第20話
キャラバン生活の二日目。
それは夜の帳が落ちる少し前から始まる。
起きるのが早い商人達は、その頃から続々と起き出して来る。
それらとは別に、先に起きている影がある。
「それじゃあ、今日はそちらに任せてもいいんだよな」
「ああ、任せてくれ」
トキとユエ、それに寝ずの番をしていた早番の傭兵だ。
このキャラバンを守る傭兵や冒険者は全部で8人、トキ一行を覗けば傭兵5人だ。
それぞれがそこまで強い傭兵ではなく、チームを組んで小規模から中規模程度の依頼をこなしているとか。
全員合わせても、魔物相手には時間稼ぎができる程度の実力だと思えばいい。
ただ、強力な固体が相手で無ければ、逃げ切る程度は出来る実力者達だ。
今回早番をしていたのは、緑髪をつんつん頭にした屈強そうな男性、『ヘクト』。
それに赤い長髪を後ろ髪にまとめた女性、『リーシャ』だ。
どちらもさばさばとした雰囲気を持つ、いかにもといった傭兵気質の二人である。
「しっかし魔物狩りとはな。成果はあったのか?」
「ああ、おかげさまで一体狩れた。一度食われたけどな」
「食われ、って大丈夫なのかい?」
「生憎うちの二人は、俺なんて居なくても単独で魔物狩りが出来るくらいには強いからな」
「そうね。でも誰かさんは、私達が何かする前に自力で魔物を倒して脱出してきたわよね?」
俺がユエとソウの化け物っぷりを伝えていると、ユエはじと目で反論してくる。
「脱出出来なかったら、今頃俺は君の魔法でお空の上だろうな?」
「あら、脱出するまで結構な時間、魔法も我慢して待っていてあげてたんだけど、そんな風に言っちゃうんだ?」
売り言葉に買い言葉でユエと口論していると、傭兵のお二人さんは少し引き気味になっている。
「とりあえず、お前達が一人で魔物を狩ったり、魔法も使わずに時間稼ぎが出来る程の力を持っていることは分かった」
「あはは、化け物ぞろいさね」
「「失敬な」」
俺は二人ほど人間止めてないぞ。
普通に戦ったら一般人の攻撃力で倒れるからな。
ソウとユエはなんと言うか、そう簡単に倒れないだろう。
「ま、それだけ強ければこっちも安心さね」
「そうだな。一応朝方にもう一度話しに来るけど、何かあったら通信結晶で」
「ああ、分かった」
そう返事をして、手の平大の結晶を見せ合う。
見せ合った結晶は、通信結晶と呼ばれる古代道具である。
登録している固体同士で会話が出来るという物で、大崩壊以前では一般で出回っていたと言う話しだ。
その作成技術自体は魔法鍛錬師達に伝わって居るので、現在でも少数ながら創られてはいるらしい。
その素材とした結晶の純度や種類によって声の澄み具合、周りの音の入り具合、記憶の容量、通信距離などが変わってくる。
俺の結晶はレインボーオブシディアンと呼ばれる斑色の黒い透けた結晶。
ある程度の純度を持っているため、ある程度の通信距離に声の澄みを持っている。
ただ結晶の種類上、記憶の容量は大きいものの、周りの音はがんがん入って本来の通信が聞き辛いのが欠点だ。
場合によっては使えるからいいと言えばいいんだけどな。
二人と分かれると、俺とユエはソウの許に戻る。
案の定、ソウは未だに夢の中だ。
無理も無い、先ほど帰ってきて3時間程度しか経っていない。
旅慣れていないソウはもう暫くこのまま寝かせておこう。
と言うか起こしても寝ぼけてて暫く使い物にならないだろうし。
ソウのずらした布を掛けなおし、荷車のほうへ向かう。
すると、昨日も乗せて貰った馬車の持ち主、ゴルブ家の夫婦が出立の準備を行っていた。
そのうちの夫のほう、ブラフさんが向かってくる俺とユエに気づく。
