Intermezzo-for Fool-
はじめまして。この物語は長く続く、かもしれない物語です。
私生活が忙しく、ゆっくりな更新になってしまうかとは思いますが、少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。
――むかしむかし、あるところに一匹の龍がおりました。
その龍は誰よりも気高く、そうして誰よりも心優しい龍でした。
けれど、そんな龍に友達はいませんでした。
なぜなら、その龍の他に龍はいなかったからです。
それでも心優しい龍はそのことを気に留めるでもなく、ただただ人間を守り続けていました。
人間も、それを気に留めていませんでした。
龍が自分達のことを護るのを当然だと思っていたからです。
だから龍がいくら傷つこうと彼らは平気でした。
龍も何も思いはしませんでした。
優しさこそが龍の本質だったのです。
そんな、ある日のこと。
一人の少年が傷だらけの龍に気づきました――
「――ぼく、しってるよ! そのあとでリュウのことをてあてするんでしょ?」
「そう。少年は手当をして、その龍が傷ついてるのはおかしい、って言うの」
「それからリュウのことをまもる『騎士様』になるんだ! かっこいいなぁ!」
「ふふっ、ソラは騎士様のこと大好きだものね」
「もちろん! はやくぼくも騎士様みたいになって、あねさまをまもってあげるね!」
「まぁ。それは頼もしい」
くすくすと笑いながら頭を撫でてくれる。その掌から伝わる温度は暖かくて、優しくて。
きらきらした世界のなかで、いつまででも輝いて、泣きたいくらいに眩しいんだ。
2013/06/16 改稿
2013/07/15 サブタイトル変更