第13話
「―――っ!?」
それは、紛れも無く、今まで見た中で最強の衝撃だった。
光が視界を埋め尽くし、爆音が周囲をなぎ払う。
幸か不幸か知らないが、偶々自分のいた周囲以外を悉く蹂躙したその爆発は、その爆発の規模に見合わず、その建物を全損させる程度で収まった。
私は魔法薬で回復したとは言え、未だ節々の痛むその体を緊張で強張らせ、周囲を確認する。
ひどいところでは、残った地面から抉れた地面までの落差は、二階建ての家が丸々はいるくらいの高さがある。
さらに言うなら、つい数十秒前に水浴びしていた湧き水の泉は、爆発の余波で消え去っている。
あれが自分の身に襲いかかっていたらと思うと冷や汗が止まらない。
やはり、あの霊験あらたかそうな湧き水を、水筒で持ち帰って売ろうとした事で罰が当たったのだろうか。
おかげで一杯分しか確保できなかった。
あーあ、この程度じゃあ、今回の損害は全然取り戻せない。
命の危険が去ったとはいえ、早々に心配することが損得勘定とは、我ながら可愛げの無い性格だと苦笑する。
「というか、あの爆発、あの二人が向かって行った方よね?大丈夫なの」
爆発によって抉れた中心地を見ると、二人の人影が見える。
どうやら状況からして、あの女の子のほうが先ほどの爆発を起こしたのだろう。
いくら変な水があったとはいえ、あの隊長たち程度の実力では二人がどうこうなるとは思えなかったのだけど。
あんなふざけた魔法を使うくらいだ、隊長達は存外の粘りを見せたのだろう。
まあ、何があったかは知らないが、無事に二人が勝ったようで良かった。
この惨状で良かったかと言うと、微妙なところな気もするけれど。
「あれ、もう朝?」
夜の帳が辺りを隠していたところに、一筋の光が射す。
光の出所に振り向くと、ちょうど朝日が昇ってくるところ……?
「朝日?」
何か違和感。
きょろきょろと辺りを見回せば、なんだか森が低くなっている。
つい先ほどまで鬱蒼と全てを覆い隠すように覆い茂っていた森の木々は、今では人の腰程度になっている。
よくよく観察して見ると、木が縮んでいっている事に気づく。
「い、いやいやいや、そんな阿呆な。」
まるで植物の成長記録を逆再生で見ているような木々の縮み具合に、自分の中の常識が崩れ掛ける。
唖然として眺めていると、気づけば木々は無くなってしまい、森があった場所は草原へと変わり果てていた。
遠くのほうに、ぽつんと豆のような、隊長たちが守っていたアルベルト卿の町―ホワイトポートが見える。
「……―キ!だ―――トキ!ト―ぃ!」
「……?」
辺りを観察していると、爆心地のほうから叫び声が聞こえてくる。
おそらくあの女の子の方だけど、何かあったんだろうか。
抉れて高低差がついた地面を飛びおり、二人の元へ駆け寄って見る。
爆発で抉られた割に、やけにやわらかい土で足をとられつつ近づくと、女の子が半狂乱になって泣き叫んでいた。
「……傷つきし者の休息の光、この者の傷を癒せ―――ヒール!……はぁっ、あ、だめ、だめだよトキ……」
詠唱をしてはいるが、まったくその魔法は発動していない。
その手の先には、腹に大穴をあけて倒れこんでいる男の子の、トキの姿。
私の渡した緊急回復の魔宝石の効果か、辛うじて生きてはいるようだが、時間の問題だろう。
「……っ、あ、さっきの……お願い、トキを助けて!」
私の存在に気づき、縋るような目を向けてくる女の子、こちらは確か、ソウ。
まるで救世主でも見るかのような目で見てくるが、生憎私はあまり回復魔法が得意ではない。
精々出来ても死ぬのを先伸ばしにする程度だ。
私は困ったように頭をかき、そう説明する。
「……そんな」
ソウが絶望した声を発しているが、私にとってもトキは死んではほしくない。
