第03話
しかし面倒なことになってしまった。
成り行きとはいえ、ああいった厄介そうな連中に顔を覚えられてしまうとは。
旅人としては、入れない町ができるというのはなるべく避けたいものだ。
ソウの方を見れば、無表情で奴らの去っていった森を見つめている。
「ああいった奴らはよく来るのか?」
「……狙いを定めてきたのは、初めて」
「狙い?」
「……此の森に、何かあるんじゃないかと、偶々見つけた人は、偶に」
つまり、俺みたいな奴ってわけだ。
ならば何故、奴らはこんなよく分からないところに、明確な意思を持って来ているのだろうか?
ここに何かがあるということすら、確証を持っていたように思える。
「ここのことを知っているやつはいるのか?」
「……さあ」
「さあって」
「……唯、ここと同じような神社は、あるらしいけど」
「神社?」
「……此の建物の、総称。神様を祭ってる、らしい」
へえ、そうなのか。
確かに、神様でもいそうな雰囲気を持っている。
教会みたいなみんなで教えを広げようって感じではない。
崇めようが何しようが昔からここにある。
そんな不変たる雄大が垣間見えている。
「なら、その辺から情報が漏れているのかもしれないな」
「……かもしれない」
だが、こういった建物が、無遠慮に荒されているかも知れない、と言うのは面白くないな。
きっと、荒らした奴には風情というものが足りないのだろう。
触らずに置いておいたほうがいいものもあるというのに。
「……それで」
「ん?」
「……トキは、これからどうするの?」
何時ここを出て行くか、という質問だろう。
面倒な事になりそうだし、早めに此の場所を離れてしまうのが得策だと思うのだが。
と、そこで俺のお腹で空腹の虫が音を立てた。
無言でソウは俺のお腹を見つめる。
あ、あれだよ?朝っぱらから軽く運動したからお腹がすいただけで、催促したわけじゃないんですよ。
「……もう一食、食べる?」
「…………お願いします」
さ、催促したわけでは……。
「……おいしい」
表情自体は変わっていないが、満足オーラが目に見えるようである。
ここまでパクパクと食べてもらえると作った甲斐もあるってモノだ。
俺も、自分の分に手を伸ばす。
うん、いい出来だ。
ここにある食材は良いものが多く、簡単な調理でとても美味しく感じられるから不思議だ。
因みに、
昨日使用した食材は、何故か同じものが同じところに戻っていた。
少しだけ使用した食材も、時間を巻き戻したのだろうかと疑問になるくらいに元通りだ。
やはり、此の建物にはソウも知らないナニカがいるのだろうか?
まあ、害もないようだし、面倒な事にならなければ首を突っ込むつもりも全く無いが。
そして、料理をしている時に考えたことだが。
「ソウ」
「んく。……何」
ソウは口に入っていたものを飲み込むと、此方に目を向けてくる。
話すのは、これから俺がどうするかということ。
「出来れば数日、ここに泊めてほしいんだが」
そう言うことだ。
此の場所に来るまで、俺が森の中を歩いた時間は実に1週間。
唯でさえ携帯食料の尽きた自分が、何の備えもなくここを出れば、3日も持たずにまた行き倒れるだろう。
食料を分けてもらえばとも思ったが、置いてある食材は精々1日分。
此の場で暮らしていくならば、毎日のように復元される食材で十分なのだろうが、携帯食料としては心もとない。
つまり、俺が此の森から生還する方法は、ほぼ無いといってもいい。
ならばどうするか?
思いつく限り、方法はたった一つ。
すなわち、先ほど見た集団の携帯食料、または帰還方法を強奪する。
あの人数でここまでたどり着いているのだ。
食料は豊富に備えているだろう。
もしくはなんらかの瞬時に帰還できる方法があるはずだ。
幸いなことに、あいつらがどうにかなっても、俺としては厄介ごとが減ってありがたいくらいである。
仮に食料を奪って行き倒れても、帰還できず行き倒れても、知ったことではない。
まあただ、奴らを探すにしろ、向かってくるのを待つにしろ、拠点の主であるソウの意思が重要なわけで。
こんな得体の知れない奴を、匿ってくれるかと言えば、
「……ん、別にかまわない」
「そこを何とかお願いしたい」
そう、匿ってくれる筈が……筈が?
