第三話 エンカウント
(03.)
みなさんどうもこんにちは、瑠璃です。
突然ですが私は今、絶体絶命の危機に瀕しています。
「お嬢ちゃ〜ん? 解剖さ・せ・て? クヒヒッ」
「ひぇっ……」
怯えている私の前にいるのは不気味な面をつけた男で、左手にナイフを持ち、笑っている。
下手したら死んでしまうやつだこれ、でもどうやって逃げればいいんだろう……あ、壁を蹴やぶれば一か八か……いや、この身体は前の体に比べて弱体化しているかもしれない。前の身体と同じような行動を取るのは危険かもしれない。
しかしそんなことを考えている間にも男は距離を縮めてくる。
「クヒックヒックヒヒヒヒヒヒ……」
あぁ……どうしてこんな事になったのだろうか……。
(数分前)
「あ、ここから出られそう」
そう言いながら私は狭苦しい排気口から這い出る。
それにしても、単純な排気口だったなぁ。
曲がったり別れたりすることがなくただただ一直線にほふく前進しているだけで出口まで着けてしまったので、驚きで脳が埋め尽くされている。
ふと、その時だった。
「!」
危険を察知してその場から数m程飛び退く。
刹那、私が立っていた場所から軽い破裂音が間隔を作らずに数回鳴り、床がえぐられる。
「何なんだ……いったい」
この現象がもし私に直接当たっていれば、私は今頃ミンチになっていただろう。
「見事だ若者よ、わしの鎌鼬を避けるとはな……クヒヒッ」
誰もいなかったはずの背後に何者かが現れ言い放つ。
そして手を大きく振りかぶった。
空気が変化したため、私は気づかれないように数歩前へ歩く。
そしてさきほどのような現象が起こ……らない?
「……あれ?」
「……じゃ、じゃあサヨナラ〜」
攻撃がでなくて困惑しているであろう狂人から走り去ろうとした。
しかし肩を狂人に掴まれ床へと投げられてしまう。
私はその勢いのまま転がり壁にぶつかる。
まずい……追い詰められた!
「お嬢ちゃ〜ん? 解剖さ・せ・て? クヒヒッ」
「ひえっ……」
「クヒックヒックヒヒヒヒヒヒ……」
このまま私は死んでしまうのだろうか……?
いや。そんなのは嫌だっ!
「死にたくないっ! 死にたくなんてないっ!」
「大丈夫だよ〜少し痛いだけで後は楽になれるからねっ? クヒヒックヒャヒャヒャ!」
そう言いながらゆっくりと手を近づけてくる。
「あがっ!?」
口を強制的に限界まで広げられる。
そのまま口の端にナイフを当てられてしまう。
「いい叫び声聞かせておくれよぉっ! ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
そして力を入れられ口を裂かれ……
……てしまうことはなかった。
「てめぇ瑠璃ちゃんに何しやがるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
突如謎の幼女が空中から突っ込んできて狂人を消し去った。
持つ者のいなくなったナイフが床に落下し金属音を響かせ、部屋に紅の雨が降る。
幼女は誇らしげに地面に着地する。
え……?
この子は……誰?
「はじめましてっ瑠璃ちゃん! リョナも好みだけど瑠璃ちゃんが死んじゃうのは嫌だから思わず飛び出しちゃった……テヘペロッ♪」
「え……? 誰……ですか?」
全身から紅を滴らせ幼女は笑いながら答える。
「ヘモグロリコピンナトリウム・レッドダイダイ・デオキシリボヌクレオチドタンニン……」
「めっちゃ長いね……」




