第7代目「湿田どうでしょう」
さてはて、久々すぎて何も書く気がおきませぬ。
それでは、どうぞ!
今は昔。
そこには、稲作を主流にした民族がいた。
今回は、その稲作野郎をクローズアップしてみていこう。
「やっば、ここ実るわ。きたこれ」
「は、マジで!?ちょ、うち実らないんですけど」
稲を持った、濃い顔の男は稲穂を石包丁で取りながらそういった。
その濃いのが発した言葉を、脱穀していた大泉洋似の男は聞き返事をした。
濃厚が「ここ」という言葉を使っていることから察して、まだどちらも乾田ではないようだ。
「やっぱ祈年祭のおかげだわ」
「あー!!うちの集落やってねぇわー。それでかー……」
まるで現代人かのようなリアクションをとる大泉。
ここまでくると、そういう系統の人の祖先なのかもしれない、と思わせるほどである。
濃厚は大泉のリアクションに対して、眩しい笑顔で笑った。
そして、からかうように言った。
「んだんだ。そりゃぁ実るもんも実らねぇわ。おめーんとこに子供ができないのもそれが原因じゃね?」
「あー、そうかもしれねーわ。ちょっと石棒磨いてくるわ」
その冗談を真に受け、大泉は脱穀作業を中断し、石棒を磨き始める。
もちろん、生ものではなく、ちゃんとした石のアートである。
濃厚はそれにひきつつも、一生懸命に稲穂狩りをしている。
金色に輝く稲穂を、人類の英知で少しずつ、少しずつ、刈り取ってゆく。
稲穂が光をさらに発する夕方に差し掛かり、大泉と濃厚はそれぞれ帰路についた。
「んじゃま、残りの稲穂を明日で」
「おーけー。すまんなぁ、いっつも手伝ってもらって」
すまなそうにする濃厚に、大泉は笑って答えた。
「いやぁ、実ってる稲穂を見るのは楽しいからいいのよー」
濃厚はそれをきき、いつものまぶしい笑顔で笑った。
そして、大泉と濃厚は別れを告げ、せっせと歩いて家に帰った。
その途中、大泉はあることを思いついた。
(あの米をうちのものにすれば、俺、すごくなれんじゃね!?)
そう考えたのである。
なにせ、米の収穫量がものを言う時代。
こうなることも致し方ないであろう。
そして、大泉は早速実行にかかる。
濃厚の水田まで行き、おいてある米を拾って自分の高床式イナバへ放り込む。
その作業を1時間弱、一人で遂行した。
そして、翌日。
「おい!貴様、うちの米を奪ったな!!」
「あれー?米のない奴がそんな口きいていいのかなー?大米持ちぞ?我、大米持ちぞ?」
「つか、とってねぇし」
濃厚に向け、某アイドルのポーズをとり、大泉は言った。
だが、それを証明するということはできやしない。
そこで、濃厚はこういった。
「貴様が本当に奪ってるか奪ってないか、このお湯につけて判断しよう!!」
「あ?お湯?」
ここで、濃厚は熱湯を用意した。
大泉はきょとんとしている。
そんなこともかまわず、濃厚はルールを説明する。
「さぁ、此処に手をいれな。皮膚がただれた方が、うそつきっつーわけだ。簡単だろ?」
「あ、あぁ……。言いだしっぺのお前からやれよ?」
「あ、あぁ!」
大泉にのせられ、最初にお湯に手をつける。
熱さに耐えられなくなり、すぐに手を出した。
おおよそ、5秒といったところか。
「うっし、お前もいれろ!」
「お、おぉ……」
大泉も、湯に手をいれる。
5秒後、手を出す。
もちろん、リアクションは神の粋だ。
「あぢぃぃぃ……」
大泉は自分の赤くなった手を見ながら言った。
それを見て、濃厚はにやりと笑う。
「ふふ、貴様がうそつきだ!」
「な、なぜ!?……はっ、手がただれていやがる!!」
某蝶ネクタイのように、ずばりと言い当てる濃厚。
大泉は真に受けて、こういった。
「俺がやった。正直、すまんかった……。すべて返そう」
「おう!それでいいんだ!!」
下を向き、涙を落とす大泉に、濃厚は手を差し伸べる。
そして、また再び、二人で収穫作業に入った、と。
もちろん、大泉は翌年の祈年祭、新嘗祭には参加したとか。
これが後の「友情」「裁判」の元になるとは、まだ誰も知らなかった……。
いかがでしたか?
…久々すぎて、よくわからなくなりましたががが。
すごく好きなんです「盟神探湯」で「くかたち」って読むとこが。