どうしようもないかと足元に目を向ければ、先ほどトキがくれた魔法薬が転がっている。
「あれ、これがあるじゃない。これを飲んであなたが魔法をかければいいんじゃ?」
「……あの水を掛けられて、精霊が寄って来れないの」
ああ、結局、掛けられてしまったのか。
それならばこの惨状も頷ける。
むしろどうやって勝ったのかが気になるところだ。
「あれ?でもさっきの爆発は?」
「……あれは、残った魔力全てを使って極位を無理やり撃ったの。ほんとなら、森ごと消し飛ばすくら―――」
「おーけー、分かったわ。とりあえずこの子を助けましょうか」
「……出来るの!?」
私は懐から先ほどの湧き水を入れた水筒を出す。
あーあ、これで本格的に今回の儲け無しかぁ。
そう思いつつも、その水をソウの頭からぶっ掛ける。
「……っ、この水」
「そ、あんたのところの湧き水。残念ながら源泉は消し飛んだけどね」
「……これで」
「ほら、あとこれも飲みなさい。回復が使えるようになるまでは私が持ちこたえておくから」
トキの回復薬をソウに渡す。
この手の回復薬は飲んですぐに回復するわけではない。
自然回復がとても速くなる程度、少なくともトキの傷を癒せるようになるまで数時間って所だろう。
それくらいなら、私の回復魔法で何とか死ぬのを先延ばしに出来る。
「……ありがとう」
「いいから、涙拭きなさいよ」
多少擦り切れたハンカチを渡す。
ソウの顔は泥と涙と鼻水とでぐちゃぐちゃだ。
さっきまでの能面のようなきれいな顔と同一人物とはとても思えない。
「さて、と、はじめますか」
「……お願い、します」
腕まくりをして、改めてトキを見る。
大分酷い状況である。
腹の傷以外に、火傷やら打身っぽいのやら、良くまあ死んでいないものだ。
これで死なないなら、まあたぶん大丈夫でしょう。
「優しく育め生命の神秘、其の鼓動と共に回復せよ―――ビート・ヒーリング!」
光がトキを包み、ジワリと回復する体と、壊れ行く体で均衡を保つ。
私の魔法では、しっかりと治せる人が来るまでの応急処置くらいしか出来ないと言うのは、この回復量が理由だ。
もともと一気に回復するタイプの回復魔法でもなく、私自身の適正も低いため、回復が壊れていく体の速度に追いつかない。
魔力を振り絞って、今の均衡状態くらいが精一杯なのだ。
「……トキ、死なないで、トキぃ」
ソウはひたすらにトキに声を掛ける。
まあ、とりあえずこれで暫くは大丈夫だろう。
魔力が持つかどうかだけが心配事項ではあるけど。
まったく、これで貸し借り無しだからね。と、意識の無いトキをにらみつける。
……若干、こちらのほうが貸しになっている気もするけど。
***
―――目覚めると、そこは崩れ掛けた屋根の下だった。
不思議とあまり痛まない体を起こし、周りを見渡せば、隣で丸まるように眠ったソウと、壁に寄りかかって座り、腕を組んで眠る傭兵。
ソウは特に傷も見当たらず、多少感じられる魔力が弱いものの、落ち着いて回復して言っているのが分かる。
まあ、ソウのほうはそこまでひどい怪我をおっていたわけでも無いから、そんなに心配はしていなかった。
傭兵のほうも、ぱっと見では傷も大丈夫なようだ。
どうやらあの回復薬は無事に効いたようである。
最後に、自分の体を確認する。
重火傷、右手、腹、計二箇所。
軽火傷、多数、細かく全体。
裂傷、体中ちらほら。
お腹の貫通痕は……表面的には塞がっている。
内臓は……多少違和感がある程度、大丈夫そうだ。
最後の時は本当に死んだと思ったんだが、良くもまああの傷を治せたものだ。
あの時、ソウは確かに魔力が空っぽだったし、可能性があるとしたら傭兵だが……よく生きてたな?
