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ヘタ歴史!  作者: 冬空奏
7/7

第8代目:「かきつばたと鬱」

どうも、久しぶりですね。

今回は「伊勢物語」をモチーフとした感じですかね。

……ほぼ、史実になるのかなぁ。いや、ならないか。

時は平安、場所は三河之国。

そこには、現在の自分に絶望した男と、その友人が2人ほどいた。

そう、かの有名な在原業平(ありわらのなりひら)である。

あとの二人は、まぁ、藤原と田中にしておこうか。


「もうマジでだめだわ。俺、ほんとだめだわ」


太陽がぎらぎらと光り輝く中、暗くどんよりと業平はつぶやいた。

田中と藤原は「また始まったよ」と言って、ぶつぶつ言っている業平を放って前へ進んでいく。

10分後、進まれたことに気づき、業平は手に持っていたネコじゃらしを捨て、二人めがけ走っていった。

そして、二人に追いつくと、二人は川原に座り込んでいた。


「ちょ、お前ら何やってんの!?一応主人公俺なんですけど!?」

「知るかよ。なら、ちょっとくらい主人公っぽくしてもらえない?」


さっきとは打って変わって、大きな声で田中に業平は言った。

田中はうるさそうに耳をふさいで、機嫌悪そうに言った。

業平はまた少し落ち込んで、ふさぎこんでしまった。


「あーもう、うっとうしいなー……。ほら、乾飯(かれいい)やるよ。元気出せ元気」

「な、なんと!?ありがとう……俺、嬉しくって……」

「おいこら、お前が濡らしてふやけさしてどうすんだよ!それがオチなんだぜ!?」


田中はふさぎこんでしまった業平に、乾飯を渡した。

それを業平は泣きながら受け取り、そのままぎゅっと抱きしめた。

その乾飯は業平の胸の中で、汗やら涙やら鼻水やらでふやけてしまったようだ。

その光景に、華麗に藤原は突っ込んだ。

現代で言うと、さま○~ずの三○くらいの勢いではなかろうか。

田中はくすりと笑い、周囲を見渡した。

業平とは違い淀みのない水、心地のよい風、たくさんの緑……。

そのすばらしい景色の中で、一際目立ったものを田中は見つけた。


「お、かきつばた咲いてるじゃん。いとをかし、っていうのこれ」

「待て、それだと話変わるぞ!?」


田中と藤原は仲がいいのか、この茶番でゲラゲラと笑いあっている。

そんな中、一人だけ泣いている業平。

本当にこいつはなんなのだろう……。と、田中は思った。

それと同時に、田中に電流が走った。


「なぁ、業平。お前さ、歌うまかったよな?いいところ見せるために、ここで一句詠んでみたら?」

「えっ、いいの?じゃぁ、詠んじゃ―」

「まぁ、そう焦りなさんな。ただ一つ条件をつけよう」


調子に乗った業平の口をふさいで、田中が耳元でささやいた。

業平は田中から解放され、目を皿のようにして田中を見つめた。


「かきつばたの五文字を、句の頭にいれろ。いいな?」

「お、おうよ!」


田中の言葉に、威勢よく業平は答えた。

だがしかし、業平には一つ不安があった。

そう、落ち込みすぎてスランプに陥ってしまったのだ。


(やっべ、何も思い浮かばない…。どうしよこれ……)


持っていた乾飯をかじり、涙を流して必死に考えた。

それはもう、必死に考えた。

そして、ついに口を開いた。


「かれいいと きせいできない つれがいう ばかみたいな たびのどうちゅう」


とよめりければ、みな人、乾飯の上に涙落として、ほとひにけり。

最後の句はなんか適当に考えました。掛詞があるかも…?

これは、二次創作にはならないんですかね。ちょっと微妙ですけど、おそらく著作的問題は大丈夫でしょう。きっと。

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