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普通科

「魔法とは、自身の中にある魔力を外に放出する際、自身の適性に合わせてその属性が変化するものです。威力をあげたり、形を変えたりできるのは、魔力をいかに上手に操作できるか、魔力量が多いかが鍵になってくるわけです。」


天城のクラスで教師が魔法についてを語っている。

だが、彼のクラスの全員が話半分でしか聞いていない。

それもそうだろう。彼らはその属性変化の適正や、魔力量が少なかったりするから普通科(ノーマル)に所属しているのだから。

自分にできないことを、どれだけ説明されたところで出来はしない。それなら自分たちでもできる方法で身の護り方を教えろ。と思うのは仕方のないことだ。


「・・・少しは真面目に授業を聞いたらどうですか?これはあなた方のために行われているものなんですよ?」


教師の言葉に生徒の大半が面白くなさそうな顔をしている。

誰しもが、話を聞いただけで戦えるなら話を聞いてやる。といった雰囲気を醸し出す。


そんな中一人だけ教師の発言を真剣に考え込んでる生徒がいた。

「(魔法の威力を高めるのに、魔力の操作が関わってくるのか?だったら魔力量が低くても戦う術があるってことだよな?なら、今俺がやってることは無駄にはならない・・・はず。)」


普通科のクラスで真剣に強くなることを考えるような生徒は天城一人しかいない。

天城は今一つの魔法しか使えない。


その魔法は『気弾(バレット)


魔力の塊を前方に飛ばす魔法だ。

この世界では不遇の扱いを受ける、唯一の無属性魔法だ。

なぜ不遇の扱いを受けるのかというと、単純にこの魔法は威力が出ない。わざわざ魔力を使って、この魔法を使うくらいなら、普通に銃を撃ったほうが良いと呼ばれるほどだ。

その上天城は、ある条件付きでなければこの魔法を使えないという、普通科(ノーマル)の中でも、残念仕様である。


当然それだけじゃ戦えない。そこで天城は『身体能力強化』の魔法を身に着けようとした。


だが、その為の努力は身を結ばなかった。


そもそも、『身体能力強化』の魔法は使えるものなら子どもの頃から使えるような、それこそ戦闘科(アサルト)に所属している生徒なら全員使える魔法だ。

それ故に、その魔法が使えないものは遠距離から魔法を使えるものを除き戦闘科(アサルト)には入れない。


だからといって諦めたわけではない。ある日突然戦う力を身につけたものが、そのまま窮地を乗り切り英雄となった。なんて話は過去にもある。


もちろん、突然そんな力が沸くとは天城は思ってない。

だから天城は切り口を変えた。『身体能力強化』の『魔法』が使えないなら、魔力を操作して身体能力を向上させる。という方法を試しているのだ。

その結果は天城は未だ普通科(ノーマル)に所属しているということだが。

使えるものには息をするように使えるのだから、わざわざそんな事をしないし、使えないものは諦めている。こんなことを試しているのは天城一人だけだ。


「いいですか?あなたたちは戦えない。でも、いつか戦えるような力が身につくかも知れないわけです。その時のために知識を蓄えておくのは重要なことですよ?天城さんを見習いなさい。真面目に授業に取り組んでますよ?」


急に名前を呼ばれて天城は意識を教師に向けた。

別に天城は授業を聞いていたわけではないが、教師の目には、自分の言葉を真面目に反芻している生徒として写ったようだ。


だが、生徒たちにはそんな言葉は響かない。それどころか鬱陶しいと言わんばかりの目を教師に向ける。


そして、そんな態度に物言おうと教師が口を開きかけたとき授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。


「はぁ・・・いいでしょう。今日はここまでにします。」


教師ため息を付きながら教室を後にした。


残った生徒たちはやっと終わったとばかりに、ざわつき始める。

それらを視界の端に収めながらふと窓の外を見ると空は灰色の雲で全て覆われていた。


続きは明日

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