亡骸
《ダンジョンボス『影の吸血鬼王の亡骸Lv50』が出現しました。》
は?ダンジョンボス、レ……レベル50!?
意味わかんないんだけど!?何それチートじゃん!私まだレベル9なんですけど〜!?
《クリア条件:ボスの撃破》
ダメージを与えるくらいなら大丈夫だけど、撃破は絶対に無理だって!絶対に今倒すべき相手じゃない!
でも死ぬ訳にはいかない。とりあえずやれるだけやってみないと!
「スキル『弱点看破』!」
あれ?弱点らしきところに的が現れるはずなんだけど、何も起こらない?もしかしてスキルレベルが足りなかったのかもしれない。くそっ!弱点は攻撃を与えながら探さないといけないの!?
「ウォォ!!」
ボスは大きな剣を素早く振りかざしてきた。
何とか避けれた。AGIにいっぱい振ってて良かったよ。でもずっと避けてても何も始まらない!
「スキル『カウンター』!」
次に振りかざした剣を短剣の側面で受け流し、ボスが硬直している間に胴体に攻撃をした。
ダメージがミリも減ってない!攻撃スキルはカウンターしかない。てことはこれ以上のダメージが見込めないってこと?
「ウォォ……。」
ボスの動きが止まると同時に口から黒い煙を出てきた。
何この煙!?グッ……カスった!
HPが10秒ごとに少しずつ削られていく。
うわっ、持続ダメージ!?ただでさえ紙装甲なのにそんなのあり!?もうこんなの絶対死ぬじゃんか!とりあえずできるだけ距離を取ろう。幸いあっちはAGIが低い。スピード勝負ならこっちに分がある。
考えろ……。相手は不死身じゃない、絶対に何か打開策があるはずだ。よく相手を観察しろ。
相手はスケルトン。アンデッド系モンスターの弱点は光魔法、でも私は魔法使いじゃないからそんな芸当は無理。それなら体の構造を思い出せ。骨の弱点は関節。関節は他のところと比べて衝撃に弱い傾向にある。よし、まずは関節への攻撃を試みよう。
「スキル『加速』!」
加速の持ち時間は30秒。バランスを崩すためにまずは膝の間接から!
ボスは再び剣を振り下ろす。が、私は振り下ろす前に既に背後を回っていた。そして膝の間接の裏から目にも止まらぬ剣撃で足の部位破壊を試みる。
結構硬いな。おそらく100回同じところを攻撃したら片足はもうだめになるだろう。
そしてボスはまたしても黒い煙を吐いた。それを予測していた私は遠くに離れて、煙が消えるまで再び遠くで準備する。そして消えた途端、また背後に潜りこみ短剣を振り続ける。それの繰り返しだ。ーーー
同じ動作を10回くらい繰り返した。ついに片方の足の破壊に成功した。ボスはその場から動くことは出来ないだろう。しかしまだ剣を握っている腕は思い通りに動く。次はそこを目掛けて攻撃だ。
「スキル『隠密』。」
隠密で相手の視界から姿を消す。腕への攻撃は足よりおそらく危険。ここは姿を消して攻撃した方がいい。
シャキン!シャキン!
相手は見えない攻撃に少し動揺する。剣を振り回そうとするが腕の関節への攻撃が蓄積し、だんだん脆くなる。
ドスン!
腕の部位破壊に成功した。HPも4分の3程度は削れている。これを繰り返していけば、MPが続く限りほぼ無限に攻撃出来る。とりあえずもう片方の腕と足も破壊しよう。
シャキン!シャキン!シャキン!
よし!これでようやくHPが半分!ボスは四肢がない状態。ここからは抵抗する間もなくやれる!
《初心者の短剣の耐久が0になりました。武器が壊れます。》
え!?武器が壊れたんだけど!?武器が無いってことはこっちにも攻撃手段が無いって事じゃん!……いや?時間をかければ素手でも首くらいはちぎれるか?
よし!時間はとんでもなくかかるけど、これが終われば報酬が待っている!だから倒すまでは手を止めない!
《ダンジョンボスのHPが半分になりました。》
いや、そんなこと言われなくても知ってるよ!少し黙ってて!
《これよりダンジョンボス『影の吸血鬼王の亡骸』は第2形態へと移行します。》
突然ボスの胸の辺りにあった宝石が黒い光を出し、それと共にボロボロの体は宙へと浮かび上がる。
《ダンジョンボス『影の吸血鬼王の亡骸 第二形態Lv60』が出現しました。》
……は?何それ……。そんなのありですか?
現在のステータス
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プレイヤー名『ルナベル』
プレイヤーレベル『9』
種族『吸血鬼』
職業 メイン『暗殺者』
サブ『料理人』
HP『100/100』
MP『100/100』
STR『40』
VIT『0』
AGI『100』
DEX『15』
INT『0』
MND『0』
LUK『25』
スキル『カウンターLv2』『隠密Lv1』『弱点看破Lv1』
『加速Lv1』
称号『うさぎの虐殺者』
装備『黒のローブ』『月の仮面』
武器『無し』
アクセサリー『無し』
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