見たところ大した傷も残っていないし、ぎりぎり爆発範囲から外れていたのか。
だとしたら運のいい奴だ。
傭兵も、俺も、もしかしたらソウも。
今回は、殆ど運のみで勝ったと言えるだろう。
……いや、守るべき”なにもない”が壊れている時点で、勝ちもなにもないか。
自分で壊しておいてなんだけども。
しかし、此処はどこだろう。
きょろきょろと辺りを見回せば、なんとなく見覚えのあるような、そうでもないような。
上を見れば辛うじて残っている橋の下のような木造の屋根。
辺りを見れば、扉と障子が無くなっているかのように消えている畳の部屋。
……そうだ、ここ、居間か。
いつも机が置かれているところに自分が寝ているわけだ。
焼け焦げていて、ずいぶんと景色は違うが、おそらく間違いないだろう。
食堂や通路に当たるところは消失しているようだ。
「……ん」
隣で、目を腫らして眠っているソウの頭をなでる。
こいつの家、だったんだよな、ここ。
完全に、廃墟と化している周囲を眺め、ため息をつく。
これからどうしようかと考え始めたところで、朝日が昇り始めた事に気づいた。
そして、そこである違和感に気づく。
「……朝日?」
神社の回りは鬱蒼とした森だ。
朝日など、日が木の上に来た時、つまり完全に明るくなってからしか見えない。
それが、今暗い時間に見えている。
「……森が、消えている……?」
そうだ、森が無い。
あの、俺が散々迷った、馬鹿みたいに広い森が丸々無くなっている。
見えるのは広々とした草原。
木の影なんて見える限りまったく無くなっている。
まるで、今まで見ていた景色は全て夢や幻だったかのような、不安感が襲ってくる。
と、そこでソウが身じろぎをして身を起こした。
暫く目を擦り、俺が起きている事を確認し、ほんの少し目を見開いた。
「……トキ?」
「ああ、おはよう、ソウ」
「……おはよう、体、大丈夫?」
「うん、大丈夫。治してくれたのは?」
「……そこの、傭兵さん。私は、魔力が切れてて」
「そっか、ソウも、ごめんな、心配掛けて」
傭兵には起きたら、お礼を言わないといけないな。
と、傭兵の方を見れば、いつの間にか起きている。
体勢をそのままに、片目を開いてちらちらとこちらを伺っている。
……気でも使ってくれているのだろうか?
「えーと、傭兵も、ありがとうな。助かったよ」
「え、ええ、私としてもあなたが死んでいなくて良かった」
「その様子だと、魔法薬はうまく効いたようだね」
「そうね。あれが無かったら、あなたは此処にいなかったと思うわ」
「違い無い」
はっはっは、と二人して笑う。
この皮肉の掛け合いのような会話には一抹の懐かしさを覚えた。
そんなに長い時間、町から離れたつもりは無いのに、と少し可笑しくなる。
「それより、外は一体どういうことなんだ?何が起きた」
「よくは知らない。ただ、あの爆発が起きた時から、一気に植物が縮み始めたわ」
「縮んだ?」
「地面に沈んで行ったと言い換えてもいいかもしれない」
「ソウは何か知ってるか?」
「……知らない。上ってきてはじめて気づいた」
「むう」
あの爆発が起きた後、というと、この神社に何か木をはやすような装置があったと考えるのが分かりやすいか?
