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食堂での出会い?

「やめなさい!!」


 そう声を張り上げたのは、薄い青色の長い髪を、後頭部で纏めただけの女生徒だ。

 背は天城より低いぐらい。青色の目をしており、多くの男性が道ですれ違えば振り向くであろう容姿をしている。


 そのどこか威厳のある女生徒の登場に場は静まり返った。若干2名を除いて。


「神崎・・・」


 安藤が低い声で呟く。その声は恨みが篭ってるのか、今までよりも低い。

 だが頭にはまだわかめうどんが乗っている。


「安藤か・・・ここは食堂だ。戦いたいなら訓練場にでも行けばどうだ?」

「わかめちゃん・・・」

「げほっ!」


「うるせーよ神崎。お前にゃ関係ないだろ。」

「いや関係ある。ここは私の学び舎だ。そんな場所で不当な暴力を働く輩を見過ごすわけないだろう?」

「あぁ怒られてるからかわかめちゃんのわかめが少なくなっていく・・・」

「そういうの真面目な顔で言うなよナオト・・・ぶっ!」

「ここはお前だけの場所じゃないだろうが!」

「それはその通りだ。だ「吹き返したからかわかめが増えたぞ!」「そんなわけ・・・増えてる!?」うるさいわよ!私が話してるでしょ!?」


 さすがに見かねた神崎と呼ばれた女生徒が声を荒げるが、二人はまだ笑いのツボから抜け出せない。


「コホンッ!良いか?とにかくだ「いや真面目な話する前にちょっといいか?」・・・なによ?」


 空気を変えようとした直後、天城が会話に割り込んでくる。

 怪訝な顔をしながら彼女が天城を見ると、彼は指差してある一点を指す。

「あれが頭の上にあるのに真面目な話は締まらないんじゃない?」


 そう言われて、彼女は天城が指さした場所、具体的には安藤の頭の上を見ると、そこにはまるでそこが自分の居場所だと言わんばかりに鎮座するわかめうどん。


 それを彼女は凝視してしまった。


「・・・」

「あれよく見てみるとな、たまに増えるんだぜ?」

「・・・そんな訳無いでしょ。」

「いや見とけって。なあわかめちゃん?」

「誰がわかめちゃんだ!ブッころすぞ!」


 安藤が大声を出せば体が動く。その衝撃で、頭の上の物体が揺れる。

 結果として


「ほら増えた!」

「本当に増えたわっ!?」

「増えるわけねーだろお前らァ!だいたいこれはお前のせいだろうが天城ぃ!」

「え?確かに頭の上に落としたのは俺だけど、今までに取る機会はあった。それなのに取らなかったのはお前だろ?つまり・・・」


 そこで一泊置いた天城。その言葉に我が意を得たりと忍が声を上げる。


「なるほど!実は怒ってるふりをしながら内心おいしいとか思ってたわけか!」

「そういうことだ。いや俺も安藤がそんな体を張ってまで笑いを取りに来るなんて・・・安藤・・・やりおる!」

「ふざけんじゃねぇぞてめえらぁ!」


 安藤は今更ながら頭の上にある物体を床に叩きつけた。そして天城と忍は目を見開く。

 女生徒は笑いを堪えてるのか明後日の方向を向き、口元に手を当てているが、その努力は次のふたりの言葉で無駄になる。


「「安藤ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

「くふっ!?」

「おい!?」

「あぁ安藤、こんな姿になっちまって・・・お前は!女子の髪の毛になることが夢じゃなかったのかよ!?」

「ちょっ・・・」

「わかめちゃん!安藤になんてことするんだ!?安藤はなぁ、安藤はの夢は・・・クソッ!」

「も・・・やめて・・・」

「やめろ!ノブ!あいつはもうわかめちゃんなんて生易しい存在じゃねぇ・・・奴は安藤を殺した、ただの殺人鬼だ!」

「ふふっ!あははっ・・・」

「くっ・・・安心しろ安藤。お前の敵は必ず打ってやる。手伝ってくれるな?ナオト!」

「当然だ!安藤の敵・・・ちゃんととってやろうぜ!」

「ああ、行くぜ・・・。うおおおおおおおお!!」


 そして彼らは駆けていく。食堂の出口に向かって。


「「俺たちの戦いはこれからだ!!」」


 そのまま彼らは食堂を猛スピードで後にするのだった。

 あとに残るは、呆然とする生徒たち。憤然とする安藤。そして大声で笑う最初の威厳がどこかに消えた女生徒だけだった。

ストックが溜まれば明日。

頑張ります。

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