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B:Lue ~図書室の女王、夢見の人形~  作者: 湊波
風の乙女、勇想の少年-the Unusual ... the maiden hates, the boy wishes-
21/55

act.6

***


 自分はどうにも方向音痴らしい。よくは分からないが、他者からの評価は絶対的なものだ。そうと言われれば頷くほかない。

 まぁだがそれにしたって、である。そんな自分でも近所のお使い程度なら行けるだろう。そう思った。思ったのだ。


 だから。


「……ふむ」


 ジンは、一つ息をついた。今しも太陽が頂点を目指して上がろうかという頃、様々な荷物をのせた荷車が多く行き交う道の真ん中で。

 右手には麦芽酒の瓶を入れた籠一つ。左手には小さな紙切れ。そして腰元の愛剣。たったそれだけのジンの荷物というのは、往来の激しいこの街では珍しいものである。右を見ても左を見ても行き交う人は心なしか足早だ。その多くが荷車を馬で引かせ、さもなければ両手で抱えるほどの荷物を背負って歩いている。

 それもそのはず。国の都よりも隣国の都の方が近いカペレは、国同士を行き交う商人たちが必ずこの国で滞在することになる街なのである。

 そうして今ジンが目指していた西門は、隣国へと旅立つルクス国内の商人たちが入ってくる場所……なのだが。


「参った……なんで私は東門にいるんだ?」


 ジンの横をすり抜けた人々が向かう先。簡素な門の上部に掲げられた木の看板に書かれた文字を見て、ジンは首をひねる。一体どこで間違ったというのだろう。渡された手書きの地図をもう一度確認するが、曲がる回数も場所も相違あるようには思えなかった。

 見間違えたのだろうか。そう思ったジンは顔を上げてもう一度看板を確認するものの、やはり今いる場所は西門ではなく東門で。


「む……ぅ……」


 ますます訳が分からず、ジンは小さく呻いた。


「困った……これでは宿の女将殿から引き受けた配達ができないではないか……」

「冗談じゃないわよ!」

「あぁ、確かにその通、り……?」


 このまま配達が出来なければ冗談ではすまされまい。そう思って頷きかけたジンだったが、はたと気付いて言葉を止めた。

 ちょうど自分は今一人できたはずだ。返事をしてくれる人もいないはずである。だというのに、一体誰が……? 不思議に思って辺りを見回せば、人混みからもう一度先ほどの声が飛んできた。


「あんた達はさっきからそればっかり……! どうせ頭固いって言われてるんでしょ!」


 先程もそうだったが、随分苛々した声だ。小魚の一つでも上げた方がいいのか。そんな少々的はずれなことを思いながらジンが近づいてみれば、小柄な人影が門番らしき国兵の一人と言い争っていた。

 生成りのフードを頭からすっぽり被っている。そのせいで顔はよく見えないが、声から察するに少女のようだった。随分背が低い。歳もジンより幼いのだろう――にも関わらず、ここまで兵士相手にまくし立てられるのもすごい。

 そんな風に妙に感心しながら遠巻きに眺めていたジンだったが、そこで言い寄られていた方の兵士とふと目があった。


「?」


 相手の兵士はジンの知らない顔である。にも関わらず、じっと見つめられて、ジンは小首を傾げた。何か用でもあるのだろうか。それにしては声もかけてこないし、近づいて来ることもない。

