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『異世界転生』それは昨今よく目に、耳にするライトノベルや漫画、アニメのジャンルのことだ。

少し前までこのジャンルはそこまで長続きしないだろうなんて考えていたのだが、完全に予想が外れていたと認めざるを得ないだろう。

異世界で勇者になり魔王を倒す冒険譚は王道で数も多い、他にはスローライフを送ってみたり、幼女になったり、乙女ゲームの悪役令嬢になったり、骨になったり、クマの着ぐるみを着たり、果てはスライムやら蜘蛛である、一体何処まで行くのだろうか、ネタ切れを知らないようで全く羨ましい限りである。

だが勘違いしないで頂きたいのは、別に異世界作品が嫌いなわけではない、寧ろ好きだ、僕だって異世界に行ってみたいし、魔法なんかも憧れる、僕も異世界のお姫様や、エルフの女性にちやほやさせたいなんて事を思ったりもするのだ。


読者の皆様に置かれましては、何故いきなり異世界転生についてやら、お前の趣味やらを聞かされなきゃ成らんのだ!なんて思っている頃かもしれないが、もう少し俺の現実逃避にお付き合い頂きたい。


え?駄目?チョットだけ!先っちょだけだから!...ああ、駄目、そう...。


先程、唐突に語り出したのは、目の前の現実から目を背けるためだ。実は先程から、現実がけっこう大変な事になっているのだ、テストで赤点をとっただとか、友達との約束を完全に忘れていて思い出したのが夕方だったとか、学校に間違えてセーラー服で登校してしまったとか、そういうレベルではない、いや最後のは、同じレベルかもしれない、間違いなく社会的に死ねる、私の現状も間違いなく死ねるような状況なのだ。

冒頭で異世界転生の話をしたことから察しが付いているかもしれないが、あえて言う!


マジで轢かれる一秒前! 助けて!

もう助からないことは何となく分かる、不用意に車道に飛び出したばかりに死にそうなのである、

こーつうるーるってだいじだなっておもいましたまる

って、そんな事を言っている場合では無いのだか言い訳はさせて欲しい。

学校からの帰宅途中、近所の公園の前を、最近立てられた球技禁止の看板が全く守られていないことを横目で見つつ、そもそも公園で、サッカーや野球を禁止するってどうなんだ?まあ、色々あるのだろう、とそんな事を考えながら歩いていると、公園からボールを追いかけて男の子が飛び出してきたのだが、その時前から物凄いスピードのトラックが突っ込んできたのが見えた時には、体が勝手に動きその男の子を突き飛ばした、その時にはもう目の前にはトラックさ。

まあ、言い訳をしたところで僕の身体能力は向上しないし、トラックのブレーキは間に合いそうにない。

詰んだ、これはもう来世にワンチャン掛けるしか無いだろう。

まあ来世への希望としては、かわいい幼馴染と同級生くらいかな、多くは望まん、せめて女の子とお近づきになりたいです!神様よろしくおねがいします!!




後、クソガキ!もっと周り見やがれ!!!そんなんだから禁止されんだぞ(#^ω^)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



トラックに轢かれてからどれ程の時間が立ったのだろうか、体感的には大して経っていない気がするが実際のとこどうなのだろうか、それに此処は何処なのだろうか目が冷めてからというもの近くで子供、それも赤ちゃんの様な泣き声が聞こえてくる、すごい泣いてるな、お母さん来てあげて!

それに目がほとんど見えない、これはトラックに潰されちゃったのか?

なんて考えていると朧げなあ視界の中に大きな影が二人分見えてた、その影達が何かを言っているのだが聞き取れないほど近くで赤ちゃんが泣いているし、さっきまで眠っていたというのにもう疲れてしまった、俺は直ぐに襲い来る睡魔に全く抗えず眠ってしまった。


目が冷めたあの日から暫く、何となくだが状況が分かってきた、あの泣き止まない赤ちゃんは俺だった、つまり死んで人生強制やり直し~異世界転生を添えて~だ、まだ視力もしっかりしていないため恐らくの段階だが。

つまり、トラックに跳ねられて転生したみたいだ!やったね!...????