それとも”なにもない”を斬った事で何かが起きたのか。
いや、考えてもしょうがない、か。
木がなくなったのは事実だ。
そこに魔法的な要素が絡んでいたとしても、もうすでに調べる術はない。
今は、此処から町へ帰るのが楽になった程度に考えておけばいい。
さて、あと今考えるべき事は、だ。
「ソウ」
「……ん」
「これから、どうする?」
「……」
「人の住む町まで、送る程度はやるぞ」
「……トキは?」
俺は、もともと旅人だからな。
ソウを町まで送り届けた後は、また根無し草の生活に逆戻りと言うところだろう。
今回の事で、記憶の新しい場面も見れたことだし、多少は見つかる可能性も増えたんじゃないかな。
全部燃えきっている可能性も増えたわけだが。
「まあ、適当に、当ても無く、世界をうろつくつもりだ」
「……なら、ついてく」
「ついてくって、危ないぞ?」
行き倒れたり行き倒れたり行き倒れたり、魔物に襲われたりするんだから。
「……トキは、危なっかしい」
「いや、少なくともソウほどではないと思うんだが?」
「……目を離すと、すぐ無茶」
「俺が無茶した時って大体ソウもいたような……」
「……大怪我してるのに助けに来るし」
「結果オーライだったろ?」
「……だから、トキのぼでぃーがーど」
「なんて頼りになるボディガードだよ」
魔法が無詠唱で乱れ撃ち出来るボディガードなら確かに最強の部類だろう。
この危なっかしい世界でこれほど頼りになる存在はいないと言っても過言ではない。
……完全に世間離れしている。と言う事を除けばだ。
「いいじゃない、連れて行けば」
「簡単に言うけどなぁ」
「それとも何?何も知らないところに一人で放り出すの?」
「いや、お前がいるし」
「さらっと面倒ごと押し付けようとしたわね、あんた」
「大体、俺には目的があるんだよ」
「……わたしにも、目的がある」
「うん?」
「……この場所以外の、神社を探す」
ああ、そう言えばあの本には残り6箇所の同じような場所があるとか、ないとか。
あの本自体、眉唾のような気もするけど。
「なに、ここ以外にも似たようなところがあるの?」
「ああ、6箇所ほどあるとか書かれた本が……あった」
「ああ、消し飛んだのね」
「そういえば、建物はどれくらい無事だったんだ?」
「……トキの部屋半分と、わたしの部屋の壁際、あとこの部屋が半分」
「なら、もしかしたらその本が残っているかもな」
「……トキのカバンは無事。本は無かった。だけど平気」
「何が?」
「……大体の場所は覚えてる」
「でもあの本、大雑把にしか書いてなかったろ」
「……だから、大体わたしが居れば、たどり着ける」
……どうあってもついて来る気らしい。
適当な町でお金渡して放置して行くのもいいが、この世間知らずは一瞬でだまされて売られていくのがオチだろう。
なら、ある程度常識が分かるまで、目の届くところにおいておくのも手か?
少なくとも放置して売られてました。なんてなると目覚めが悪い。
実力だけなら文句無しだし、戦闘時足手まといになる事は無いだろう。
生活面では確実に足手まといではあるが。
……まあ、もとより当ての無い旅だ。
とりあえずソウの言う、ここ以外の神社を目指して見ても良いかもしれない。
「あ、ちなみに私もついていくわよ?」
「はあ?お前は元の場所に戻れば良いじゃないか」
「今回の件は、アルベルト卿から秘密裏に依頼されたものなのよ。つまりもう、住んでいたあの町は終わり」
「……まあ、たぶんそうなるけどな」
今回の件、そのまま放置しておくわけには行かない。
少なくとも、ギルドや商人たちに話を流して注意勧告しておく必要がある。
彼はどんな手を使っても欲しいモノを手に入れようとするから気をつけろ、と。
言葉だけでは信じられなかったかもしれないが、幸いと言うかこの場所や隊長の財布など、状況証拠が揃っている。
そうなると町はお終いだ。
住んでいる人たちはどんどん町から離れていき、残るはガードの人や直接雇われた人のみ。
それでは生活が出来やしない。
協力し合って生きていると言う事を、まとめ役が忘れてしまっては誰も近寄らない町の出来上がりなのだ。
どうせ住居なんかはすぐに移動できる。
この場所のようにどっしり構えた家なんて怱々ある訳じゃないのだ。
今の時代、いつ魔物に町が襲われてもいいよう、住居と言うのは移動式の仮組みが主流だからな。
「まあまあ、今回の件をみんなに伝えるの、手伝って上げるからさ」
「それとこれとは別だと思うぞ」
「それに、こう見えて私、料理とかうまいよ?」
「……一緒に行く」
「おいぃ!?」
料理がうまいの一言で完全にソウが釣られてらっしゃる!?
