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神様から仕留めた武器で戦っちゃいます!

かれこれ数十分後。

とりあえず私の名前は『キミカ』となった。


「キミカ、キミカ、キミカ……う~ん、まだ今いちしっくりこないなー。」

「あら?これからも呼ぶ気なんだ?」

「なっ!違ーし!一時的だし!」


ツンデレ感全開の神様、ゼウが両手をブンブン振る。

その隣に腰を下ろすと「で、この世界っていわゆるRPG的なやつなの?」と聞いた。


「あ、ああ。その通りだよ。モンスターや魔王とかも居ッ 」

「マジ?! 魔王いるの?!」

「聞いたくせに遮るって酷くないか…?」


魔王____それは勇者やら救世主やらに選ばれた野郎が倒す闇の大魔王!

まあそれはテンプレであって、私はそんな事しないけどね!

逆に魔王の座を乗っ取ってやる気だよ!


「まあ魔王クンは特別にトイレの掃除係に就かせてあげようかな?フフフッ…」

「全部言葉に出ちゃってるし、とてつもなく恐ろしい計画だな……」

あ、そういえば、とゼウがいきなり画面を開いた。


「最近この国の第一王女が魔王にさらわれたとかで勇者募集してるけど。」

「第一王女って…もしやあの“花子”?」

「そう。」

花子、ピー○姫ポジかよ…なら魔王は○ッパか。


「って勇者募集?!テンプレ打破するチャンスじゃん!神様ありがとう!

………って神様アンタか。なら今の無しで。」

「勝手に上げて突き落とすのやめろよな?!上げるならそのままにしろよ!」


ありがとう!って叫んだ瞬間はとてつもなく嬉しそうな顔してたのに、

今は涙目だった。やっぱり羞恥心もあるのか赤面もしていた。


「あ、じゃあ募集って事はやっぱり城?城行っちゃうの?」

「いや…国一番の闘技場だ。何人も来るだろうから、戦わせて選抜するんだろ。」

「じゃあ…ッ!」

「武器だろ知ってるよ!ほらよっ」

そう寄越してきたのは強そうな剣………ではなく、


「え、スマホ?」

「前世のお前…キミカのだ。そこの、えっと『あぷり』で全種類の武器に変えられる

ようにしといた。」

「スマホが武器になるの?!チートじゃん!」

「今更?!あとでお前に剣がいいだの何だのって言われたくないからな…いいだろ?

それで。」

ちょっと得意げに胸を張る。


「さぁっすが神様!あ、そういやこの世界って使い魔なんぞやは通用するの?」



あ、今あからさまに嫌そうな顔した。

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


「ったく…動物は動きにくいし侮られそうだから嫌なんだ。」

そうブツブツ呟いているのは、兎である。



____え?わんもあ?

兎である。


神様なんだからそれくらい出来るよね?と問いつめたら、やっぱり【変化】スキルは

持っていた。

使い魔っぽく羽が生えているので飛べる。少年姿より便利じゃないのかと思う。

それに、兎は可愛いからちょっと五月蠅くても我慢できるしね!


「で?ここをまっすぐ行けば良いの?」

「ん、ここは大通りだから。っていうか本当に行くのか…?周りあからさまに

強そうな人ばっかだぞ……?」

「その時は頼んだ。」

「ですよね!」



着いた場所は、『国一番の闘技場』というだけあってデカかった。

入り口から「巨人用かよ…」と思うくらい広々としていたけど、城はこんなモンじゃ

ないらしい。


「ねえ 君。」


「へえー、闘技場とか授業でやった事はあるけどこんな感じなんだ~。あの真ん中で

戦うわけね」

「あの、ちょっと 」

「っていうかあの人頭に動物の耳が生えてる?!えっ生ケモ耳?!ってことはエルフも

いるのかな~っ!」


「そ こ の キ ミ !」


ガッ!と肩を掴まれようやく気付く。

そこにはちょっと怒り気味の……背のちっちゃい少年が立っていた。


「ん?どうしたのボク?迷子?」

「なわけあるかっ!俺だって正式な戦士だぞ!お前こそ使い魔はいるものの、

武器らしい武器なんて持って無いじゃないか、そっちが迷子か?」

こんなショタっぽい見た目で『俺』とか言われても全然威圧感は無い。

頭ナデナデしていいかな?


