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第一話 夜景の少女
私は、夜闇にまぎれて歌う姿が似合うと言われた。
それもそうだ。
私は、かつて父が暮らした国の震災祈念の祝辞の名・『ルミナリエ』にあやかり、ルミナリアと命名された。
「こんどは、どんな本を読もうか・・・」
父は、「地球」という世界の知識を大量に持ち込み、科学長官に就任している。
時々、おかしなものを作る。
ふと、私は家にも学校にももう知識の糧とすべき書物がないことに気付いた。
「じゃあ、私が好きなWeb小説の話をしようか。題は「魔導師転生」という。もちろんフィクションで、実話ではないが・・・まあ、主人公は「地球」から転生した引きこもりだった男だが・・・」
ラーデウスは、右手に魔法力を集中させた。
「もっとだ・・・もっと・・・」
そして、解き放つ。
ドウッ!
放たれた巨大な水球は、家の壁を破り大穴を開けた。
「や・・・やべ・・・」
それから、家庭教師をつけ、魔法の修行に励む・・・
そして・・・師に導かれ・・・外の世界を観る・・・
前世以来、観る事のなかった外の世界を観たのだ・・・