影の王
《ダンジョンボス『影の吸血鬼王の亡骸 第二形態 Lv60』が出現しました。》
……は?何それ……。そんなのありですか?
第二形態に進化し、無くなったはずの四肢から黒い煙で作られた新しい手足が生え、空中に浮かび、何やら禍々しいオーラを出し始めた。
こんなの聞いてないって!あたしのレベルより50以上離れてる!こんなの倒せるわけないじゃん!
《クリア条件が変更されました。クリア条件:心臓にある『影の宝玉』を奪い取る。》
『影の宝玉』っていえば、お婆さんが取ってこいって言ってたやつ?でも奪い取るってことはあれに近づかなきゃなんないの!?空中にいるし無理でしょ!
「ウォォォォォォ!!!」
突然ボスの両手が伸びるようにこちらに襲いかかってくる。それを持ち前の反射神経で何とかかする程度で済んだが、それでも黒い煙の継続ダメージにより、残りのHPが1割まで下がってしまう。
かすっただけでこれ!?あと1回でも触れたら死ぬじゃん!あ〜もう!こんなことになるなら事前に回復ポーションの類でも買っとけば良かった!
「ウォォォォォォ!!!」
今度もさっきと同じ攻撃をしかけてきた。今回は何とか「スキル『加速』」を使い回避に成功。しかしそれでは終わらず今度は連続で攻撃を仕掛けてるくる。
危なっ!加速のスキルがなかったら一瞬でお陀仏だったよ!あの位置から手が伸びて攻撃できるのとか、さすがにチートすぎるでしょ!?でも、おそらく何か方法があるはず。
そして私は周囲を見渡す。周りには何も無い。強いて使えるものがあるとするなら天井のシャンデリアのみ。あれを頭上に落としてみるか?
「スキル『隠密』。」
姿をくらまし、壁を蹴りながら上の方へと昇っていく。少しすると物音を察知したのか、ボスが再び無差別攻撃を仕掛けてくる。
せっかく隠密スキル使ってるのに、なんで場所が分かっちゃうわけ!?
姿が完全に見えないおかげで、ギリギリの所で回避ができている。そしてシャンデリアの上まで到着した。
シャンデリアの所まで到着したけど、そもそも短剣が壊れて破壊ができない。ここからボスを倒すためにどうすればいいのか再び思考をめぐらせる。そこでひとつの作戦を思いつく。
「インベントリオープン!」
インベントリから壊れた短剣の破片を取り出した。その破片を地面に撒き散らして、色んなところから物音を発生させる。その音につられ、ボスはまた無差別攻撃を始める。
これで第1段階は成功!さて、次の段階は……
ドンドンドンドンドン!!!
私は天井とシャンデリアを繋ぐ鎖が切れることを祈りながらジャンプをする。その音にボスは再び反応を示す。
やばっ!シャンデリアの音を計算に入れてなかった!
しかし何とか空中に飛び上がり攻撃を回避する。なんとそのボスの攻撃によりシャンデリアの鎖がちぎれ、ボスの頭部に直撃する。
ラッキー!ボスが自滅した!
これにより、ボスが地面にたたきつけられる。その隙に私は空中からボスに飛び乗る。
よし!これで心臓にある『闇の宝玉』を抜き取れば勝ち!
「ォォォォォォォォ……。」
しかしボスはそんなに甘くなかった。口から黒い煙を出してきたのだ。私はボスの声で察したのか、ギリギリのタイミングで離れることに成功する。
しかしそれによってボスは再び空中に浮かび、振り出しに戻ってしまう。
嘘でしょ!?また最初からやり直し!?今度こそ間違いなく終わった……。ん?待てよ?ここに落ちてるのは……肋骨?