「……?いいよって言ってる」
「あれ?ほんとに?」
「……ん、かまわないわ」
……本当に此の子は大丈夫だろうか?
幸せそうに無表情のまま食事をぱくついているソウの姿を見ていると、いつか騙されたりしないかと心配になってしまう。
「……ただ」
「ん?」
「……居る間は、料理、作って」
……どうやら知らぬ間に餌付けに成功していたらしい。
思わず無言でソウの頭を撫でてしまった。
気持ちよさそうに目を細めているのを見ると、ペットを飼っている人の気持ちが分かってしまう。
……仮にも部屋を貸してくれる人のことを、勝手にペット呼ばわりするのもどうかと思うが。
「……ん、なに」
「いや、そんなことでいいのなら喜んでさせてもらうよ」
「……ん」
うん?あれ?
ちょっと、これやばいんですけど。
この娘ぜんぜん抵抗しないんですけどー。
撫でるのをやめるタイミングがつかめないんですけどー。
むしろ撫でてる自分のほうが楽しくなってきちゃってるんですけどー。
そうしてニヤけた顔で頭を撫で続けていると、ふとソウが嘆いた。
「……ご飯、食べたい」
「あ、ああ、悪い」
パッと離れて一息つく。
あ、危なかった。
止めてくれなければずっと撫で続けるところだった。
うん?ソウがこちらを見ている?
「……」
「?どうした」
そう聞くと、ソウは何事もなくご飯をぱくつき始めた。
なんだったんだろうか。
まあいいか。と思考を投げ捨てる。
泊めて貰えるのは確定したし、今後どう動くか考えておかないとな。
とりあえず、ソウに顔を向ける。
「これから暫く、よろしくな」
「……ん、よろしく」
ソウは、視線だけを此方にうつしてそう言った。
作者 「ハイどうもやってまいりましたこの時間」
トキ 「短い、遅い、雑」
作者 「すいませんでした」
トキ 「で?言い訳は」
作者 「やっぱ仕事しながらは無理だった!」
トキ 「一週間で進んだの2000字くらいだもんな」
作者 「だから今度からは週二目指して頑張る」
トキ 「もうこれ書いている時点で週一もできていないわけだが」
作者 「次から頑張る」
トキ 「なんなら物凄い短いわけだが」
作者 「つ、次から頑張る」
トキ 「つなぎ方も雑なわけだが」
作者 「すみませんでした」
トキ 「あとは、何かこれ挙げないときは他の挙げるとかいってなかったか?」
作者 「書いてから気づいた。ここ(なろう)は二次基本アウトー」
トキ 「だからあれほど前から調べておけと」
作者 「これはもう責任とってやめるしか」
トキ 「いやいやいや、寧ろ書け」
作者 「ひたすら書きます」
トキ 「よし」
作者 「……気を取り直しまして」
トキ 「はい、何時もの今回のお話ね」
作者 「今回は……なんだろう」
トキ 「作者が説明できないくらいに短くて内容の無い話と?」
作者 「いや、そんなことは無いですぅ」
トキ 「唯ひたすらに腹が立つなお前」
作者 「そう、ほら、餌付け回とか。撫で好き開花とか」
トキ 「おいこらやめろ、早くもこの話は終了ですね」
作者 「じゃあトキの腹黒さが滲み出た回」
トキ 「あの考え、そんなに黒いか?」
作者 「……(引き」
トキ 「おい、無言で下がっていくな」
作者 「本当は、この子はやさしい子なんですよ」
トキ 「やめろ。フォローするな。心に来るだろ」
作者 「どうしろっていうのさ!?」
トキ 「唐突に切れんなよ!?すこしおちつけ」
作者 「……ふぅ」
トキ 「この上げ下げには付いていけない」
作者 「よく言われます」
トキ 「……開き直っちゃうんだ」
作者 「さて、用語説明のコーナー」
トキ 「ごり押しィ!?」
作者 「といっても今回なんか説明するものありましたっけ」
トキ 「あー、教会とか神社についてとか?」
作者 「んー、この世界、教会は大崩壊以前から、何時かにいた過去の神様の教えを広げる概念的な存在ですね」
トキ 「……昔、神様がいたのか?」
