情報屋
今日はカフェの開店日。最初のお客様としてギルド『赤靂団』ギルドマスターの『カルナ』さんが、来てくれたのだが……。
「本当か!?金はいくらでも払う!だから教えて欲しい!」
なんとカルナさんは、私の情報を買いに来たらしい。思わず情報が入ってるとか言っちゃったけど、私何を答えればいいの!?教えても大丈夫な情報ってなにかあるかな……。
「具体的にどのような情報が必要ですか?」
「う〜ん……。容姿はもう知っているから、例えば職業とかスキルとか今居る場所とかだな。」
なるほどね〜。職業はギリギリ大丈夫だけど、スキルとか居場所とかは無理だ。とりあえず職業だけ教えておこう。
「我々がその中で現在知っているのは、職業だけです。とりあえず100万ゴールド。日本円で10万円のお支払いだけ済めば情報を提供します。」
「わかった。送ろう。」ーーー
「お支払いは完了しましたので、職業について具体的に説明致します。『ルナベル』の職業は暗殺者です。身を隠すのが得意で、他のプレイヤーからの証言によると街中で突然消えたそうです。」
「なるほど暗殺者……。うちには暗殺者が少ないから入ってくれれば即戦力だな。」
身を隠すのが得意とか言って大丈夫だったかな?弱点になるかもしれない……。でも暗殺者ってだいたいそうだから別に弱点では無いかもしれないし、まあいいや。
「他に買いたい情報はありますか?」
「そういえば、私のギルドのメンバーがルナベルと同じ格好をした集団を何人か見たと言ってたのだが、それについての情報はあるか?」
あ〜、私の部下達の事ね?特に集団名とかも無いし、教えられる事があんまりないけど……。
「その人達については色んな説がありますが、おそらくはルナベルの部下かと思われます。」
「ということは、すでにギルドがあるということか?」
「いえ、同じ集団かとは思いますが、ギルドは設立していないと思われます。」
うん、こんくらいなら教えても大丈夫だったかな?
「ルナベルについては以上だ。それとあともうひとつ聞きたいことがあるのだが……。」
「なんでしょうか?」
「あなたについての情報は買えるか?」
え?私?なんで私の情報が欲しいのかな?もしかしてなにか勘づかれた?いや、それは無いな。今はただの店長だし、少しくらいなら大丈夫かな。
「自己紹介程度ならできます。特に代金はいらないですよ。」
「それはありがたい!ではさっそく頼む!」
「はい。私はここ『月見亭 本店』の店長を務めております、『ベル』と申します。沢山の支店がありますが、私がその全てを統括しておりますので、実質ギルドマスターみたいなものですかね。職業は『暗殺者』と『料理人』です。これくらいでよろしいでしょうか?」
暗殺者とか言っちゃったけどまずかったかな?でも暗殺者なんてこの世界数え切れないほどいるしそれは大丈夫か。
「なるほど。この組織のトップなのだな。だとしたら相当強いとお見受けするがそこのところはどうなんだ?」
「ルナベルさんと比べればまだまだですが、仮にもトップなので多少は戦えますよ?」
「教えてくれてありがとう。これからも定期的に使わせてもらうと思う。次来た時もよろしく頼む!」
まあこの姿では戦う姿は絶対に見せないし、どのくらい強いかなんて言っても何も変わらないだろう。
「聞きたいことはもうないようなので、上の方までお送りしますね。」
「うむ。ありがとう。」ーーー
「ありがとうございました。またお越しくださいませ。」
そしてカルナさんは手を振って帰っていった。
それにしてもとてもかっこいい女性だったな〜。まさに理想の上司って感じの人だったし。
「ベル様。初めての接客はどうでしたか?」
「いや、ビックリしたよ!私の情報を買いたいって言ってきたからさ!でもおしえたのは職業くらいだし心配とかはしなくていいよ?」
「そうでしたか。おそらく、これからもベル様の情報を買いに来るプレイヤーは沢山いるかと思われますが、私共も注意しますのでご安心を。」
「えぇ。ありがとね。」ーーー
カルナさんが来て1時間は経った。その間にも複数の客が来たが、そのうちの半分は私についての情報を聞いてきたらしい。それもこれも全部運営のせいだよ!全プレイヤーに通知がいくなんて聞いてなかったし!
