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7.出立にゃ

 ケットシーの人達は宴会が好き。

 それこそ、宴会の為に生きているとしか思えない程に毎日お酒を飲んでいる。

 子供の頃からお酒を嗜み、大人になると樽で飲む。

 私には考えられない世界だった。


 そして、私が寝る場所は相変わらず猫神様の胸元だった。

 別にエッチな事を期待したとかは無く、独りぼっちの私を妻と言ってくれるのが嬉しかっただけ。

 ただ、言葉に酔っていると言われればそれまで話。

 家族なんてものに憧れている私にとっては、この村に居るのが幸せな事だとはわかっている。

 それに魔法使いにしてくれた猫神様への感謝の気持ちだってある。

 ついでに言うと、触り心地が気持ち良すぎると言う事もある。


 じゃあ、何かお礼をしたいと考えた。

 色々考えたけど、やはりポーションを置いてゆくのが一番皆が喜びそうだって結論に達した。

 空になった酒樽が大量に余ってるのをみて、覚えたての魔法で洗浄。

 さらに魔法で水を召還して水樽にした。


 綺麗な水に対して魔力譲渡の技能を使えば、かなりの高純度のポーションが作れると言う事が分かっていた。

 以前にもやった事がある手法で、パーティに入る前はそれで生活費を捻出していた。

 というか、荒稼ぎをしていた。


 その売り上げを目的にパーティに入ってほしいと言われた事がある位で、当時は年齢の関係で断れた。

 パーティに入ってからは誰にも見られない所で、水汲みのついてにこっそりと作るくらいだった。

 そんなおきて破りの作り方がここで役に立つのは嬉しい限り。


「何をしているニャ」


 タイミング良く、ナーゴが見に来てくれた。


「これね、旅に出る前の置き土産。必要になったら飲んで欲しいの」

「この匂い、ポーションかニャ!?」

「うん、二十樽程で足りるかな」

「十分ニャ、これだけあれば十年は戦えるニャ」

「よかった」


 これで、私は旅に出れる。

 旅の目的は、気持ちの整理。復讐もその一つ。

 ギルドの再登録、冒険者として少しは活躍してみたい。

 ついでに、着替えの調達。

 数え上げるとキリがない。


 そして、猫神様とミーちゃんに出立する事を伝えた。

 その時、同行者としてナーゴを連れて行くように言われた。


「どうしてナーゴが同行者なの?守りの要じゃないのかな?」

「この村は当分安全ニャ。ナーゴはお目付け役とボディーガードニャ、浮気は許さないニャ」

「あはは、大丈夫ですよ~、もてませんし」

「あと、発情期は気を付けるニャ、その時になったら、ナーゴに魔力を注ぐといいニャ」

「はぁ、発情期、あるんですね、わかりました」


 モテないと言っても、バルドさんに口説かれたのはモテた内に入るのかな?

 ん~、無かった事にしよう。そうしよう。


「あと、質問いいですか?」

「いいニャ。嫁の聞く事は何でも答えるニャ」

「魔法の手加減どうするの?できれば人並みの威力にしたいの」


 流石に私の身長程の太さのファイアーアローって意味わかんないよね。

 下手したら大魔法と認定されかねない。

 人間相手に使うには躊躇しちゃうのよ。


「できるニャ」

「どうやるのですか、教えてくださいっ」

「魔力の流れを制御するニャ──」


 要約すると、他人に魔力を供給する時、私は無意識に相手の最大量を考慮してたみたい。

 その調節を魔法にも使って、流し込む魔力を少なくしてあげればいい。

 なるほどね?

 全然わからない、あっはっはっは。

 無意識にコントロールしてたモノを意識してなんて出来ないよっ。

 結局、訓練していくしかないって事だそうです。


「じゃあ、もう旅に行っていいの?」

「明日出発するといいニャ。森を出た所まで送るニャ」

「ありがとう、猫神様」


 翌日、朝ごはんのねこまんまを食べてから、猫神様の魔法で森の外に送って貰った。

 視界が歪んだと思った時にはもう、移動しているんだから凄いよね。


 ミーちゃんが別れ際に『絶対帰って来るにゃ』って言ってくれたのが嬉しかった。

 村人の皆も、手を振って見送ってくれた。

 家まで用意され、私の帰る場所があるって事が何よりも嬉しかった。

 いつか帰る事を心にきめるに、十分のもてなしだった。


 私は外套のフードを深く被り、猫耳を隠した。

 さらにフードが簡単に取れない様に、口元も隠す。

 これで露出してるのは目元だけ。完全に怪しい人になっちゃったよ。

 ちなみに、尻尾はシャツの中に入れたままにした、そのせいで背中がもぞもぞするのは妥協した。


「じゃあ行こう。ナーゴ」

「ニャ~」


猫の森よ、さようなら。

帰ってくるのは最終回付近になるのかも。

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