第1話〰十ニの器に7つの心〰
四方を大量の本棚に囲まれてる部屋。
その部屋の真ん中長テーブルを挟んで一人がけの椅子が向かい合っていた。
『本当に助けに来れると思うか?』
「…」
ソファに座る両者は語っていた、
これから始まる全てを賭けた物語りを。
長テーブルの上に1冊の本が開いていた。
ペラ‥‥ペラ‥‥。
勝手に1ページ、また1ページめくれていく。
そこに記された物語りは
これからお話しようと思う。
……
………
「…来るさ……きっと」
序章-裏切り-
「な‥なんで?」
「………」
ポタッ…ポタッ…。
左胸から貫かれた剣は冷たかった。流れ落ちてゆく血は生温かった。
「ア‥レス、何で、裏切ったの?」
抵抗しようにも体が動かない、剣に呪縛の魔法をかけているからだろう。
「………」
剣を握るアレスという男は、膝をつき苦悶の表情をするアテナを冷たい眼差しで見下ろす。そこに感情はなかった、故に返事もなかった。
「ティアとルナをバラバラにしたのもアレスなの?どうして?何でこんなこと…皆で、皆でアイツを助けるってここまで来たのに、……何とか言ってよ!!!」
アテナの視界の片隅、5m程離れた所にティアとルナは目も当てられない姿になっていた。動く気配などある筈もないだろう姿で。
必死の問いかけにもアテナへ突き刺す剣を握り締め沈黙を決めるアレス、その手は小刻みに震えていた。
言葉はなくとも分かっている事あった。
それは体を貫く剣によってゆっくりと確実にアテナは死へと向かっていること…。
(どうして、どうしてこんな事に‥。普通の高校生だった私達が!)
ついこの間まで剣や魔法とは無縁の世界で生まれ育った彼らが死の淵に立たされているのか…、
それは1冊の本と1人の男の恋心が始まりだった