「で、お前は何で俺等に話しかけてきたんだ?」

「うおっ使い魔がしゃべった?! 意外と男っぽい口調だな…こ、コホン!いいだろう、

教えてやる。俺がお前らに話しかけた理由は_____ 」



「お前らの負けを予言しにきたからさ!」



ぽかん……


「全く、俺もそこそこ名は売れてると思ったんだがな……大魔法使い【カスタリット・

マスカット】を知らないなんて、もしかして田舎からやってきたのか?さっきも闘技場を

もの珍しそうにし 」

「【カスタリット・マスカット】!?」


兎が驚いたような声を上げた。

「え~…神様も知ってるくらいの有名人なの?」

「この世界のメディアは全チェックしてるから大抵は知ってる。四大属性を使いこなせる

かなりの腕前と聞いた。………まさかこんなに小っちゃいとは」

「貴様ッ無礼だな!これから大きくなるんだ!」


名前を叫んだ瞬間、周りがザワザワし始めた気がした。

それほどの有名人なのか…


「分かった!じゃあ君の事は『ブドウ君』って呼ぶね!」

「なぜだ?!やめろ名前の響きは結構気に入っているんだ!」

「悪い、こいつはこういう性格なんだ…」

え?なんで兎さん頭抱えているの?毛つぐろいしているみたいで可愛いから良いけど。


“戦士達よ!お集まりご苦労!!”


「うわっ」

思わず耳をふさぐ。

皆の視線をたどってみると、どうやら王様の声らしい。


“ご足労頂いた理由は聞くまでもない!我が愛娘の花子姫が、悪しき魔王にさらわれて

しまったのだ…”


しょんぼり。

いい歳した男の人が幼子みたいにションボリした。


“兵士も送ったが、魔王にことごとくやられてしまってな…そこで、だ!

ここに集ってくれた君たちに、我が姫を助けて頂きたい!”


大丈夫か兵士。

王様もそれ言って大丈夫なのか。


“しかし、強いといってもピンからキリまである。これから君達に戦って頂き、

残った者を勇者として雇おうと思う!”



「おっと、これもうすぐ始まるんじゃない?行くよゼウ!」

「ちょっ!まだ話は終わって無いぞ!どこへ行くんだ!」

即座に闘技場の中心へ走っていった私達を止めようとする声に、走りながら

振り返る。

「ブドウ君!ブドウ君は確かに凄い魔法使いかもしれないけど、」



「私、勝つよ。絶対に。」



_______手に持っていたスマホは、もうすでに別の武器へと変化させていた。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


「珍しくお前が俺に助けを求めないなんて…何か良い策でもあるのか?」

「うん、まあね!私は攻守戦なんて出来ないから、援護よろしく!」

「だろうな…まあ良いけど。」


丁度中心に来た時に、足を止める。

周りのスキンヘッドのおっさん達がこちらを睨んできた。

女子だし弱そうだから先に片づけちゃおうなんて思ってるみたいだ。


“3,2,1 ”


そっと手を上げる。



“試合開始”



爆弾を、落とした。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


「う、いててて…」

「おいキミカ、大丈夫か?なんで爆風でお前もコケるんだよ。」


そばにチョコンと座ったゼウが心配してくれた。

辺りを見てみると、皆が皆、もちろんスキンヘッドのおっさん達ものびてしまっている。


“勝者・キミカ”

「よっしゃあ!勝った勝った!やったねゼウ!」

「えと、俺なにもしてないけどな…?」


放送された結果に飛び上がり、ブンブン兎を振り回し、ハッとして手を離す。

「ぎゃああああっ?!」

兎は何処かへ飛んでいった。


「そうだ、ブドウ君!無事かどうか確かめなきゃ!」

先ほどの場所へおっさん達を踏みつつ、ブドウ君を捜す。

案外すぐに見つかった。


「おーいっブドウ君!だーいじょーうぶーっ?!」

「…うきゅぅ……」




それから王様含む全員が起きるまで20分かかりましたとさ☆





ずるいよおおおおおおおおお私だってスマホまだ持ってないのにいいいいいいいいい

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