「……だめ?」
「ぐむ……」
そ、そんな上目遣いでお願いして来ても……。
「あ、ちなみに、あの魔宝石、ひとつで家が買える位の値段なのよねー」
「……む」」
「本当だったらまだ数十回は使えた品なんだけどー、誰かさんが無茶な使い方をした所為でただの石ころにー」
「……はぁ、分かった分かった。連れていけばいいんだろ」
「あら、なんだか催促したみたいで悪いわね」
「良く言う」
ちなみに、別に値段云々で決めたわけではない。
渡したあの魔法薬だって、ひとつで普通に家くらい買えるような値段だ。
運よく討伐できた魔獣の素材と交換で値引きし、貯めに貯めた貯金を切り崩した一品だった。
こいつには一応、命を救ってもらったと言う借りもあるし、しょうがないかと言うのが実情だ。
「じゃあ改めまして、私の名前はユエ。ユエ・プライズノート。今後ともよろしくー」
「トキ、だ。家名は無い」
「……ソウ」
「おーけーおけー、どちらも愛想が無いのはよーく伝わったわ」
「そちらこそ、向こうにいたときとは大分雰囲気が違うようだな」
「まじめな時と、そうでない時って言うのがあるでしょう?」
つまりこちらは真面目では無いと。
「しばらく一緒に行くのに、ずっと気取っていたら疲れるもの」
「確かにな」
「ああ、ちなみに年齢は18よ。むらむらしても襲わないでよね?」
「襲うか!?」
確かにこいつ、ユエも大分綺麗所ではあるが、と眺めて見る。
銀のようにも見える灰色の髪を肩下まで伸ばし、あどけなさを残す大きな瞳に整った表情。
腰には多少分厚いがサーベルらしきものを佩びている。
服装はあれから着替えたのか、普段の旅装束なのか、最低限体の急所を守った装甲と、手の動きやすさ重視か、肩が出た厚めの服だ。
スタイルは……この間の感触的にあまり大きくは無いと言ったところか。
「ねえ、とても失礼な事を考えてない?」
「……さて、そうと決まれば早めに町を目指しますか」
「ちょっとー?」
「……体は、平気?」
「これくらいなら町売りの魔法薬でも飲めばすぐに良くなるよ」
「……それくらいなら、後で魔法をもう一度」
「うーん、余裕があればお願いしたいかな」
「……平気」
「あんたたち態とよね!?」
うるさいな。と、ソウがもって来てくれた自分の荷物を整理する。
うん、森が無くなって思ったより町も近いし、何とかなるだろう。
隣を見ればユエはぶつくさ文句を言いながらも支度をしている。
ソウは……あれ?
「ソウは準備しないの?」
「……使っていたもので、無事なのが服数着だけ。もうまとめてある」
「ああ、そう言うこと」
町に着いたらまずはソウの旅用装備を整えないとな。
防具と武器……はまあ無くても良いから護身用の程度。
後は旅用の鞄に日除けのローブ、生活用品数々。
……ユエ、裕福そうだし、金ちょっと出してもらうか。
女の子の旅用に何が必要かなんて分からんし。
「……用意したのがこれ」
「あ、ああ」
「ふろ、しき、ですって……?」
ソウが持ってきたのは大風呂敷に包まれた何着かの服。
それを背負うと夜逃げでもするのかという格好になるはずだ。
しかも中身は全部紅白のように見える。
「その服だけでいいのか?」
「……ん、このほかには寝巻きだけ」
「……ユエ」
「ソウ、町に着いたら洋服屋めぐりしましょう。大丈夫、面倒事は全部トキに投げてでも連れて行って上げるから」
「……別に、これで、いい」
確かに、ここにいる間ソウの服と行ったら、その服しか見ていないかもしれない。
年頃の女の子だろうに。似合ってるけど。
「……巫女服は、神社を象徴するものだから。だから、これでいい」
「……いいと言うなら止めないけど」
「でも服屋は行くわよ」
「……いい」
「いくわよ」
「……いいって」
「行くと言ったらいくの」
……なにやらユエにとって譲れないところがあったらしい。
後ろで不毛な言い争いが続く中、俺は黙々と旅支度を整えた。
作者 「ハイどうもこんにちわ。後書き対談のお時間です!」
