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運ばれる者  作者: aiko
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毎日生きていくために

夜の雨が車の窓を打つ音を聞きながら、

窓の外で人々が買い物袋を下げて帰宅する姿、

カップルが1つの傘で肩を濡らしながら歩く様子。

こんなどこにでもある日常を30歳をとうに過ぎた女が

運ばれる車の中で羨ましい気持ちで見送ってる事を、

ほとんどの人間が知らないのだと思う。


知らなくて良いんだと思う。


私はデリヘル嬢だ。


お客に呼ばれたらラブホテル、ビジネスホテル、シティーホテル、自宅、

車で運ばれてお客さんの性欲を満たす。

それが私の仕事。


4年前まではまさか自分がこんな仕事をする事になるなんて夢にも思わなかった。

陳腐な言い回しだと思う。

でも、本当に私には無縁の世界だった。

では、なぜこんな仕事をしているのか?


これもまた陳腐でありきたりよく聞く話、


悪い男に騙されて、全財産を毟り取られるどころか

借金を背負う羽目になり

会社も辞め、この世界に足を踏み入れた。


馬鹿な女。


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