37 「白金の守護者」序
新しい章の始まりです。導入部分となります。
【白金の守護者】
それはアンザス帝国の冒険者ギルド本部で最初に登録された冒険者四名が中心となって立ちあげられたクランである。
所属するのはバドシュラ辺境伯領並びにレドニージュ公爵領出身で、南の森の大型獣討伐をになっていた元祖冒険者達である。
クラン代表の四人の内三人は冒険者ギルド設立前から名が知られていた。もっと言えば、その内の一人など幼児を除いて知らなければ帝国民にあらずとまで言われた人である。
昨年までの身分は帝国第三皇女であり、現在はバドシュラ次期辺境伯夫人となったカルミア=バドシュラその人だ。
そして同時期に冒険者登録をしたのは、彼女の夫のマディス、レドニージュ次期公爵のバルグスと夫人のローゼルである。
彼ら四人は魔法が復活する瞬間、いやそれどころか世界そのものが生まれ変わる瞬間を間近で見た。そしてバドシュラ辺境伯家に課せられた「大型獣討伐」が「大型魔獣討伐」に変わることも知らされた。
二年前のゾルダ王国訪問から四人は必死に魔法を習得したし、身近のもの達にも広めた。従来よりも遥かに強くなるだろう大型獣への対策は早目にしておいた方が良いという判断だった。
人間よりも遥かに体の大きな魔獣は魔素を溜め込むのも狂化するのも遅い。その為、南の森の大型魔獣はまだ出現していないが、小さな魔獣は大陸の至る所に現れ始めた。
皇室から積極的に冒険者登録を勧めたこと、皇女や高名な貴族子息が率先したことの影響力は大きく、帝国並びに属国では順次冒険者ギルド支部が設立されていった。
初めこそ、ギルドへの依頼は国からが多かったが、各領地の領主や個人からの依頼も出来ると言う仕組みにより、少しずつ冒険者は活動範囲を広めていった。
それまでは個人による活動が主だったのだが、ギルドの設立によりある程度のサポートや報酬の受け取りなどがスムーズに出来ること、また、無理な依頼を吹っ掛けられることも無くなった従来の冒険者達には歓迎されていた。
冒険者と言ってもその仕事は多岐に渡り、子供でも出来るお使いから、害獣駆除、他にも遠方へ向かう者の護衛など戦闘以外にも冒険者は求められるようになった。
ゾルダ王国が長年に渡り保管していた禁書とされていた書物が過去に作られていたという【ポーション】と呼ばれる治療薬生成や魔道具の設計図などであったことが判明し、その知識を学び資格を取得した者が「薬師」や「魔道具師」としての独立した職人となった事も冒険者業の活性化に繋がった。
誰もが手探りの中、一変した世界に順応しつつある頃、異変が起きた。
アンザス帝国の南部、南の森と帝国民が呼んでいた森に何の前触れもなく突然巨大な塔が聳え立った。
雲を貫き見上げてもその頂上が見えない塔は倒れる様子も無く悠然と現れたのだ。
それが何かは直ぐに判明した。
ゾルダ王国では神の御使いが割と頻繁に降りてくるのだが、彼らによりそれが「迷宮」と呼ばれる特殊地帯なのだと言う。元々南の森は訳あってとんでもない力が集まっていたのだが、それが形の原型となったのだと言う。
創世神は考えたらしい。ゾルダ王国の神殿で浄化活動を行うのはいい事だが、折角冒険者と言う一つの組織が産まれたのだ。
創世神の知己の神が作った世界を参考にして「ダンジョン」なるものを作れば、人同士の戦争をしている暇はなくなるのではないか、と。
それに創世神の存在を人が認識し、神は確かにいると実感した人の子の信仰はとても強く、神々の力が強くなり過ぎた。これはこれで世界の均衡的には良くない。
それを受け流す場所として世界各地に「ダンジョン」を生み出す事にした。
神の力が働いた事で壊れない場が出来たし、その中には魔獣が産まれた。珍しい鉱石や植物も生えた。
手放した神の力が「ダンジョン」内の特殊な環境を生み出した。それに、人間はやはり刺激がある方が発展するというのが神の考えであった。
まあ、難しいことが苦手なカルミアでも分かるように言えば。
「神様パワーにより作られたダンジョンの魔獣を倒せば素材がゲットできるよ。それを使って武器や防具を作り上げて更に強い魔獣を倒して行こう。討伐は無理って人でも植物祭採取や鉱石採掘なんかも出来るよ。だから国同士で戦争すんなよ」
という事である。
ちなみに、ダンジョンが出来ても普通に魔獣は闊歩しているので狂化した魔獣の討伐は必須である。
ダンジョンの形状は様々で、南の森の塔のようなダンジョンもあれば、地下に潜るタイプ、海の中にあるタイプ、様々である。
ダンジョンが出来てから半年。可能性に気付いた冒険者達はダンジョンに魅了された。何せ神様の力で作られた特殊な場所で、命懸けだけど上手く行けば大金を手に入れられる可能性があるのだ。
何故なら、富裕層の人々はダンジョン内の素材を価値あるものとして金貨を詰んだのだから。
これは、元皇女様が大切な人達と冒険者活動をしたりご飯を食べたりする話である。
要は、ダンジョングルメのお話になります。
レーグさん、連れ回されるよ。
ファンタジー、魔法と言ったらダンジョン!ってなったので神様パワーでダンジョン生やしてもらいました。
因みに、ダンジョンについてはリーチェデルヒとサーヤの意見が参照されています。
それと、亜人の皆さんもそろそろ出していきます。
とは言えども登場人物多いので、かなり限られた数にしようと思います。
登場人物は随時一番最初のページに追加していたのですが、トレニア編から二年経過して年齢も上がっているので、章ごとに登場人物ページ作った方が良いか悩んでいます。
もし合った方が良いという方は感想に一言で構わないので残しておいてくださると助かります。




