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B:Lue ~図書室の女王、夢見の人形~  作者: 湊波
図書室の女王、夢見の人形 ―the Truth ... the queen has, the doll dreams-
39/55

Intermezzo - for Doll-

 かち、かち、かち、かち。

 規則正しいその音は、わたしが生まれた時からずっと鳴り響いていた。

 音と一緒に、たくさんのことを覚えている。

 昼でも夜でも薄暗い部屋。

 埃っぽい空気にぽつんと揺れる蝋燭の灯火。

 壁一面が本棚で、収まりきらない本はあちこち床に乱雑に置かれている。

 そして、あの人の広い背中。

 ほんの少し背中を丸めて、一心不乱に机に向かって物語を書いている。


 万年筆の先が紙に時節ひっかかる、その音が好きだった。

 あの人が腕を動かす度に、さらさらと鳴る衣擦れの音も好きだった。

 静かな世界で、あの人の指先から途方も無い物語が生まれる。世界が生まれる。そんな瞬間が、好きで。


 だから、わたしはいつだって願う。

 少しだけ開けた扉の隙間から、あの人の背中を眺めながら。


 どうかどうか。

 いつかあの人の描いた夢のある物語うそ現実しんじつになりますように。

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