作者 「少なくともこの世界の教会の教えの中では、居たということになっております」
トキ 「じゃあどんな教えなんだ?」
作者 「汝隣人を云々」
トキ 「おいィ!?そのままじゃねぇか!」
作者 「ただ、大崩壊時点で教会は権力者の都合のいいような形になっていたため、大崩壊で上がほぼ消えて原型ありません」
トキ 「つまり、唯みんなでそういうのがあるといってるだけ?」
作者 「いえ、元々一部の法術が教会管理になっていたので、教会騎士とかそんなのもいます」
トキ 「強いのか?」
作者 「まあ、綺麗に強いです。唯、法術なので人間限定ですが」
トキ 「ハーフは?」
作者 「使えます。というかハーフは血の濃いほうを使えますが、今では気づかれることもほぼ無いです」
トキ 「なぜ?」
作者 「魔法主流で法術や魔術を管理しているところが、ハーフ嫌いだったからです」
トキ 「ありきたりだな」
作者 「しかもハーフがどちらかを使えるという事を、このハーフ嫌いの上層部しか知らず、大崩壊以後抱え込んで死にました」
トキ 「失伝したと」
作者 「そして大崩壊後は知ってのとおり魔法社会」
トキ 「誰もつかえるかわからないものを習おうと思わないと」
作者 「憧れとかで習おうとする人もいますが」
トキ 「大半が失伝していると」
作者 「それでなお、強い人は強く、教会騎士になっていますよ」
トキ 「そういえば教会騎士の魔術版は?」
作者 「似たようなもので、教典騎士がありますね」
トキ 「教典?」
作者 「魔族側は教会って言うものはなく、教典という本をみんな持っているんだ」
トキ 「教典って言うと教えが書かれた本か?」
作者 「どうやら魔族側にも昔神様がいたようですね」
トキ 「ですねって」
作者 「その辺はいまいち今説明しにくいので」
トキ 「考えてないだけなきがする」
作者 「……ではそろそろ次の話の紹介に行きましょうか」
トキ 「マジかー」
作者 「次は、んー平和。準備回かな」
トキ 「今回とはどう違うんだ?」
作者 「まだお話してます」
トキ 「……もう話になってないっていっているし」
作者 「大体ですね。たぶんそろそろこの対談のほうが本文より長いです」
トキ 「おいィ!?」
作者 「書いている時間たぶんこちらのほうが長いですもん」
トキ 「……本文書けよぉ」
作者 「いやー何も考えずに書くって簡単」
トキ 「だったら十分もあれば終わるだろうに」
作者 「設定を考え出したら大変!でもそれがいいのです」
トキ 「設定厨の癖に雑な状態で書き始めるという」
作者 「設定を完璧に考えきってから書き始めると途中であきます」
トキ 「おいィ!?」
作者 「設定が完全に固まっている=あたまのなかで物語が完成している。
つまり何度も完成した物語を読んで反復しつつ写しているだけなので」
トキ 「確かに飽きそうだけど」
作者 「私は考えつつ書きつつ位がちょうどいいんですよ」
トキ 「だから書くのが遅いんだろ?」
作者 「それに関しては申し訳ありません」
トキ 「で?週二いけそうなのか?」
作者 「もう基本休み中に1話と平日に運がよければ1話という形になると思います」
トキ 「それでも大分睡眠削って書いてるもんな今回」
作者 「く、もっと早くかけるはずなのに、ブランクが憎い」
トキ 「そりゃ、2年近く書いてなかったんだろ?遅くもなるわ」
作者 「偶に書いてはいたはずなんですけど」
トキ 「今の平日状態で?」
作者 「それがでかいですね」
トキ 「まあ、期待せずに待って置いてくださいって感じか」
作者 「自分的には週二を期待したいです」
トキ 「やってから言おうな」
作者 「ハイ」
トキ 「……駄目だこりゃ」
作者 「それでは皆さん、次回も終わることの無い夢の中でお会いしましょう」
トキ 「しましょう。……次が何時になるやら」
作者 「因みに、ここで本文の文字数を越しました」
トキ 「おいィ!?」