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顔面で殴る皇女様ズ  作者: 月森香苗
南の辺境伯領編

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52 可愛いに全振りした元皇女様 終

「二年ぶりのダンジョン~!」

「懐かしいけれど、足手まといにならないか心配です」

「大丈夫だろう」

「俺とバルグスがフォローするから問題ないですよ、夫人」


 妊娠が発覚してから出産、そして子供が一歳になるまではダンジョンの塔に登らないと決めていた。カルミアとローゼルが子供に関わる間、市場への流通や内部調査の観点から、マディスとバルグスは他の冒険者パーティに臨時加入したりなどして上層部を目指していた。

 時には妻達の体調や健康を鑑みて食材を取りに行ったり、それこそレーグから依頼される事もあった。

 ローゼルは深窓のご令嬢でもあったのでそこまででは無いが、体を動かす生活から一転、屋敷に籠る日々を過ごしていたカルミアの限界がそろそろ来ていたので、今日、久しぶりに四人でダンジョンに来たのだ。

 とは言えども久方ぶりの戦闘である。階層は低い所で肩慣らし、と言った具合だったが、それでもカルミアは輝く笑顔を浮かべていた。


 この二年で世界の在り方は更なる変化を迎えていた。

 大陸中にダンジョンが出来、冒険者ギルドは広まり、国同士の争いよりもダンジョン資源を如何に効率よく入手するかなどに注目が集まっていた。

 資産家達の資金提供という名の依頼などもあり、仕組みとしてはある程度目処がたってきた。

 また、魔法に関してもゾルダ王国が基盤を作ったおかげで参考にした国が独自の学校を設立を目指し始めたりなど、随分とあり方が変わってきた。

 帝国は様々な国を併合して作られたが、恩恵が多く、今のところ独立運動を見せるところはない。長い年月をかけて形作ってきたものは退廃と腐敗で大抵は滅んでいくものだが、今のところ皇族の目が行き届いているという証左であった。


 元皇族のカルミアは初めこそ、顔だけは可愛らしいがそれだけと思われている節があった。しかし、皇女から貴族へと降嫁してからはそれまでのことが嘘のように生き生きと冒険者活動を行い、マディスと並んで近接で剣を振るい、時に返り血で真っ赤になりながら首級を上げる姿で実力を見せつけた。

 元より、今のような世界に生まれ変わるずっと前に婚約を結んだのも「適性がある」からであり、それは大型獣討伐に対して怯えない胆力があるからと判断されたから、と思い出したのは誰だったか。

 魔法を操り軽やかに舞うように剣を振るい、時に槍を使う事もあるカルミアは母となっても変わることはあまり無かった。

 全力を出すが命を守る事を優先するという、ある意味で制限をかけられている。

 元皇女とは言えども、皇族の血を持つカルミアが死ぬことだけはあってはならないのだ。

 もちろん魔獣が倒しやすいなんてことは無い。複数のパーティと組んで闘うことだってある。

 そんな時、カルミアはとても良い笑顔を浮かべている。彼女は自分の中にずっと燻り続けている熱があった。

 神の加護によるものから始まったそれは、体に馴染み、生きる根底となった。


「私ねぇ、今が楽しいのぉ。子供はもちろん一番可愛いよぉ。だけどねぇ、生きてるって実感出来るのぉ」

「ミアが楽しいならそれでいいよ。だけど、俺より先に死ぬのだけは駄目だから」

「うん。勿論」


 視線の先では魔獣のそばでスケッチをしているローゼルをバルグスが見守りながら周囲を警戒している。

 魔獣や使える素材は元より薬草や鉱石の情報はギルドで高く買い取っている。新人の冒険者達への教材となっているようだ。


 カルミアはマディスの隣で笑う。漫然と皇女として生きているよりも、今が一番幸せだと。





┈┈┈┈┈


おまけ


■マディスとカルミア


「リヴェンってマディス様によく似てきたぁ。良かったぁ」

「ん?どうして?」

「男の子でしょう?わたしに似ちゃうとぉ、可愛いに全振りした男の子になっちゃって大変なことになるかなぁ?って」

「それは困った事になるね。バルグスのところは公爵夫人の祈りが届いてローゼル夫人に似た女の子らしい」

「相性が悪くなかったらリヴェンのお嫁さんになってもらいたいよねぇ」

「そうだね。でも、俺達の子供なら考えるよりも動くタイプに育つと思う」

「わかるぅ。最低限は出来るけど、動いた方が早いもんねぇ」

「バルグスの子、どちらに似るかな」

「う~~~~~ん……ロゼに似たらいいなぁ~~~」




■レドニージュ公爵夫人とバドシュラ辺境伯夫人


「本当に良かったわ!!わたくし、何度も何度もお祈りしたもの。うちの筋肉息子ではなくてローゼルさんに似た子で良かったわぁ」

「女の子だものね。きっと美人に育つわよ」

「そちらはカルミア様に似なくて良かったわね……」

「ええ。わたくしも夫も、カルミアさんに似たら大変になるって戦々恐々していたもの」

「カルミア様、とても可愛らしすぎて、男の子でもぐらっときたら大変だものね……」

「そう考えると、トレニア殿下のところは……」

「トレニア殿下は妖艶だったものね……だけど、王太子殿下も美しい方で、アナベル皇女殿下に雰囲気が似ていたから……」

「顔が良すぎるのも大変よねぇ」

「ローゼルさんも美人なのよ!ただ、行き過ぎた顔の良さは違うわよねぇ」

「マディスは普通の顔でよかったわ」

「……え?ノルシェ様、何を言っているの?あなた、マディス様は辺境伯家でなければ、と多くの令嬢が涙を流したくらいに整った顔よ?」

「えぇ……夫と似て戦闘以外はポンコツなのよ?」

「顔とは関係ないじゃない。バルグスを見なさいよ。夫によく似た厳つさよ。はー、ローゼルさんがお嫁さんに来てくれてよかったわぁ」



バドシュラ辺境伯領編は一旦ここで完結です。

次からはドラスニト王国編(ルピナス)になります。

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