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勇者の紋章  作者: 斎藤雨
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日常パート終了のお知らせ

書き進めていたら止めるところを見失い、予想以上に長くなってしまいました。

無念です。

気が付くと、そこは暗闇の中だった。

何も見えない。

意識もまだはっきりしていない。

とりあえず、冷静に、現在自分が置かれている状況を確認しよう。


俺は今椅子に座っている。

肌触りから、どうやら普通のパイプ椅子だ。

俺の家にパイプ椅子なんて置いてない。

どうやらここは、少なくとも自宅ではないようだ。


腕が後ろに回った状態から帰って来ない。

手錠を掛けられているようだ。


足が動かない。

椅子の足に固定されている。

こっちは恐らくガムテープ。


声が上手く出せない。

口に何かが巻き付いてる。


視界が真っ暗だ。

どうやら、暗いのは空間のせいじゃなく、俺の目が覆われているからだったようだ。


なるほど、つまり、拘束されてるな、俺....


やばいやばいやばいやばいやばいっ!!!

何だ?何がどうなってこんな事になったんだ!?

さっぱり状況が呑み込めない!

今日は一日変なことが続いたけど、ぶっちぎりでヤバい案件じゃないか!

冷静になんてなれる訳がない!

何かの犯罪に巻き込まれたのだろうか!?

いや、俺が最後に見た光景を思いだせ!

確か、身体測定を受けていて....


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺の番が回ってきた。

記録用紙を回収するだけにしてはやけに時間が掛かった気がする。

中からは複数の人の気配。

何だか嫌な予感がするが、後ろにまだ列が続いているので、とりあえず中に入ることにした。

前の人に倣ってノックをする。

部屋に入る前はノックをする、常識である。


「どうぞ...」

声に応じてドアを開けると、そこに待ち構えていたのは5人の男女。

皆一様に白衣を着用しているので、さっき体育館内にいた検査員と同じだ。

しかし、様子の違う人がいる。


向かって一番左側に座っている男性。

どう見ても日本国籍じゃない褐色の肌に、どんなスポーツでも活躍出来そうなガタイ良さ。

その上さらにサングラスを着用している。

何というか、全体的にキャラが濃い!


だが、まあ、理解出来なくはない。

人を見た目で判断するものではないからな。

見た目が怖いからと言って、そんな偏見を持ってはいけない。

人を見た目で判断する奴は最低だ。


この人も白衣を着ているのだし、検査員の一人なのは確かだろう。

だからこそ分からない。

脇に一人で立っている彼女は一体何なのか?

彼女は、あろうことかメイド服を着用していた。

何故メイド!?

これを見たはずの先の人たちは何も思わなかったのだろうか?


混乱している俺の下に、メイドさんが声を掛ける。


「お預かりします。」

「え!?ああ、はい。」

記録用紙、そもそもこれを回収するという話だった。


目的を終え、後はこの場を立ち去るだけだ。

しかし、全く理解が追い付いていない俺の頭に、更なる衝撃が襲い掛かる。

人にばかり気を取られて見逃していた、普通なら見逃すはずのないものを。


それは部屋の中央に設置されていた。

否、突き刺さっていた。


そこには、一本の剣があった....


剣!?何で!?剣が突き刺さってる!?


ここまで来るともう訳が分からない。

完全に思考がフリーズしている俺に、真ん中に座っていた女性が声を掛ける。


「どうかなさいましたか?」

「えっ!?あ、いや、大丈夫です....」

何が大丈夫なのだろうか....


「えーっと...、これは一体?」

「引っ張って頂いて結構ですよ?」

はあ!?これを引っ張れと?何のために?


「これも健康診断の一環ですので、ご協力をお願いします。」

「はあ、じゃあまあ、やりますけど...」

頭はまだ混乱したままだが、俺は剣の柄に手をかける。

少し上に持ち上げようとすると、意外と重いようで、簡単には抜けないようだ。


まあ、良いか。

もう頭がついていかないし、さっさと終わらせて帰ろう。


考えることを放棄して、剣の柄を両手で掴み、一気に上へと引っ張った。

すると...


「えっ!?」

何故だろうか、先程感じたはずの重量を感じることもなく、剣はするりと抜けてしまった。


「えーっと...、すみません、何か、抜けちゃったみたいなんですけど...」

その場にいた全員が、目を見開いて固まっていた。


「あの...」

俺が声を掛けようとした瞬間、さっきの女性が口を開いた。


「か....確保――――――っ!!」

その掛け声の直後、止まっていた時間が動き出したかのように、全員が一斉に俺へと飛び掛かってきた。

俺の記憶は、そこで途切れた......


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そうだ、確かあの5人組に...ってことは、これはあいつらの仕業か!?

何のために?いや、そもそもあいつら何者!?


と、俺が考えを巡らせている所に、コツコツと足音が聞こえてきた。

どうやら、耳と鼻は塞がれていないようだ。

あの時はそんなに気にならなかったが、この強い香水の匂いは、恐らくあの時真ん中に座っていた女のものだろう。


口の拘束が解除され、女が声をかけた。

「目が醒めたようだね...」

「あ...あんた、あの時のおばさんだろ?一体どういうつもりでこんな...」

俺は、腹部に激痛を感じ、次の言葉を口にすることが出来なかった。


「ぐっ、う、おおおっ...!?」

蹴られた。

しかも、ハイヒールで!


何考えてるんだ!?ハイヒールは凶器になるって知らないのか!?


少しも手加減するつもりが無いような、強烈な蹴りだった。

「んー?よく聞こえなかったなぁ?もう一回言ってもらえる?私が、なんだって?」


こいつ、そんなに若さが妬ましいのか?

いいだろう、そんなに聞きたければ、もう一度言ってやろうじゃあないか!


「あ...あなたは、あの時のお姉さん(?)ですよね?状況が良く分からないのですが、お教え頂けないでしょうか?」

この状況で強気に出られるほど、俺の心は強くないのだった。

仕方ないよね、こんなの反抗のしようがないもの...


「ふぅん、もっと反抗するものと思っていたけど、見た目の割りに小心者だね...」

「ほっといてくださいよ...」

外見の事には触れないでほしい。


目隠しを外され、彼女はさらに言葉を重ねる。

「改めまして、さっきぶりだね、天音勇くん。私は魔界侵攻対策局の副局長を務めている、花菱奈々(はなびしなな)だ。大変勝手ながら、君のことを拘束させてもらったよ。」

「は?」

魔界侵攻?


彼女が続けて口にした言葉は、耳を疑うものだった。

「単刀直入に言おう。天音勇くん、君には勇者になってもらいます!」


残念です。

私は日常系が好きなのです。

しかし話が進まないのは宜しくありません。

前を向いていきます。

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