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16 糸

華やかだ。それが第一印象。この国ズィークはファルベを追われたものが集まって造られていると聞いたものだからてっきり(すさ)んでいるのだろうと思ってしまっていたが

レンガ造りの家々。整備された幅の広い道路。道の真ん中を行く馬車。その脇を駆ける子供たち。様々なデザインの店看板に、昼過ぎとあってかトウモロコシやらパンケーキやらの香りを漂わせている屋台。

そんな華やかさの中を行き交う人々。


「活気があるな」


元々孤児院の中以外を知らない身であるのでどこがどうとはいえないが、人々の営みを肌で感じる。それだけで活気を感覚することができる。

そんな雑踏の中をラントが行こうとするので


「ちょっとまてラント。お前どこ行く気だ」


襟首をつまみ上げる。

といっても身長差はほとんど無いためつまみ上げるという表現は正しくないが、まあ気分だ。


「だって兄ちゃんは病院で治療中で面会できないし、ディヴェルトはさっき言ってたなんちゃらっていう研究者さんに話聞きに行くんでしょ?私、いらないじゃん?」

「話を聞くことに関して自分を戦力外と判断した潔さは認めるが」


これから話しに行く研究者はこの国の科学?を支えている第一人者らしく、ここで暮らして行くにあたって対面しなければならない重要人物なのだという。


「どうする?ここで生きていくために何か大きな選択が迫られたら。ラントも一緒に選ぶべきだ」


そうだ。生まれたときから孤児院にいた。首都へ出れば自分の人生を掴めると思った矢先に国外へぽいっだ。まともに選択の余地がなかった分、ここからは賢明に選択したい。・・・15歳の少年が選べる事なんて限られているかも知れないが。

そんな僕の心配も知らず愚妹(ぐまい)は言う。


「全部“Ja”(はい)で答えてきていいよ☆」

「よくねえよ☆」


笑顔のラントと笑顔を貼り付けただけの僕が取っ組み合いを開始する。


見かねたリーベが提案する。


「え、えーと、ラントさんは国を見て回りたいんですね?」

「おう!」

「この辺りでは大きな事件や悪い噂は聞きませんし見て回っても大丈夫かと思いますよ?ディヴェルトさんには私が案内役としてついていきますし」

「いや、でも」

「百聞は一見にしかずと言いますし、実際自分の目で見て回る方がより理解が深まるかと・・・ディヴェルトさんはアルトゥールさんの話をラントさんはこの国のことをお互い後で報告という形にすればいいんじゃ・・・おそらく選択することはあると思いますが結論を急げとは言われないはずなので」

「「よし、それで」」


お互いの意志を()んだ意見に感動する。

リーベはやはり女神のようだ。

あれ?リーベの顔赤い?何でだ?



ラントとは1時間後にここで会う約束をして大通りの交差点で分かれる。その際リーベはラントにいくらか貨幣を持たせてくれた。女神!僕らとそれほど歳も変わらないだろうにこの差!泣きたい!


ふと壁が目に入る。黒い壁。ファルベを覆っていたものに比べれば小規模だがそれでもでかい。


―今日の早朝はまさかこんなところに来るとは思っていなかったな


この時間には巨大な壁に囲われたファルベの首都にいるはずだったのだ。

だが今そこに何の未練もない。といえば嘘になるが、国に捨てられた僕らがあの国に戻ることは無いだろう。


―国の外に捨てられて、化け物に出会って、兄ちゃんが怪我して・・・


さんざんだ。


でも、横を見ると命の恩人がいる。周りを見ると町並みがある。


谷底に真っ逆さまだと思っていたところに細く短い糸が垂らされた。


頼りないそれは掴むにはまだ早すぎるが、心を落ち着かせるものとしては十分だ。


ここから這い上がるための材料は見つかった。


この国について聞きながら僕はリーベと共に大通りをまっすぐ歩き出す。










以下茶番

甘一「主人公をラッキースケベにしたい」

ラント「?」

甘「主人公をラッキースケベにしたい」

ラ「2回も言わなくて良いよ。でもなんで?」

甘「高校生時代に夢見ていたから」

ラ「なんか今日どうしたの。なんか気持ち悪い」

甘「ヒロインを女神のような人にしたのは良いけどうらやましすぎるんだよおおおおお!」

ラ「嫉妬?」

甘「私にも良い思いさせろよおおおおおおお!」

ラ「それで何かエロいこと書こうとしてるわけ?」

甘「・・・うん」

ラ「ええー。でもあの女神のようなリーベだよ?そんな事したら汚れちゃうんじゃ」

甘「・・・・・・よし」

ラ「どうした急に立ち上がって」

甘「ヒロイン2を使うか」

ラ「あれ?まだヒロインいるんだね」

甘「うん。男だけど」

ラ「・・・」

甘「男だけど」

ラ「2回も言わなくて良いよ」






twitterの方でも活動しております!お時間がある方は是非のぞいてみてください!

アカウント名:甘一ことぶき@小説家




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