トキ 「復活しました、トキです」
作者 「テンション低いですね!」
トキ 「お前は高いな」
作者 「夜勤だったので、久々に」
トキ 「ここに来てしまったからな、久々に」
作者 「ちょっと、ここがいやみたいに言うの止めません?」
トキ 「ノーコメント」(ため息
作者 「態度で嫌を示している!?」
トキ 「ずっとユエの奴で良いんじゃないか?」
作者 「あっちはちょっと硬くて私が疲れます」
トキ 「カムバーック!」
作者 「と言う事で今回のお話」
トキ 「今回、長くね?」
作者 「夜勤と言う事でがっつり書きました」
トキ 「ぐだぐだだけどな」
作者 「よくあります」
トキ 「で、俺が復活と」
作者 「やー、ユエさんのおかげですよ。感謝してください」
トキ 「ユエ、ご愁傷様」
作者 「何で悔やんでるんです!?」
トキ 「そうだな、ユエの紹介をしてくれるか」
作者 「良いですけど、何で悔やんだんです?」
トキ 「よろしく」
作者 「……テロン♪ユエ・プライズノート。人族と魔族(恐らく幻惑魔法使い系)のハーフとしてこの世に生を受けるが、一家離散、孤児になる。
魔法研究家の師匠に拾われ、もう一人の弟子と共にめきめきと魔法を覚える。ちなみに、プライズノート姓はその師匠のモノ。
ある程度の魔法を覚えた後、魔法研究家を継いだもう一人の弟子と分かれ傭兵に。実力、信頼は高く、割と有名な傭兵となる。
研究を継いだのはもう一人のほうだが、彼女も適正が高く、独自に魔法を開発なんかもして居るらしい。
ただ、もう一人の弟子に頭が上がらず、色々と頼まれごとをしているのだとか。苦労人。属性適正・回復以外◎回復△」
トキ 「何だこれ」
作者 「設定資料の丸写し」
トキ 「おいぃ!?横着すんな!?」
作者 「ちなみに、これ以上設定が増えるとしたら、後付けになります」
トキ 「そういうこと言っちゃう!?」
作者 「と言う事で、仲間にしたので図鑑に載りました」
トキ 「何とかモンスターじゃないんだから!!?」
作者 「そう、これ、この突っ込みを待ってた」
トキ 「態とかおまえ!?」
作者 「そしてソウとユエがパーティに正式加入しました」
トキ 「騒がしくなるな」
作者 「そしてトキの心労が増えます」
トキ 「それはユエに渡すわ」
作者 「後は、この後の行動方針ですね」
トキ 「といっても行ってた通りだろう?町崩し」
作者 「それが結果が出るところまでが一章と行ったところですかね」
トキ 「あと数話ってところか?」
作者 「そうですねー。4月中には終わるんじゃないですかね」
トキ 「はたして、終われば良いけど」
作者 「そうですねー夜勤の割合によります」
トキ 「ずっと一謹かな」
作者 「やめっ、この話題止めましょう!」
トキ 「なら、そう言えばユエと俺が貸し借り云々言ってたが、実際のところどうなんだ?」
作者 「大体トントンですよ?魔法薬と魔宝石、爆発から守るのと死からの回復」
トキ 「ああ、そうか、そういや、あの爆発を切り裂いた範囲にユエも居たんだっけ」
作者 「つまり大体とんとんです」
トキ 「確かに」
作者 「では、次回の予告ですね」
トキ 「流れ的には町に向かう流れだよな」
作者 「そうですね、町へと向かって到着した云々辺りまでですかね」
トキ 「話は全然進まないのな」
作者 「来週一謹」
トキ 「OKわかった」
作者 「ただ、ようやく書くペースが上がってきたので、どうなるかは分かりません」
トキ 「ちゃんと上げるなら良いさ」
作者 「大丈夫、たぶん問題ないです」
トキ 「その言葉が問題だらけじゃないか?」
作者 「よくあります」
トキ 「あっちゃだめだろうに」
作者 「さて今回はこの辺で、皆さん、次回も終わらない夢の中でお会いしましょう」
トキ 「今回短いな」
作者 「予定が詰まっているのですよ」
トキ 「予定?」
作者 「FF零」
トキ 「おい、来週どうなるか分からないってもしかして―――」