チートは選択を義務付けたご本人を選ばせて頂きます!
王道の異世界転生を書きたいな~と思ったらテーマが「テンプレ打破」。
イロイロ矛盾してると思いますが、感想や評価をくれると作者のモチベーション
は竹の如く上がります。
「つまり、君は死んじゃったんだけど、新しい世界に転生できる事になったんだよ。」
最後に目の前の少年はそうまとめた。
こいつはどうやら“神様”らしい________自称だからよく分からんけど。
「えっと、つまり異世界転生ってやつかな?」
「そういうこと」
「某小説サイトでよくある、転生タグがつくやつかな?」
「お前自分の名前も思い出せないのに何でそんな事覚えてんの?」
そう、私は生前の名前も家族も思い出せない状況にいる。
でも今はそんな事はどうでもいい。自分の目の前の運命と闘わなくてはいけない。
という訳で、神様に喧嘩売ろうと思います!
「ね~え自称神様?君たちの世界に何人そういう人がいるかは知らないんだけど、
とりあえず人が死んだら異世界に転生させればいいか~みたいな精神やめてくれない
かな?」
「は?」
「私ね、テンプレが一番嫌いなんだ☆」
ニッコリ笑って、肩をギリィッと掴んでそう言った。
悪役令嬢とか、チートとかそういうのはもうお腹いっぱいなのだ。
確かにハマッた時代もあったけれど、もうちょっと別のジャンルがあるだろうとつくづく思う。
異世界行って、俺TUEEE!ってなってハーレムなんてお決まりすぎじゃないか!
もっと別の方向に視点を預けてほしいものだね!全く人類は!
…………危ない危ない、あやうく語りすぎてしまうところだった。
ともかく、そんな中に自分が飛び込むなんて生理的に嫌だ。
どうにかコイツを説得しないと…!
「や~でもな?これは会議で正式に決まった事だから……」
「は?」
「いえ何でもないっす。」
しょうがない、とでもいう風に少年が手を翳すと複数の画面が現れた。
「じゃあ代わりに1つ能力あげるからさ、なんとか転生してくれないかな?そこから
飛び降りたら君の世界だから。」
ふわふわ綿飴のような雲の切れ目を指す。
「…………。」
バシィッ
「いてっ!何で今叩いた?!」
「あんたは難聴か!今さっきテンプレが一番嫌いって言ったよね?!」
「ああ。」
「『ああ』じゃないっ!チート能力は立派な王道テンプレだバカヤロウッ!!私は常識
を覆すような、そんな話が好きなの!」
そこまで言ってハッとする。
今、私は神様を殴った。
今までのテンプレ主人公は口答えはしても手出しはしていない。
つまり、転生して私がすべき事は………!
「神様、気が変わりました。転生します。」
「今の数秒の間に何が?!まあこちらとしては万々歳だけど………」
「チート能力も欲しいんですけど、一つ質問して良いですか?」
「お、おう。何だ。」
少し身構えながらもそう言う。今疑うのは賢明な行為だろう。
「そのチート能力。神様が作り出したものなんですか?」
「あ~…正確には俺の能力の内の複数をコピーした、って感じかな。」
「ええっ?!すごいっ!神様って無敵なんですね!」
わざとらしくもそう言うと、満更でもなさそうに胸を張った。
「ま、まあ神様としてはトーゼンっていうか?最低限の条件というか?別に対した事
じゃねーよ」
嬉しそう。
「で、何の能力にするんだ?」
嬉しそう。
「そうですね~どれも捨てがたいですし…うん!決めました!」
「そうか。そしたらその画面をタッチすると選択できるから」
気を良くした神様は、優しくそう言った。
「では遠慮なく…」
王座に駆け寄り、
神様の腕を強引に掴み、
強制的に引きずって、
雲の切れ間からジャンプした
「おいちょっと待てお前えええええええええええええええっ!」
「わーい今日から転生者だ~!」
私のやるべき事_____それは『テンプレ打破』。
という訳で、能力に【神様】を選択しました☆