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死霊組成  作者: ボナンザ
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64話 ジャンクフードの魅力

よろしくお願いします




レストランは諦めて部屋に戻った僕達は、買い置きしておいたジャンクフードを食べる事にした。


何かあった時の為にと地球にいる頃に、マックやコンビニなどで何日かに分けて買い溜めておいて本当に良かった。


今日は照り焼きバーガーにポテトフライ、飲み物は1.5リットルのコーラー。



「さあこんな物しかないが、遠慮なく食べて」


出したのは僕とニャトランとエスメラルダの3人分だけ。アレスは闇が有れば食事が必要無い便利体質だし、タマさんはカルカンしか食べない。


アレスが欲しいと言えばもちろんあげるけど、アレス曰く『お気持ちは嬉しいのですが、この新たな体には味覚がありません。どうぞ私の事はお気になさらずにお食べください』との事。


死霊組成で新たな存在になった事による弊害、何事にも万全とはいかない様だ。



「にゃ! 照り焼きバーガーですニャン!!」


そんな中で真っ先にハンバーガーに飛び付いたのは雑食のニャトラン。何とも美味しそうに貪り食べている。



「エスメラルダも遠慮せずに食べて」


「…… は、はい……」


今まで見た事もない食べ物に最初戸惑い気味だった彼女だが、一口口にした途端に貪り食べ出した。



「!!」


「ふふふ」


地球産の食べ物はコチラの世界では貴族の料理より美味しい。一度でも食べてしまえば、ニャトランの如く虜になる事は間違いない。


ものの5分程で食べてしまったエスメラルダ。照り焼きバーガーの一つでは物足りなかったのか、しばし余韻に浸った後に僕達が食べるのを物欲しそうに見ている。


この世界の料理は素材本来の味を生かした味付けで、基本薄味だ。そんな現地の味に慣れた彼女には、地球のジャンクフードの味は強烈だっただろう。



「一つじゃ足りなかったかな?」


「い、いいえ…… そ、そんな事は…… 」


口ではそう言ってはいるがその視線はハンバーガーから離れない。どうやら一つでは足りなかった様だ。



「ちょっと待ってて、もう一個出すから」


そう言うと今度はチーズバーガーをアイテムボックスから取り出す。買い立てを入れてあるからまだ温かい。


それと共にいちごシェイクもオマケで出してあげる。



「さあどうぞ、遠慮なく食べてよ」


先程とは違うハンバーガーに恐る恐る手を伸ばすと一口齧る。余程美味しかったのか、チーズバーガーもペロリと平らげてしまうエスメラルダ。



「こ、これは……」


「ああシェイクはね、このストローから啜るんだ」


いちごシェイクも啜る事に最初は戸惑っていたが、慣れてしまえば虜に成るのは必然だ。ついでに物欲しそうに見ていたニャトランにも追加の焼き鳥串を渡してある。


エスメラルダも追加のチーズバーガーで満足した様なので良かった。



アイテムボックスにはまだまだ買い置きしておいたストックがある。例えストックが無くなったとしても、僕なら好きな時にゲートを繋げて補充しに行けるからね。


だけど異世界間のゲートは魔道書の力を恐ろしく使うので、食べ物の補充程度ではなるべくは使いたく無い。


また生贄の要求が増えても困るしね。



食事も終わり寝るにはまだ時間も早いため、いつもの如くトランプや異世界あるあるのリバーシーなどで時間を潰す。


アレスにリバーシーは金になると、商品化の話を振られたが全力で拒否しておいた。異世界あるあるのテンプレの展開は避けたい。



「ニャ〜! また吾輩の負けですにゃん…… 」


「フフフッ、ニャトランさん弱い」


ニャトランとエスメラルダがババ抜きで盛り上がっている様だ。彼女にトランプでの遊び方を教えたらがっつりとハマってしまった。


そしてニャトランを遊び相手に、戦績は言わずもがな、ニャトランの全敗だ……



これまでは暗い面持ちだったエスメラルダにも!笑顔が出る様になってニャトラン様々だ。アレスと僕はリバーシー(戦績はアレスの圧勝……)をしながら彼にお願いしておいた物の出来を聞く。



「アレス、頼んでおいたアコギの様子はどうかな?」



アレスは構造や扱い方を知っている物なら闇で作り出す事が出来る。今はアコギの開発を彼にお願いしている。


彼に音楽の教養はない。だが僕がお祖父ちゃんから教わった知識を分かる範囲で話してある。


それと共に携帯の画像を見せ、簡単な設計図と仕組みを描いた設計図を渡してあるのだ。


後は彼の知能とセンスの問題だが、彼は僕の期待に最大限の働きで応えてくれた。



「国幽斎様、お頼まれなされていたアコギなる楽器を作ってみました。どうぞお確かめください」


アレスが自身が作ったアコースティックギターを闇の中から取り出す。見た目は初めて作ったとは思えない出来栄えだ。



「吟遊詩人のリュートに似ては居ますが、全くの別物ですね」


リュートの音色も聴いてみたいけど、この町では無理だろう。



ちなみにアコギ用の木材は、お祖父ちゃんが趣味でギター作りをしていたため、集めた素材の中にあった。

トップにはシトカスプルースを使い、サイドとバックには質の良いマホガニー材を使った。


アレスにはそれらの木材の切り出しとプレス加工をお願いしたのだ。



アレスは闇で木材のプレス加工も出来る様で、僕の為に色々と工夫してくれた。プレス加工まで出来るなんて、本当にアレスの闇は万能だよ。


今後は重金属や果またこの世界の特殊金属で何か出来るか、いろいろ試してみるのも面白いかもしれない。今夜にでも彼にお願いしてみよう。何を作るかは秘密だ。



そして僕は試しにアレスから渡されたアコギを弾いてみる。まだ作りが完全じゃないため思っていた様な音が出ないのは仕方ないだろう。



「う〜ん、音の響きはイマイチだけど、形は大分近いよ。後はこの部分をーー」


アレスには、はっきりと感想を言った方が効果がある。それに初制作でこの出来なら今後に期待出来るかも知れない。



「ーー成る程。はい、国幽斎様に満足していただくため精進して参ります」


彼のクリエイティブな才能と努力を惜しまない実直な性格ならば、満足の行くギターの完成も時間の問題だろう。



本来のアレスは争い事よりクリエイティブなジャンルの方が得意だった。それは組成した後も変わらない様だ。


そんなこんなで慌しい1日だったが、明日に備えて寝る事にした。


ありがとうございます。

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