第七話 魔法少女
(07.)
「魔法少女……?」
「そう! 魔法少女になって敵を倒していくの!」
魔法少女ってあのステッキを持ってフリフリの可愛い服に変身してゲル状のハート型ややけにキラキラした光線で戦うあの魔法少女?
私は目をキラキラさせた。
ニチアサを見ていたよいこのみんななら誰もが憧れる存在……“魔法少女”。
無論私は“御邪魔女ハニホ”も“プリティキュア”も周回済みである。
何と言っても服が可愛い! 服が可愛いのが一番私の好きなところ! あとストーリー性も素晴らしい! 特に“プリセンスプリティキュア”の敵だったものが仲間が敵になるところや“プリティキュアアラドーモ”の栖川まりちゃんのところとか!
あと性癖破壊もよくあるよね、“ハトキャッチプリティキュア”の眠らせて抵抗できなくしたところを石化させるところとか、拘束とか、ほとんどのプリキュアに当てはまることなんだけど敵側の男キャラが大体人外で声もいいしキャラ性も好きだから人外好きになったりとか!
やっぱり勧善懲悪だけど敵を救うっていうのが最近の物で多くてハッピーエンドが好きな私は嬉しいよ!
「盛り上がってるところ悪いけど、一旦沈まれい」
「私を魔法少女にしてくれるの!?」
「うん、そーだよー……ちょっと思ってたのと違うかもしれないけど……」
思ってたのと違うかもしれない? 一体どういうことなのだろう。
ヘリナは冷や汗垂らしている。
「魔法少女……なりたい?」
「うん!」
どうしたんだろう。まるで私を魔法少女にするのに抵抗があるみたいな……。
「まぁ、友達いないし大丈夫だよね……?」
「さっきから何かを教えずにずっと誤魔化しているようだけど何? なにか代償があるの? 教えて?」
ヘリナはう〜んと唸ってから……。
「これを知っても魔法少女になりたいって思っているようだったら喜んで魔法少女になってもらうけど? そうじゃなかったら……いや、そうじゃなくても瑠璃ちゃんに拒否権はないね。」
と、言った。
「それじゃあ、聞いていてね」
ーーこれから話すのは、魔法少女が生まれなくてはならなくなったきっかけと魔法少女のしなくてはならないことと代償について。
まず魔法少女が生まれなくてはならなくなったきっかけについてだね。
それは、政府の愚かな実験さ。
ある日政府は美桜街から有名だったコンビニバイト女子高生の神力者を一人さらって……実験台にしたんだ。
政府は毎日毎日過酷な実験をし、彼女の精神は壊れてしまった。
彼女は精神を壊し、能力が覚醒したんだ。
その能力が“念者”だ。
念者は感情を身体から離れさせ、人に取り憑いて増える。
人に取り憑いて増えて、また増えていく。
感情は5つあり、それらが日本で暴走している。
その増えている感情のものは“シネン”呼ばれ、人の思考を餌にして増える。
シネンは獣の姿をしていて、獰猛な性格をしているため、日本が崩壊する恐れがある。
そこで政府はシネンを討伐し、念者で出たものを狩った人にお金を渡してくれるようになった。
それに乗り、私は魔法少女をつくって政府からがっぽり金をもらい、政府から女子高生を助け出し、せいふからがっぽり金を奪うという計画を立てた。
これが魔法少女が生まれなくてはならなくなったきっかけだ。
「思ってたより鬱要素なくない? 魔法少女になりたくなくならないほどの話じゃないの?」
ヘリナは首を傾げながら言った。
「これから、きっと、鬱になるはずだから、大丈夫」
「何が大丈夫なの?」