 ただずっとジンの方を食い入るように見て。


 その目が、少しずつ大きく丸く……。


「お、オルレアン様……!?」


 不意に兵士の口から悲鳴のような声が上がる。叫ばれたのはジンの姓の方の名前で、そこで彼女は我に返った。


「……しまった」


 そう口にしてしまったのは、ジンらしからぬことに面倒くさいことになりそうだ、と思ってしまったからである。

 ここ最近の旅でカペレほどの大きな街に立ち寄らなかったのが原因だった。油断していたのだ。失念していた。完全に。完璧に。

 カペレほどの規模の街になれば国兵が必ずいるだろうということを。


 そして国兵であれば、誰であれジンのことを知っているはずで。


「ど、どうしてオルレアン様がこんなところに……!?」

「おい! 出迎えを……! 騎士様が……!」

「とっ、とりあえず詰め所を片付けるんだ! そこにお通しして……!」


 ジンの胸の内で嫌な予感が広がっていく。その一方で、目の前では蜂の巣をつついたような騒ぎに発展しつつあった。騒いでいるのは主に兵士達だが、彼らの慌ただしい動きと動揺したような言葉に周囲の人々も何事かと立ち止まり始めている。

 これではこの場にいる街の人にまで正体がバレてしまうのも時間の問題だ。おまけに、ジンの髪の色は滅多にない色なのである。一度騒ぎになれば、カペレにいる間中、行く先々で好奇の目で見られるのは間違いない。


 曰く、光の国ルクスにたった一人しかいないかの有名な騎士様が、この街にいる、と。


「…………」

「あんた、騎士様だったのね」


 それだけはどうしても避けたくて。けれど、どう言ったものか。ジンが考えあぐねていると傍らでふと、含んだような声がした。

 驚いて見れば先ほどの少女だった。フードの影になってよくは分からないが、それでも色素の薄い髪とつり目がちの目が見える。

 少女の方も値踏みするかのようにジンをしばし見上げていた。が、何を思ったのかやがて目を逸らして口を開く。


「まぁ……いいわ」

「……?」

「それより、よ……この状況なんとかしてあげるから、あたしの頼みをきいてくれない?」

「む? それはどういう、」

「騒がれたくないんでしょ?」


 なら、黙ってあたしの言うことに頷いて。そうとだけ言いおいて、少女はくるりとジンに背を向け歩き始めてしまった。

 ジンの意思さえ聞く気はないようだ。それは最早、頼みというより命令に近い――が、思わずにジンはその少女の後を追って歩き始めてしまう。ほとんど反射のようなものだ。ソラがこの場にいればため息の一つでもつきそうなものだが。


 なにはともあれ、だった。


「ねぇちょっと……」


 そう言って、先ほど言い争っていた兵士に向かって少女が話しかける。話しかけられた兵士は少女を見て胡乱げな顔をし……しかし少女がジンにも聞こえないくらい小さな声で何か耳打ちする内に、その顔が強張っていった。


「そ、そうでありましたか……! でしたらすぐにでもこちらへ!」


 話を聴き終えた兵士が居住まいを正し、突然ジンの腕を掴んだ。何か、納得したらしい。しかし何を納得したというのか。


「む……う……?」

「ほら、ぼーっとしてないで早く!」


 訳が分からないで動けずにいた背を少女に押されて、ジンは歩き始めた。それからはあっという間だ。兵士の詰め所らしき建物に連れて行かれ、木製の古びた椅子の一つに座らされる。

 モルタルで覆われた壁が荒野の日差しを遮っている詰め所は薄暗いが、窓から入る風のお陰で過ごしやすい涼しさだった。門番という仕事を終え、休憩をとるための場所なのだろう。目の前の大きな机の端には焼き菓子ののった皿やコップが雑然と寄せられている。


「本当はこのような散らかった場所にお招きすることも心苦しいのですが……」


 そう言いながら、連れてきた兵士と入れ替わりで入ってきたのは五つボタンのついた灰色の上着をきっちりと着込んだ中年の兵士だった。恐らくこの詰め所の責任者なのだろうが、恐縮しきりの態度からは微塵もそんな雰囲気が感じられない。