「おーう、おはよう。素材鑑定しておいたぞ」
「おはようございます。それで、どれくらいですか?」
「ざっとこんなもんだな」
「はあ?こんなに貰っていいのかよ」
示された値段は、ソウの装備に使ったお金には届かないものの、かなりの金額だ。
グランドピークに着いてから、それからの準備をするために、贅沢しなければ足りうる程度の金額。
「グランドピーク行きに良い手土産だ。この品質ならこれぐらい安い安い!」
「んじゃ、それで商談成立だ」
「あれ、交渉しないの?」
「交渉の必要ないぎりぎりの所で金額を提示してるんだから、必要ないよ」
「お、分かるのか?」
「最初の師匠に死ぬほど叩きこまれたんでな」
まあ、分かると言っても基本的な値段だ。
鮮度やら品質やらで加算されたものについては、そこまで自信が無い。
その辺は商人の気分や気質によって変わってくるためだ。
「分かってくれるなら楽でいいな!」
「何言ってんだい!そうやって最初から最低金額で示すから舐められるんだよ!」
「あいたぁ!?トラン姉ぇそれきついぜ!」
後ろから来た奥さんらしき人から殴られて蹲るブラフのおっちゃん。
奥さん、だよな?姉ぇとか言ってるけど。
「悪いねぇ、この人いつまで経っても昔の癖が抜けなくてね」
「昔?」
「この人とあたしは昔同じ師匠の下で学んでいたのさ」
「ああ、そういうこと」
で、そのまま姉弟弟子同士でくっついたと。
最近はわりかし良く聞く話だ。
「とりあえず、金は最後でいいんだよな。まだ何度か狩りに出るんだろ?全部買い取るぜ」
「ああ、ガッツリ高く買い取ってくれ」
「任しておきな!こちらとしてもグランドピークに着く前に色々補充しておきたいからな」
「ついでに薬草なんかもあったら採って来ておくれ。高値で買い取るよ」
「あいよ」
一通りの挨拶を済ませると、キャラバンは朝の準備を終えて、少しずつグランドピークへの道を進み始めていった。
作者 「どうもこんばんわ、後書き対談です」
トキ 「ちわーす。って、テンション低いな。長がつくほど短いし」
作者 「キツカッタのです。時間がタリナイのです」
トキ 「あかん、壊れてる」
作者 「そんなわけで、今回は巻きです巻き」
トキ 「と言っても今回特に見所ないよな?」
作者 「そうですね。ただ、今回のキャラバン用の傭兵キャラたちの紹介で所でしょうか?」
トキ 「全員でた訳でも無いしな」
作者 「比較的からませ安いやつらをチョイスしました」
トキ 「残りは?」
作者 「リーダー役と魔法使い二人。今回の二人は前衛ですね」
トキ 「詳しい説明はしないのか?」
作者 「それぞれが全員出た時にでもさせていただきます」
トキ 「そうやって後回しにするー」
作者 「今回は極力後回しに行くスタイルで」
トキ 「いよいよ此処なんで書いたんだよ」
作者 「寝ぼけた頭を覚醒するため?」
トキ 「あ、もうここの事明日覚えて無いヤツダ」
作者 「さてはて」
トキ 「……あとはゴルブ夫婦の紹介?」
作者 「まあ、最初数回は説明会的な感じで」
トキ 「いつもどおりだな」
作者 「あ、あはは」
トキ 「あとは、次回予告か」
作者 「この続きで」
トキ 「簡略!?」
作者 「実際短いですし」
トキ 「長くしろよ」
作者 「きっと次も短いですし」
トキ 「なんだかなぁ」
作者 「と言う事で今回はこの辺で、次回も終わらない夢の中でお会いしましょう」
トキ 「ほんとに終わった!?いよいよ後がき何のためにあるんだ!?」
作者 「もー全部来週のわたしに投げます」
トキ 「負債が増えていくパターンや!?」