さっきのシャンデリアの攻撃で相手の肋骨が折れ、それは尖った骨へと姿を変えた。
《アイテム『影の吸血鬼王の肋骨』を獲得しました。》
もしかしてこれ、武器として使えるのでは!!これで私にも再び武器が戻ってきた!これがあればカウンタースキルを使える。でも問題は相手の攻撃を避けれるかどうか。しかもスキルを使いすぎて、あとはカウンター1回分のMPしか残ってない。つまりボスに攻撃を与えるチャンスは1回だけだ。
「ウォォォォォォ!!!」
再びボスは私に攻撃を仕掛ける。私は武器の肋骨を煙でできた手にかすらせる。これをすることによってこの煙に物理判定があることがわかった。
カウンタースキルの発動条件は攻撃を避けること。または相手の攻撃を利用すること。
私には今加速スキルは使えない。つまりあの攻撃は避けられないと言うこと。つまりカウンタースキルを使うには相手の攻撃をこの肋骨を使ってそらさなければいけない。
さっき物理判定があるのを確認したのは、カウンタースキルを使えるか確認するため。つまり、もし物理判定がなかったら私はさっきの攻撃で死んでいた。
よし……。チャンスは1度だけ。次の攻撃に全神経を集中させろ!
「ウォォォォォォ!!!」
ボスは右腕を上げ、私の目の前に煙の拳を振りかざす。
カキンッ!!
攻撃を逸らすことには成功。相手が硬直している好きに私は一瞬にして壁を蹴り、空中に飛び上がる。
「オラァァァ!!」
攻 ダメージが通らないことをわかっていた私は、相手の肩と腕の関節部分に肋骨を投げ、可動域の固定に成功。壁を蹴り上げた勢いで素早く相手の胴体にしがみつく。
「これで終わりだァァァァァァ!!!」
心臓にある『闇の宝玉』を掴み、胴体を足で蹴り上げて引っ張り出した。
「ウォォォォォォ…………。」
よし!引っ張り出した!私の勝ち!
《ダンジョンボス『影の吸血鬼王の亡骸 第二形態Lv60』を撃破しました。》
《レベルが上がりました。Lv9→Lv25》
《スキルのレベルが上がりました。『カウンターLv2→Lv7』、『隠密Lv1→Lv6』、『弱点看破Lv1→Lv4』、『加速Lv1→Lv7』》
《スキル『忍び足Lv1』を習得しました。》
《スキル『投擲Lv1』を習得しました。》
《スキル『跳躍Lv1』を習得しました。》
《スキル『ボーンスマッシュLv1』を習得しました。》
《ユニークアイテム『影の宝玉』を獲得しました。》
《ユニークアイテム『影王の短剣』を獲得しました。》
《ユニークアイテム『影王のローブ』を獲得しました。》
《ユニークアイテム『影王の耳飾り』》
《称号『影王の討伐者』を獲得しました。》
《称号『ジャイアントキリング』を獲得しました。》
キター!大量の経験値とスキル!それに武器と称号までゲット!レベルが25ってヤバすぎるでしょ!?現時点で最強なんじゃない!?
《『release world planet 運営』から全プレイヤーに通達致します。》
何?全プレイヤーに通達?なんだなんだ?
《ただいま、初めてのユニークボス『影の吸血鬼王の亡骸』の討伐が達成されました。今回討伐に参加したプレイヤーは1人。プレイヤー名は『ルナベル』です。》
え?これってもしかして全プレイヤーに私の名前が知れ渡ったってこと!?なにやってんの運営!!!
《ユニークボスの最初の討伐者には、運営から賞金10億ゴールドが送られます。》
10億ゴールドってことは、現金で1億!?なら許してもいいかな〜?……なんてなるわけないでしょうが!これでもし他のプレイヤーから狙われたり、しつこいギルド勧誘とかに合ったらどうすんの〜!
現在のステータス
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プレイヤー名『ルナベル』
プレイヤーレベル『25』
種族『吸血鬼』
職業 メイン『暗殺者』
サブ『料理人』
HP『100/100』
MP『100/100』
STR『40』
VIT『0』
AGI『100』
DEX『15』
INT『0』
MND『0』
LUK『25』
SP『190』
スキル『カウンターLv7』『隠密Lv6』『弱点看破Lv4』
『加速Lv7』『忍び足Lv1』『投擲Lv1』『跳躍Lv1』
『ボーンスマッシュLv1』
称号『うさぎの虐殺者』『影王の討伐者』
『ジャイアントキリング』
装備『影王のローブ』『月の仮面』
武器『影王の短剣』
アクセサリー『影王の耳飾り』
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