表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.301~】

家路を急いで 【月夜譚No.345】

作者: 夏月七葉

 帰り道、カレーの匂いが鼻を擽った。仕事で疲れた身体が顕著に反応して、誰もいない夜道に空腹の音が鳴り響く。誰に聞かれたわけでもないのに何故だが恥ずかしくなって、彼女は頬を赤らめて腹を手で押さえた。

 今日はまた一段と忙しい一日で、昼食も食いっ逸れたのだ。朝から水以外に何も口にしていないところにこのスパーシーな香りは、もはや拷問に近い。

 とにかく早く帰って何か食べようと足を速める中、脳裏にちらつくのは湯気が立ち上るカレーライスである。自宅にストックしている食料を思い起こしてみるが、カレールーはあるもののレトルトのものは切らしていたと記憶している。

 今から作るのも骨が折れると考えていると、目の前に煌々とした建物が見えてきた。その前で立ち止まって黙考すること数秒、彼女は吸い込まれるようにコンビニに入っていった。

 会計を終えて、スキップでもするような勢いで家路を急ぐ。

 少し奮発して、有名ホテル監修の高めのレトルトカレーとデザートにプリンも買ってしまった。嬉しさに紅潮する頬を緩める。

 本日最初で最後のお楽しみタイムに思いを馳せる彼女の後ろ姿を、月が静かに見守っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