始まりの学園、天樹直人
多くの人に読んでもらえるよう頑張る所存。
更新速度はストックが貯まれば、なので不定期。
「おらぁ!!」
少年は頬を殴られ尻餅をついた。
そんなを少年見下しながら嗤うのは少年の同学年だ。
「調子に乗ってんじゃねぇぞ、凡人」
黒を基調として、赤いラインが両肩から日本したに入ったブレザーのような制服を着ている男と、
同じ制服を着て、取り巻きのように後ろにいるふたりの男。
それに対して、尻元を付きながら悔しそうに見上げている少年は、
黒を基調としているが、白いラインの入った制服を着ている。
制服のラインは学年を表すものではなく、
所属するクラスを分けるものだ。
つまり、彼らと少年は同じ学園に所属しているが、
クラスは別々。そしてそれほど交流が盛んではない。
むしろ普段は関わることはないので怒らせることはない。
それが何故、殴られたかというとこいつらが不良だから。ではない。
この学園において彼らと同じ制服のやつらは、大体こんなものだ。
そして彼らを咎めるやつは多くない。
この国が、いや
世界が大きく変わったらしいこの世界では。
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世界は以前と大きく変わった。
変わった。というよりは一度滅んだと言い換えてもいい
『代行者』
そう呼ばれる存在が、この世界に突然現れた。
その存在は人とも獣とも呼べない姿をしていた。
代行者は現れたと確認された後、すぐに行動を移した。
人を殺し、その肉をくらった。
銃も通用するし、爆弾も通用したのだが、奴らの数は多すぎた。
しかも、その中には圧倒的な硬さを誇り、銃弾は弾く個体もいた。
極めつけはやつらは火を吹き、雷を落とし、水を操り、土を隆起させ、嵐を起こす。
天災をその身に宿したものが大群で押し寄せてきたのだ。
人の領域を我が物顔で蹂躙し、多くの人が命を失った。
―自分たちはここで消える。―
そんな思いが共通認識になった。
だが誰もが諦めそうな時にそれは起こった。
そんな化物を見たこともない力で倒す者がいた。
そのものが使った力が『魔法』と『魔力』。
その人は代行者に似た力を使い戦った。
それだけでなく銃も効かない化物相手を素手で殴り倒したりもした。
そして、その人に感化されるように、魔法を行使できる人はその数を増やしていく。
魔法を駆使し代行者を狩る姿は人々に希望を与えた。
だが、そんな力を使っても、奴らを殲滅するにいたらず、人はその数を半分ほどに減らされ、比較的被害の少ない都市に移住することを余儀なくされた。
移住を拒否した人もいたが、その人たちが今どうなってるかは、誰にもわからない。
大陸が大きく形を変え、人の住める土地が大きく減ったこの世界では。
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さて、そんな世界で彼、天樹直人は学園に通っている。
なお、彼らの世界は人が住めなくなるほど荒廃しているわけではない。それなりに暮らすには十分な物資が存在している。
だがそれも、人の数が大きく減ったことが原因で、ある程度不自由ない生活ができているだけだ。
代行者に占拠されている(と言われている)場所を少しづつでも取り戻さなければ次第に物資も底を尽き、今ほどの暮らしはできなくなるだろう。
だからこそ彼らは、生き残る、或いは、代行者を倒す力を得るためにこの学園に通う事になる。
なぜなら、この学園の創設者が、「いきなり戦えと言われて戦えるものはいない。だから、来るべき時のために戦う力を身につける場所は必要だ。」という理念の元に作り上げたのがこの学園だからだ。
その考えは間違ってない。
誰だって「君には戦う力があるから戦え」。なんていきなり言われても無理だろう。
だからその考えは当然なんだろう。
だが・・・
「お前らみたいに戦う力のない奴らは黙って俺らに従えばいいんだよ。」
そう、天城に戦う力はない。
魔力が無いわけではないが、その量が少ないし、魔法を使おうと思ってもあるひとつの魔法しか発動しない。
天城のような人は多いし実際何かあったとき生き残るには、彼らの力が必要になるだろう。
だから彼らの言うことはあまり間違ってないのだが・・・
「お前らみたいな戦うことしかできないバカに従ってたら結局死ぬだろ。ちったー考えろ脳筋。」
言い返してしまう。
戦えないから従えというのがどうしても理解できない。
才能を持って産まれてこなかったから従うというのが俺の人生なら、そんなものに価値があるのかとという考えが天城の頭に浮かんでくる
だが、相手に天城の事情など関係なく馬鹿にされたのがお気に召さなかったのだろう。
額に青筋を浮かべて俺に近づいてくる。
そして天城の顔めがけて蹴りを入れてきた。
「ぐっ!」
天城は尻餅の状態から為すすべもなく、鼻血を出しながら仰向けに転がった。
「雄也くん、こんな奴に構ってないでそろそろ行こうぜ。授業始まっちまうよ。」
「そうそう。言っても分かんない馬鹿なんだから、どうせどっかで野垂れ死ぬよ。」
取り巻きの二人がそんな言葉を言ったが、納得していないのか、言われた男、安藤裕也は、つまらなさそうな顔をしている。
そのままを天城を睨みつけたが、これ以上は不毛と思ったのだろうか、なにも言わず去っていった。
そして三人が消えた中庭で天城は仰向けのまま呟く。
「野垂れ死ね、とかおまえらが言っていい言葉じゃねぇだろ。」
そう呟いた彼の目には、灰色の雲が青い空を塗りつぶすようにゆっくりと流れていく。
頑張っていきます。
続きは明日投稿します。