世では、超有利に立てるだろう、だって私可愛いから。

だが、可愛ければ第二印象を蔑ろにして良いかと言えばそうでもない、これは相手が小さい子でも当てはまる、むしろ相手が、小さい子ならば見た目よりも、言葉遣いや雰囲気を重視する、と思う。

したがって、初めて話す時の声の掛け方、これが大事だ。


「そこの貴女、見ていないでこっちへいらっしゃい」

どうだ!この完璧なお嬢様言葉!これで、印象完璧じゃないかしら!

「ひゃ、ひゃい」

あれ?何か緊張させてしまったみたいね、人見知りかしら、マズイわね、私人見知りに心を開かせる話術なんて持ち合せがない、ですわよ。

「え、えと、ララちゃんよね、少し、私とお話しない?」

あれ?これでは、ナンパ師みたいでは?

「ひゃい、あの、おじょうさま、その、ほんは?」

あら、思ったより物怖じしないみたいね。

「本?これね、勇者の書よ、其れなりに面白いわよ」

「す、すごいですね、わたし、そんなむずかしいほん、よめません」

「そ、そうかしら」

「かっこいいです!」

むず痒いわね、悪くない、悪くないわ。


あの後、時間にして10分ほど話した、疲れた、女の子と話すの大変、え?お前も女の子だろって?

そう言えばそうだった。

話した感じ、私は年下の女の子にコミュ力で負けた気がする...つら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