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顔面で殴る皇女様ズ  作者: 月森香苗
ドラスニト王国編

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53 「生きた人形と呼ばれる皇女」 序

第四皇女ルピナス編、始まります。

 公の場に出た時から、ルピナスは大人の不躾で欲混じりの視線に晒されてきた。

 ピンク味を帯びた金色の髪の毛はふわふわと波打ち、皇族特有の紫の目は髪の毛と同じ色の睫毛に囲まれたぱっちりとしたもの。

 小柄な体格は一つしか歳の変わらない姉と並ぶとより強調された。


 元々活発な性格ではなく、どちらかと言うと大人しく本を読む事を好む子供は「生きた人形」という、決して名誉などない言葉に装飾されて表現された。

 無論、彼女は皇族であるため、寧ろ不敬として公の場で語る者は罰せられた。しかし、人の目の無いところでは平然と語られるもの。


 それでもまだ、鑑賞の意味であるならば許せる範囲であった。

 悍ましいのは、幼いルピナスを性の対象として見る者であった。


 長女アナベルのような凍てつく氷のような厳しさに惚れ込むとも、次女トレニアの妖艶さに心を奪われるとも、三女カルミアの同じ年代の令息達の初恋を奪うとも違う、幼子への歪んた劣情を含ませた視線をルピナスは感じ取っていた。

 顔だけならば間違いなく美しいやら可愛いと言われる皇女四人の中で、恐らくルピナスは醜悪な本性を隠し持つ者を引き寄せていただろう。

 無事に生きていられたのは神の加護と優秀な護衛のお陰である。



「結局背は伸びなかったです」

「姫様はそのままでも可愛いですけど、背が高くても可愛いままなんでしょうね。羨ましい!」

「トリシャは元気で良いですね。そのままでいてください」

「はい!あたしは姫様の騎士ですから!」

「姫様はトリシャに甘すぎでは?」

「ジニアスにも甘いと思うけど?」

「あー……素敵な婚約者のご紹介ありがと存じます」


 数年前に訪れた属国で目をつけた令嬢を、己の護衛騎士に宛がった経緯がある。

 姉が親友として交流しているのはその国の第一王子の婚約者だった女性で、現在は公爵令息の妻となっている。

 護衛騎士ジニアスにはその国の第二王子の婚約者だった女性と縁を繋いだ。理由は簡単で、ルピナスが気に入ったからだ。

 ジニアスは侯爵家の嫡男で、ルピナスが輿入れするまでの期間限定の騎士であった。

 跡取り息子を護衛騎士にするのは通常ならばあまり無いことかもしれない。しかし、ジニアスの家とジニアス、ルピナスにはそれぞれ利点があったので身柄を預かっていたのだ。

 そんなジニアスとの主従関係もそろそろ終わりを迎える頃となった。


 ルピナスが婚約者ジェレミー=ダーレンのいるドラスニト王国に行く事になったのだ。

 正式な婚姻は半年後であるが、諸事情により半年前に入国と相成った。そこには皇帝トラディアスとダーレン大公との密約があり、ルピナスは父の密命を果たす事を命じられた。

 そこに問題は無い。

 寧ろ、ドラスニト王国で生きるならば間違いなく必要な事ではあるが、少しばかり危険がある為、とてもでは無いが侯爵家の跡取りを巻き込む訳にはいかなかった。


「姫様。トリシャを壁にしても必ず御身を守る事を何より優先して下さい」

「そうですよ!あたしは姫様を守るのが役目ですからね!」

「分かっています」


 口酸っぱく何度も言われているのでルピナスだって分かっている。その上で思うのだ。

 二人とも、私を幾つの幼子だと思っているの?と。

 長年護衛騎士を務めているので勘違いしていないのはわかっているけれど、それでもふとした瞬間に思うのだ。

 既に成人している女性に言い聞かせるには子供扱いしてないか?と。


「真面目な話、ドラスニト王国の情報を集めて精査しましたけど、内部はかなり歪んでいます。姫様、王太后には気を付けてください。アレは、姫様が『皇女』と言うのを理解していない可能性があります」

「それも分かっています。だからこそ、お父様から命じられたのよ」


 必要ならば、ルピナスは次期大公夫人ではなく、次期王妃となるべし。

 つまり、現王家の首を挿げ替えることもやむ無しである。



 ドラスニト王国はアンザス帝国の属国である。

 王座に座る為には皇帝の許しが必要である。とは言えど、余程でなければ問題は無いので、ほぼ形式上のものであった。

 しかし、昨今至る所で小さな火種が燻っており、数年前のショモナ王国では魅了の魔導具と転生者による問題が浮き彫りとなった。

 ドラスニト王国もまた、火種を抱えている国である。

 問題児の王子は果たして国王に相応しいのか。


 ルピナスはきゅ、と手を握りしめる。

 そこには「皇帝代理」の御印が刻まれた指輪があった。



 ドラスニト王国は決断を迫られる事だろう。一人の女の強い欲望に晒され、恣になっていた王国。

 そこに現れるのは、帝国という強大な国の皇女。

 絶対的な立場と血を持つルピナスに対し、果たして強欲の女はどのように出るか。


「私はアンザス帝国第四皇女ルピナスです。一王国の王太后ごときが私に分不相応にも手を出すならば、その身をもって知らしめましょう」


 まるで生きた人形とよばれ、ふわふわとした砂糖菓子のようとも言われるルピナスだが、彼女もまた、生まれながらに厳しい教育を受けて乗り越えてきた皇女である。

 見た目だけで侮る者は必ずや後悔する事となるだろう。

この話はやや血腥い話になります。

登場人物のページにもありますし、ミステリーでもないので情報公開しておきますが。

王家 vs 大公家+ルピナス、というか、王太后 vs ルピナスになります。

ですが、婚姻するまでは帝国皇族、皇女ルピナスですので立場はルピナスが上です。



―――――――――

身長メモ

―――――――――

ルピナス148~150cmくらい

ジェレミー172cm

ジニアス178cm

トリシャ168cm


アナベル162cm

トレニア167cm

カルミア158cm


ベイセル188cm

マディス175cm

バルグス191cm

ローゼル156cm


です。


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