第四話 ヘモグロリコピ……略してヘリナ
(04.)
私達は、あの変な施設から抜け出した後、国際的ハンバーガーチェーン「ヌワドメノレド」に寄り、へリナと話していた。
ちなみに私はチキンヒレオセットを頼んだ。たったの500円のワンコインでバーガーにドリンクとポテトを食べることができるのでお気に入りだ。
「なるほど……あまりにも長い名前だからへリナと呼んでほしいのか……」
私は、目の前にいるゴスロリ幼女に向かって言った。
「ヘモグロリコピ(略)っていうのはとりあえず今の時代での仮の名前でね〜、勿の論私にだってきちんとした真名はあるんダケドモそれは人には聞き取ることも発音も不可能だからねぇ〜」
「聞き取ることも発音も不可能……なにそれそんなに言うなら聞いてみたい」
ヘリナが口を開き、息を吸い込む。
果たしてどのように聞こえるのか……
「だよ〜……聞き取れた?」
「なるほど……だよちゃんか」
「いやそうじゃないんだケドモ……」
どうやら信じがたいことに息を吸っているときに名前を言ったようだ。
何も聞こえなかった……。
「その反応だと聞こえなかったみたいダネェ〜?」
「とりあえず呼び名に困るからヘリナちゃんって呼ぶね……」
「( ゜∀゜)・∵. グハッ!!」
「……どうしたの?」
「やばいやばいやばいTS美少女にちゃん付けで呼ばれた最高最高最高神様ありがとうございます我が人生に一変の悔い無し……!」
壊れてしまった……。
そういえばヌワドに来たのにヘリナちゃんは何も頼んでないな……。
そう考え、へリナちゃんの方にポテトを向ける。
「食べる?」
「え? いいの!?」
ヘリナちゃんは目をキラキラと輝かせる。
「だって何も頼んでないから……もしかして、迷惑だった?」
「迷惑なわけないよ! 最高級のご褒美ですありがたくいただきます……」
もはや主従関係が結ばれているのかと思った。
ポテトを美味しく食べるヘリナを眺めていると、ふと頭の中に一つの疑問が湧いてきた。
「ちょっと待って、へリナちゃんは何で私の名前を知っているの? 初対面だよね?」
「あ、瑠璃があまりにも適応力高すぎて話すべきことすっかり忘れてた〜てへっ」
その後話された事柄はとても衝撃的だった。
まずこのテンション暴走ゴスロリ幼女ヘリナは出雲の近くのなんかすごい普通の人は行けない点を辿って線を進んで空間を抜けたところにあるらしいと噂されている美桜街から私の元に派遣されてきたということだ。
そして私の性転換もこいつの仕業らしい。なんか「私に取り憑いたときに副反応起こした〜これって運命じゃない?」とか言っていたためメカニズムは犯人にも分からないらしい。取り憑いたってまるで妖怪かなんかのような扱いだな。
最後に、美桜街ではへりナのような特殊な能力が使える神力者と呼ばれる能力指数が一定以上の人物が9割を占めているらしい。その人達は何かしらの能力が一つ使え、その能力の脅威度でランク分けされている。
まず、いちばん脅威度が低いのが『C』である。主に、生まれつき何かに長けている等の一般人でも努力次第で手に入れられるものが当てはまる。次に、普通の民衆に多い脅威度の『B』である。念力や、読心術等のちょっとした超能力が当てはまる。そして、一般人ではエリート級の脅威度が『A』である。さっきの施設で私をめちゃくちゃにしようとしてきた危険人物の使ってきた鎌鼬というのがあるがそれはAに当てはまるらしい。
少し前まで最大のランクはAだったが、ここ最近のインターネットの普及による新たな概念の増加や無意識下の進化によって、さらに脅威度の高い能力が生まれてしまったという。その能力のランク分けはとりあえずA+とされているが、後々別のアルファベットで呼ばれるそうだ。
それらの能力は、「異世界を作る」、「思考物の大規模具現化」、「対象の世界記憶を変える」等の下手すると宇宙が崩壊しかねないレベルの破壊力を持つものが対象となり、ヘリナちゃんもそこに入ってるそうだ。
「ところでへリナの能力はどういうものなの?」
「人に取り憑いて色々しちゃう能力ダヨ〜」
色々って……人体改造とかショタ化とかロリ化とかそれこそまさに……!
「もしかしてこの女体化ってわざと?」
「どうだろうネェ〜?」
う〜ん……わざとだと思うんだよなぁ〜。見たところヘリナの性癖はTSにあるようだし……。
「あ、ちなみに私は雄ダヨ〜」
「え?」
「冗談ダヨ〜確かめる?」
「結構です」
分からんな……。
ヘリナはどこからどう見ても幼女だ。もし私がロリコンだったのならば「こんな可愛い娘に取り憑かれちゃって最高!」となっていただろうがあいにく私はショタのほうが好きだ。
「あ、ちなみに瑠璃の思考全部私の脳に流れてきてるヨ〜取り憑いてるから〜」
「変態……!?」