 けれど、これはある意味でジンにとって見慣れた対応だった。公都にいた頃は特に。公都から出たってなお、である。

 剣に選ばれた騎士だというだけで、誰も彼もが馬鹿みたいに彼女に対してへりくだった姿勢を見せるのだ。大人も子供も――それはしかし、ジンが最も苦手とするところで。


「あ、いや……それは気にしてないが……」


 普段の歯切れ良さはどこへやら、ジンが僅かにしどろもどろになりながら応じると、兵士はますます感極まったような声を上げる。


「お心遣い、感謝いたしますぞ。しかし……旅に出ておられたことは聞いておりましたが、よもやこのような辺境にまでいらっしゃったとは」

「あぁ……ルクス・アルケに戻ろうかと思ったからな」

「なんと……! それでこの街を通るルートを選んでくださったこと、感激でありますぞ……!」

「い、いや……」

「ねぇ、そんなことより」


 そこで、戸惑ったようなジンを見かねた、というよりは自身が黙っているのに耐え切れなくなったらしい少女が口を挟んだ。


「本題にはいりましょ? 世間話なんて、後でいくらでもできるでしょ?」

「……そう、ですな」


 感動に浸っていた所で水をさされた兵士が一瞬だけ少女に目線を向けた。不満そうな、そして何より不審そうな目線だ。しかし少女が臆することなく視線を真っ直ぐに受け止めれば、ややあってから目を逸らした兵士は一つ咳払いをして机の上で手を組んだ。

 そこに浮かぶ表情はさっきまでとはまるで違う真面目なもので。それにジンも思わず背筋を伸ばした。

 何か悩み事でもあるのだろうか。ならば少しでも力にならなければ。そんな、いかにもジンらしい思考と共に。

 耳を、傾けて。

 

「聞きましたぞ? なんでも人知れず果たさねばならぬ任務のためにこの地にいらっしゃたとか」

「にん、む……?」


 聞きなれない言葉にジンは首を傾げた。任務とは何のことか……しかし疑問に思ったのも一瞬だ。彼女とて馬鹿ではないのである。自分のこれまでの行動、発言。それらを素早く思い返し、たった一つの結論を導き出して。

 はっとしたように、目を見開いた。


「女将殿から頼まれたお使いはそんなに重要なものだったのか!?」

「……ってなんでそうなったのよ!?」


 馬鹿ではないが正しくもない返答に、真っ先につっこんだのは少女だった。


「む……? 違うのか?」

「違うに決まってるでしょ!」


 ジンの問いかけに、兵士の目も気にせず少女が首を振る。やってらんないわ! と付け足した少女は苛々したようにそのまま言葉を続けた。


「なんかぼやっとしてるみたいだったしちょっと心配だったけど……まさかここまで空気が読めないだなんて! ちゃんと口裏をあわせて、って言ったじゃない!」

「口裏をあわせる?」

「そうそう口裏を、」


 そこで明らかにジンのものではない低い声に頷いていた少女が言葉を切った。何かに気付いたように顔を跳ね上げる。あるいは、やってしまったと言わんばかりに。


「ほうー……口裏をあわせる、と。そのあたりのことをもう少し詳しく聞かせていただきたいものだな、お嬢さん」


 少女が見つめる、その先では兵士がやけに穏やかな笑みを浮かべていた。ともすると今までからは考えられないくらい優しそうな表情をしている。

 ただし、目が笑っていない。


「あ、あはは……」


 そのことに少女も気付いたのだろう。引き攣ったような笑みを浮かべる。そうすれば、ますます兵士は笑みを深めて。


「……この小娘め! 我々を騙そうなどとは小賢しい……!」

「しっ仕方ないじゃない! あんた達があたしの頼みを聞いてくれないから……っ」



 しばし漂った奇妙な微笑み合いの時間の後、先に声を上げたのは兵士の方だった。腹立たしいことこの上ないと言わんばかりに声を張り上げる。そうすれば、少女も負けじと言い返して。


