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Intermezzo-for Maiden-
2013/07/16 本文一部改稿
あたしはあたしという存在が許せなくて、だからいつだって後悔していた。
声を上げるという行為をしなかったからだ。そのせいで、大切なあの人に怪我をさせてしまった。それが悔しくて悲しくて。だからあたしは武器を取った。声を上げるために。そうして声をちゃんと聴いてもらえるように。
それなのに、駄目だった。
どれだけ武器を扱い慣れても、誰もあたしの声なんて聴いてくれなくて。
どれだけ頼らないでおこうと思っても、いつだってあの人が現れてはあたしの代わりに怪我をして。
そうしてあの人は、誰も聴いてくれないあたしの声を聴いてくれる。どうしたんだい、って、何があったって変わらずに傍に居て微笑んで。
その度に、想う。
そんな、何も変わらないあの人が大好きだと。
そんな、何も変われないあたしが大嫌いだと。
……そうして、思うんだ。
あたしは、いつだって護られてばっかりだ、って。




