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顔面で殴る皇女様ズ  作者: 月森香苗
ゾルダ王国編

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36/40

35 「雪の王」と「夜月の女王」終

短めです

 結婚式を上げて一週間後にはゾルダ王国へと向かった。

 当初、リーチェデルヒに転移で移動させてもらうという案も出たのだが、高貴な立場の人間、特に皇女だったトレニアと王族のベイセルの移動ともなれば大金が動き経済が活性化するのは当然の事。

 しかも、トレニアから始まって次は半年後に皇太子のガルディアスの婚姻が予定されているので帝国は活気に満ちていた。

 初めこそトレニアは兄よりも先に式を上げて良いのかと思ったのだが、姉から「後に結婚した貴方の式で創世神様がお出ましになられたら、お兄様の立つ瀬がないわ」と言われて納得出来た。

 皇家の持ち物で結婚したら返却するはずの馬車は嫁入り道具として貰える事になった。それは、魔法の復活と共にこの馬車が増産出来ると判明したからだ。

 トレニアの輿入れに際し連れて行く使用人は三人。

 ジューノ、モーラ、ユーナ。離宮で仕えてくれていたものは皇城使用人だったので配属先が変わるだけ。執事は高齢なのもあり引退となった。

 母との別れに涙するかと思いきや「旅行先が増えてよかったわぁ」と実に呑気な言葉を貰って、もう少しこの楽観的なところを引き継いでいたら良かったのにとは誰にも言えなかった。


 ゾルダ王国でも披露宴を行い、改めて国民の前に姿を現したトレニアの美貌に多くの国民は目を奪われ言葉を失っていた。

 黒の艶やかな髪の毛はゾルダ王国では見ない色。その美貌はなんて艶やかなのだろう、と。



「レーニャは書類仕事も出来るのですね」

「お姉様ほどではありませんが、皇族は仕込まれますわね。仮に愚王の元に嫁いでも政務を執り行える程には学ばされますの」


 それは体を動かす方が好きな妹もだ。

 王太子の執務室の隣の部屋を頂き、トレニアは手始めにと割り振りた書類などをあっという間に捌いた。

 しばらく滞在している間に国内貴族について把握し、さらに領地についても調べた。とは言えどもまだまだ至らないと申し訳なさそうにするトレニアに文官達は震えた。


 王太子妃教育を施すかどうかで一部話し合いがあった。如何せん、トレニアは帝国の皇女である。知識も教養も何もかも上で、礼儀作法など寧ろ王妃が教わりたいと願うほどの淑女だ。

 最終的にトレニアが不足だと感じている貴族についての学習にだけ絞られた。

 また、例年であれば雪解けの時期に社交シーズンとなるのだが、その雪が溶けて一部にだけという状態になった結果、少しずつ変えていく事になった。

 その先駆けとしてトレニアが主催する王太子妃のお茶会と称していくつかのグループに分けて貴族令嬢を招待する事になった。

 それが終われば王妃と共催する夫人向けのお茶会である。


 妖艶な王太子妃に初めこそ令嬢達は臆したものの、ゆったりとした話し方や流行の最先端に極められた美容などの女心を掴む話題が彼女達の心をあっという間に溶かした。


「ワタクシは皆様のような美しい肌が羨ましいわ」


 と言われて嬉しい反面、どこまでこの王太子妃様は麗しくなられるの、と戦慄した令嬢達とは異なり、夫人達は共感を覚えたらしい。美はどこまでも追求出来るものとして。

 また、このお茶会では魔法についても彼女達に伝授する意味合いが大きかった。親からいわれたもののよく分からないなどの令嬢達にはトレニアを講師とし、すでにある程度形となっている使用人達が補佐として教えることが出来た。


 ゾルダ王国は今、神に目をかけられている特別な国として注目を浴びている。間違いなく多くの人々がこの国を訪れるようになる。その時に国民が不利益を被らないように考えるのがベイセルとトレニアの課題となった。


 トレニアとベイセルはほぼ毎日、寝る前の一時間でサーヤに魔法陣の書き方や構築の仕方を教わっている。この国に魔法学園を作るのに知識が無いのは問題だと二人で決断したことだ。


 初代学園長に就任する事になるトレニアは王太子妃や王妃の仕事の傍ら、魔法学園の運営にも気を配っていた。彼女の後継者は王弟となった第二王子のモーゼルで、ベイセルやトレニアよりも更に自由に魔法を楽しみ極めたいと願った結果、リーチェデルヒから認められる事となった。


 神坐す国、聖域、魔法学園の祖とも言われるゾルダ王国だが、ここを訪れた者たちは口を揃えて同じ事を言った。


「ゾルダ王国はのどかで穏やかで、あそここそ平和で楽園なのだろう」


 と。



―――――――――


おまけ

■ベイセルとトレニアの寝室での話


「ベイセル様。お伺いしたいことがございますの」

「何でしょうか?」

「これから同じ部屋で眠るでしょう?」

「ええ、そうですね。ああ、もしかして人の気配があると眠れませんか?」

「いえ、そうではございませんの。ワタクシ、夜は基本的に薄着でしたの」

「……はい?」

「ですからこう言った格好でしたの」


 ガウンを脱げば肌が透ける薄い寝着のトレニアにベイセルは笑顔のまま固まった。帝国で結婚式を終えた後、共に夜を過ごした時の方がもう少し控えめだったのでは?とベイセルは混乱する。


「帝国の時のはお母様がもう少し控えなさいと仰ったの。ですが、こちらに来たらこちらに合わせるべきかと。旦那様の好みに合わせたく思いますわ」


 ベイセルはトレニアよりも八歳も年上の大人の男性である。しかし、健全な男性でもある。妻が大変素晴らしい体付きなのは重々承知の上で改めて思う。


(私は世界で一番恵まれた男では?)


 トレニアは変えなくて良いと言われてご機嫌だった。妖艶だ、色気が凄まじいとか色々言われていても、彼女に男性と親しくなる機会などなかったので物凄く悩んだのだ。

 好きを続けるか、相手に合わせるか。

 ベイセルの好みはこれなのかしら、と反応を見たトレニアはそれ以降、薄手のネグリジェを大量に作り、それが貴族の新妻に伝わり、夜のあり方が多少変わる事になるが、この時知る由もなかった。


トレニアは見た目詐欺で、純真です。

ただ夜は透けてるネグリジェを好んでいたので、ジューノから「ベイセル殿下に確認しましょうね?」と忠告されて確認しました。

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― 新着の感想 ―
こ、これは…!! この国の出生率がっつりと上がったのでは…??
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