今まで来たのは有名プレイヤーや上流階級のみ。まだ上手く情報が回ってないんだろうな〜?でも最初から混雑しちゃあこっちもぶっ倒れるだろうし、当分はこんな感じだろう。少し休憩してからまた動き出そうかな。ーーー
店の裏側でしばらく休憩をしながら掲示板を見ている。情報屋としてはまだまだだし、色んな情報を頭の中に入れている。
今のところは、どこを見ても知っている情報ばかりだし今は見なくても大丈夫かもしれないな〜……。あ!そうだ!
「沢田!外出してきていい?」
「はい。今のところは私たちだけでも店は回りますので。」
「実は私自ら情報を集めたりしたいな〜って思ってるんだけど、いいかな?」
「大丈夫ですよ。いってらっしゃいませ。」
今は客があんまりいないから沢田達に任せられるだろうし、私が情報を集めてきてもなんの問題もないだろう。それじゃあ街の探索でも行ってきますか!ーーー
私は暗殺者の格好に戻って、身を隠しながら人の話し声に耳を傾けている。ここは想像以上に色んな情報が飛び交っているし、沢山のプレイヤーや建物もあって常に活気づいている。
その中でも特に気になったのは、最強の10人のプレイヤーについての噂話だ。実はこのゲームには『レベルランキングシステム』がある。
『レベルランキングシステム』は常にランキングが更新されており、レベルが高い順にプレイヤーの名前が載っている。
その中でも現在レベル25を超えたプレイヤーが10人もいるらしく、そのうちの一人が私こと『ルナベル』だ。さっき来店したカルナさんもその内の1人らしい。
私と同じレベルが10人もいるなんて、みんなどれだけやり込んでるんだか……。私も休んでは居られないよな〜?でも私は月見亭での仕事もあるし、この人たちと常に同じレベルを維持し続けるには、ボスモンスターを狩りまくるしかないだろう。
でも私個人は楽しくやれればいいし、別にランキング上位を維持しなくてもいいのかもしれない。
トントン……。
そんなことを考えてると、突然誰かに肩を叩かれた。突然叩かれたものだから叫びそうになったけど、一体誰なの?恐る恐る後ろを振り返ると……。
「やっと見つけた!」
ビックリした〜!?なんで姿を隠してるのに誰かに見つかってるの!?それより見つけたって何!?
「君、ルナベルだよね!」
屋根上にいたのになんでバレてんの?それより私の事呼んだ?まずい……。これもしかしてピンチ?
現在のステータス
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プレイヤー名『ルナベル』
プレイヤーレベル『26』
種族『影の吸血鬼王』
職業 メイン『暗殺者』
サブ『料理人』
HP『100/100』
MP『500/500』
STR『100(+20)』
VIT『0』
AGI『150(+20)』
DEX『40(+30)』
INT『0』
MND『0』
LUK『50(+40)』
SP『0』
スキル『カウンターLv7』『隠密Lv6』『弱点看破Lv4』
『加速Lv7』『忍び足Lv1』『投擲Lv1』『跳躍Lv1』
『ボーンスマッシュLv1』『影王の黒煙Lv1』
『影王の両腕Lv1』『影の決闘場Lv1』
称号『うさぎの虐殺者』『影王の討伐者』
『ジャイアントキリング』
装備『影王のローブ☆5 STR+10 AGI+20』『月の仮面』
武器『影王の短剣 ☆5 STR+10 DEX+30』
アクセサリー『影王の耳飾り ☆5 LUK+40』
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