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序章‐雨の日‐

私が唯一外を知ることができる物。

それは、私がいる場所から少し離れた荷物の山の上の方にある小さな窓。そこから今の天気、この物置の周りに人が近づいてきたかどうかなどといった気配が分かる。

今は、晩春。

少し前まで、窓から八重桜が見えていたけれどもう見えないから。


くんくん


空気の匂いを嗅いでみる。

「これは雨のにおいだ。」

そう呟いてから少し間をおいて、ザァっと雨が降り出した。

雨は好きだ。

「かたかたかた」とか「パラパラ」とか「ポツーンポツーン」とか!

いろいろな音を奏でてくれるから。

楽しくなる。



ピカッ!!



雨の音を楽しんでいたら、急に空が光った。

次の瞬間



――――――――――――!!!!



耳を塞いでも役を果たさないほどの大きな音がした。

「ひゃっ!」

驚きのあまり声をあげてしまった。

今まで過ごしてきた中にも、似たようなものは何度も見聞きしてきたけれど、これは別格だった。

恐怖のあまり身動きが取れなくなるほどで、鼓膜が破れてしまうかと思った。

少したってから、焦げ臭い匂いが充満してきた。

鼻が、目が痛い。

雨が降っていたからひんやりしていて、さっきまではとても過ごしやすかったのに、今はなんだか暑い。ここら一帯に立ち込める熱気は、真夏のそれと類似していた。

「ゴホゴホ…。な、何が起きているの?」

この蔵の近くは普段あまり人が近づかないのだが、大きな地響きのあとからというもの人の気配がどんどん増えている。

しかしそれは増えるだけで、それぞれがそれぞれその場で立ち往生していて、一向に行動を起こす者はいなかった。


「蔵のすぐ近くにあった桜の木に雷が落ちたようだ。」


誰かが言った言葉が耳に入った。

私としては、

「そっか。」

としか言いようがなかった。

だからといって、とくにできることもすることもないのだから。

私のいるところは、「絶対に壊れない」のだから。

そう何度もおばさんに言われた。


「だから、此処から出ようなどと考えないことだ。」


絶対に大丈夫といっても、

蔵の中の気温はどんどん上昇しており、とても我慢できる域を超えつつあった。

意識がさすがに朦朧としてくる。

視界がぼやける。

「私、死んじゃうのかな?」

そう言ったのは自分自身だけれども、不思議とその言葉は戯言のように思えてくる。

「そっか、私は「普通」じゃないから、死なないんだ。」

あはははは

頭がぼぉとしているせいか、可笑しくなってきた。

なぜだか、笑っている。

あはははははh…



そして、笑いながら私は気を失った。

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