「えぇい! うるさいうるさい! おい、誰か! こいつを外につまみ出せ!」

「ちょ、ちょっと落ち着け!」


 無理矢理にでも人を呼んで少女を外に連れ出そうとした兵士を、ジンは慌てて引き止めた。


「落ち着くんだ。なにもそこまでしなくてもいいだろう?」

「しかし……」

「あんた……」


 ジンの諭すような声に、兵士は不審げな眼差しを向け、少女は少し感極まったような声を上げる。

 ただ、良くも悪くもその手の視線に気付けるほどジンは器用ではなかった。


「彼女はただ、黙って自分の言うことに頷いてくれれば、騒ぎになりそうだった外の状況から連れだしてくれる、と言ってくれただけでな?」

「……フォローになってないわよそれ……」


 一瞬でも期待したあたしが馬鹿だった。そう呟いた少女ががっくりと肩を落とす。それ見ろ、と言わんばかりに兵士が鼻を鳴らした。ただ、彼は彼で少女を擁護しようとするジンの発言が気に食わなかったらしく、ですが騎士様、と固い声を上げる。


「この者は騎士様のことも騙そうとしていたんですぞ? 何も庇う必要など……」

「そうまでして、彼女には成し遂げたいことがあったということなんだろう。それに比べれば、私が騙されることなど瑣末なことだ」

「……き、騎士様……」

「それで……お前は何をそんなに兵士に頼みたかったんだ?」


 何故か瞳をうるませ、さっと顔を俯ける兵士。それを不思議に思いつつも、ふてくされた風の少女に向かってジンが声をかければ、彼女は目線だけジンの方に向けてぶっきらぼうに答えた。


「西門を開けてくれって言ったのよ」

「西門……?」


 この東門とは正反対に位置する門の名前に、ジンは首を傾げた。

 西門と言えば、ジンが本来行きたかったはずの門だ。ついでに言えば、ジン達がこの街に入ってくる時に通った門でもある。

 ここ東門が、光の国ルクスから水の国イシュカへ旅立つための門だとすれば、西門はそれとは正反対、すなわちイシュカからやって来た商人たちがルクス国内へ旅立つための門である。

 それにしたって、自分たちがカペレに来た時には開いていたはず……そんなジンの思いを読み取ったのだろう、目元を拭きながら顔を上げた兵士が、実は、と言葉を付け足した。


「三日前から西門の方を閉鎖しているんです」

「閉鎖……?」

「はい。門の外でうろつく魔物の姿が確認されたもので……」

「だから、そんなものあたし達がなんとかするって言ってるじゃない!」

「馬鹿言え! お前みたいな小娘が魔物相手に何を出来るっていうんだ」


 兵士に軽く叱りつけられた少女は頬を膨らませてそっぽを向いた。何よ、この堅物、だとか何とか。ぶつぶつと不機嫌そうに少女は悪態をついているが、無視を決め込んだらしい兵士は、まぁそういう訳なんです、と困ったような笑みを浮かべるばかりだ。


「物資はイシュカから入って来ておりますし、今のところ問題はありませんがね……長引かぬ内に我々で討伐してしまおうにも、ほら、火の国イグニスとの国境でも最近小競り合いがあるでしょう? そのせいで兵士の殆どが国境に行ってましてな……」


 正直、打つ手にかけておるのです。そう締めくくって、兵士は軽く肩をすくめた。


***


 あんたって、強いの? 唐突に少女が問いかけたのは、もう宿屋に着こうかという頃だった。たまたま、少女の泊まっていた宿がジンの泊まっていた宿と同じだったのである。ついでにジンが西門まで麦芽酒を届けたいと言い出せば、なんだかんだ文句を言いながらも少女は案内してくれた。


「うむ? 強い、というのは……?」

「戦うのが強いかどうか、ってことよ。魔物と戦ったことはあるわけ?」

「あぁ……そうだな。旅の途中で見かけるような低級のものなら……」


 そう言いかけてジンの脳裏に浮かんだのは、エレミアの森で出会った魔物のことだった。濁った黒き鱗に覆われ、眼は血のごとく穢れた赤。今でも思い出すだけで背筋が冷たくなるようなその魔物の姿に、意図せずジンの口が重くなる。


