無題Ⅱ
「例えばそれはどんな努力も高徳も小賢しいと焼き切るくらいもの凄い力で燃え盛っているから一等崇高で平等なんだ。見ようと思えばどこからでも、誰の目にも見られる。あれはそんな光を知っているからどこか信頼がある」
老爺は言った。そしてこちらの言葉を待つように黙った。
自分にはそれに迎合する言葉も、異論する意地も持ち合わせていなかった。カウンターの砂時計の砂が静かに尽きるのをただ視界の端に映していた。最後の砂の一粒が沈んだあと辺りはことごとく静寂に帰した。身じろぎすれば軋んで音を立てそうな窮屈が両者の間に立った。自分は昏い老爺の視線にじっと耐えた。