しかし俺は神様の名のるお爺さんや、超キレイな女神様に会ってないので、チートも貰ってないし、世界の危機みたいなのも知らない。

つまりは異世界転生のテンプレの如く多くの主人公達を撥ね飛ばしてきたトラックに異世界まで飛ばされたようだ。

あと17年程一緒にいた相棒は転生する途中で落として来てしまったみたいで居なくなってしまった、ごめんよ、まだ新品のままだったのに。


転生五年目、え?いきなり飛びすぎ?四年間について知りたい?俺がプレイさながらの子育てをこの歳で体験して新しい扉を開いた話を詳しく聞かせてやろうか?

そうだなぁ、まず幸運だったのは母がメチャクチャ美人だったことだな、視力がしっかりして来た頃はびっくりしたよ、髪は金色の緩くウェーブのかかったロング、一番の魅力は顔もパーツが恐ろしいほど整っているのに冷たさや怖さを感じさせない微笑みだろう、もうね、初めて見た時はヤバかったよ、思考とか呼吸とか全部吹っ飛んだもの、更にはスタイルも良い、そんな人が母だし、この家は裕福なようでメイドさんまで居る。

それだけでも凄いのに、子育てなのだから当然...え?聞いてない?だろ、だから飛ばしたんだよ。


五年も経てば自分の転生先状況や自分のことぐらいは何となく理解できる、俺はどうやら中世ヨーロッパをモデルにした異世界へ転生した、と言っても屋敷から出たことがないので推測でしか無いのだが、家の屋敷は石造りの立派な建物で、父が辺境伯なんていうかなり偉い人だし、貴族がいるって何となくヨーロッパなイメージない?はいそこ、いきなり頭悪く成ったとか言わない。


でも転生が自身に起こってしまった以上この世界のモデルとかが地球にあるってのもどうかと思うが、俺の感覚からしたらヨーロッパ似だからそこは目をつぶって欲しい。


俺自身は女の子、金髪碧眼の美少女辺境伯家令嬢に転生した、名前は「ノワール・リリー」家族構成は父「ブラウ・リリー」と母「ヴェルト・リリー」の両親と、ひとつ下の弟がいて名前は「ヴァイス・リリー」。


最近の悩みは同い年の女の子との接し方がさっぱり分からないこと、趣味はこの世界に存在する魔法の勉強である、と言っても家にある本を読んでいるだけなので残念なことに何の進展もない。

なぜなら、書いてある事といえば、平民の冒険者を見下し、「俺の魔法ならあんな奴らが相手にしている魔物なんて一撃だぜ!」と言っているが魔物と戦ったことない奴とか、「俺様の魔法は伝説の勇者にも引けを取らないであろう!」と言いながら、どんな魔法か説明されてないため、何がどう凄いのかサッパリわからない奴とか、「筋肉!筋肉は全てを解決する!さあ見よ!これが俺の上腕二頭筋だ!!!」みたいな暑苦しい...あれ?これ違くね?

とにかく、役に立たないのだ、家にある魔導書の殆どが魔法書とは名ばかりの、自己顕示欲の塊みたいな自伝ばかりで、ほとんど魔法とはどんな物なのか、魔力とは何なのかがサッパリ解らない、もっと色々読む必要がありそうだしなんなら、教えを請う必要があるだろう、尤もさっき上げたような本の著者ではなく、もっと論理的に説明してくれる人のほうが良い、贅沢を言えば美人が良い。

それでも、魔法はロマンがあるので何とか続きそうだが、この新生活で一番ツライのは、最近始まった、淑女としての言葉遣いや、所作などの授業なのだ、何がツライって声や顔は美少女なのだが見ている分には微笑ましいのだろが中身は男、そう考えると中々に痛々しい、それに先生が中々に厳しかったりする。

私は、この授業に臨む当たり羞恥心を殺さなくてはならない、まあ、人間どんなことにも慣れは来るもので、最近は羞恥心を殺して女の子するのも慣れてきて言葉遣いから、歩き方なんかまで、ほぼ無意識に出来るくらいには成長した。

辛いこともあるのだが鏡なんかを見ると何となくやる気になれる、ドレスなんかを選ぶセンスはないし、着替えるのも面倒ではあるが、着て鏡を見るのは楽しかったりする、私、可愛いから。


前世は冴えない感じの男だったが、今生は貴族の美少女。

これは楽しくなりっそうだ、知らない世界で知らない事だらけだが、大体の四歳児なんてそんなもんだ、これから覚えていけばいい。

前世で叶えられなかった、美少女と仲良くなるために頑張るぞい!


あ、でも俺、女の子と何話せばいいか分からんわ。


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