「どうかした?」


 昼下がりの通りの喧騒の中で少女が小首を傾げた。それに慌ててジンは首を横に振る。


「いや、なんでもない」

「そう? ならいいけど……まぁ愚問だったかも知れないわね。騎士様相手に魔物と戦ったことがあるか、なんて質問」

「あ、そうだ……名前なんだが」

「名前?」

「ジンと呼んでもらって構わないぞ?」


 騎士と呼ばれるのはどうにも苦手でな、そう付け足してジンが苦笑いを浮かべれば、何故か少しばかり間を置いた後、少女が小さく唇を動かした。


「……それ、分かる気がする」

「え?」


 少女の憂いを帯びた声。しかし、それがどういうことなのかをジンが尋ねる前に小さく肩をすくめた少女が、なんでもない、と口を動かした。


「じゃあ遠慮なくジンって呼ばせてもらうわ。あたしの名前はルーサンよ。こっちも呼び捨てで構わないから」

「うむ、ルーサンだな。よろしく」

「よろしくね、ジン……魔物退治の腕、期待してるんだから」

「……む?」


 さらりと付け足されたルーサンの一言。それにジンが目を瞬かせると、ルーサンはフードの下でにこりと微笑み。


「――あ! いたいた……! ルー!」


 そこで二人の耳に、通りの人混みを縫って男の声が届いた。ひどく嬉しそうな声音だ。思わずジンが目を向ければ、二人が宿泊している宿の前で大柄のフードを被った青年が上機嫌に腕を振っている。

 さらにいえば、そこには何故かソラとリュー、そしてあの宿屋の少年がいて。


「どうしたんだ? 皆揃って……」

「それはこっちのセリフだよ。っていうか、なに? その子と知り合いなの?」

「うむ? ルーサンとならさっき門のところで出会ったんだが……」


 ジンの返答に、問いかけたソラは何故か渋い顔をした。ソラの服の裾を握ったリューは相変わらずの無表情だ。ただ、宿屋の少年はソラと同じような表情を浮かべながら慌てたように青年のフードの裾を引っ張っている。


「な、なぁ、やっぱり……?」

「そうそう。紹介するよ! 彼女が俺の妹のルーサン。可愛いだろう?」

「や、えっと……」


 青年がフードの下でにこにこと微笑みながら応じる。それに少年は困ったような顔をして言葉を濁すが、青年は欠片も気にしていないようだった。

 でね……、と上機嫌に続ける。

 ジンの方、というよりはさらにその後ろの方を見ながら。


「ルー、この人がカイ。俺がさっき見つけてきたルーの彼氏で、」

「彼氏、ですって?」


 そこでジンの背後から絶対零度の声が響いた。感情を感じさせない低い声。驚いてジンが振り返れば、すぐ後ろに立ち尽くしていたルーサンが声音には似合わないほど綺麗な笑みを浮かべていて。


「る、ルー……?」


 青年が震え声を上げる中、つかつかとカイと呼ばれた少年の方に歩み寄ったルーサンがその目と鼻の先で立ち止まった。それにカイは若干のけぞりながらも引き攣った笑みを浮かべ……。


 ルーサンが微笑む。


「……鼻は全然高くないし、髪の毛はぼさぼさだし、何よりチビじゃない! 却下!」

「ってなんで俺がそこまで言われなきゃなんねぇんだよ!? そもそも、お前の方がチビ、」

「チビって言うな!」

「っ!?」


 常の口調に戻ってばっさりと切り捨てたルーサンに食ってかかったカイは、彼女に思い切りスネを蹴られて声にならない悲鳴を上げた。声にならない悲鳴を上げてうずくまるカイ。おろおろと二人を見ている青年。何か問いかけるようにソラの方を見上げるリュー。そして。


「……まぁ、そうなるよね」


 それにソラがため息混じりに呟く、その言葉が妙によく響いた。






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