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THE MANZAI20014 決勝 グループB第一組

グループA最終組で、優勝候補のI・Wハーパーは、シーシェパードの野上のフェティッシュ過ぎる長ツッコミに対して常に斜め上から振り落とされる鎌倉のボケとのクッキリとしたコントラスト漫才で、観客のこれまで経験したことのないようなファンタジーな世界へと連れさった。


そしてグループAの結果は


四畳半兄弟 0票

プラスティックトゥリー 2票

至近距離 3票

I・Wハーパー 5票


接戦を制したのはI・Wハーパー。

さて、次なるグループBは、東京よしもとの異色コンビChileから始まっていく。

Chile(東京よしもと)


箔座麟太(33)ツッコミ担当

ちゅうきち(31)ボケ担当

BGM

箔座「Chileです、よろしくお願いします」

ちゅうきち「あるお店の食べ歩きにハマってましてね、今メチャクチャ流行ってるらしいんですよ、ええええ」

箔座「はじめて聞いたな、どんな店だ」

ちゅうきち「その流行ってる店というのが、ラーメン店なんですけどね、ええええ」

箔座「はじめて聞いたな、どんな店だ」

ちゅうきち「聞くところによると、店というよりラーメン自体が流行ってるみたいでして、ええええ、いろいろありますもんね~」

箔座「もしかして業界全体の話しなのか?」

ちゅうきち「え~、はいはい」

箔座「新規の話しじゃねえのかよ。ラーメンの業界全体はもうすでにひろく認知されて久しいんだよ。その中で細分化されたもののごく一部だけがたまに流行りの新規ラーメンとして取り上げられんだよ」

ちゅうきち「その中で実は特にお気に入りのラーメンがありましてね」

箔座「どっちなんだよ。やっぱあるんじゃねえか」

ちゅうきち「え~え~。ラーメンといったらスープが黒っぽいのがふつうじゃないですか」

箔座「一概には言えないけど醤油ラーメンにおいては大体そうだよ」

ちゅうきち「ですよね~。でも、ワタシが今食べ歩いてるラーメン店は、なんとなんと、どれもスープが真っ白なんですよ」

箔座「豚骨ラーメンか」

ちゅうきち「ご存知でしたか~、豚骨ラーメン」

箔座「何だこの会話、初歩的すぎるぞ。豚骨ラーメンなんて大分昔にスタンダード化されてんだよ」

ちゅうきち「この前カウンターから厨房を覗き込みましてね、作ってる様子をじ~っと観察していたんですよ」

箔座「よく怒られずにすんだな」

ちゅうきち「バレました~、みっちり怒られちゃいましたよ」

箔座「大体ラーメン店なんてのは細かいとこで競い合ってんだ、企業秘密を覗いたらルール違反で店出されて当然の世界なんだよ」

ちゅうきち「最初のほうは何も言われずにすんでたんですけどね~、カウンターの丸いイスがありますよね~、アレに足乗せて立ち上がって覗いたんですよ~」

箔座「そんなことしたのか。例えラーメン店じゃなくても出されんぞ。非常識だなお前」

ちゅうきち「ええええ、よく見えなかったんですよ~。ルール違反だ、出てけーって言われちゃいましたよ~」

箔座「お前の場合は二重で違反だよ!」

ちゅうきち「こだわりが凄いですね~」

箔座「そこで競い合ってるからな、平凡な店はすぐに潰れるくらい厳しい業界なんだよ」

ちゅうきち「ビックリしましたよ~、ご存知でしたか、麺って。あれ湯がくんですね~」

箔座「こっちが驚きだわ、湯がかなかったらどうやって調理するんだよ」

ちゅうきち「更に驚いたのは、踊るんですね~、麺って湯がいてるとき」

箔座「何なんださっきから幼少体験か!ラーメン以前だわ。お前に任せてても拉致あかねえよ、いっかい話し代われ!まず料理の基本は塩だ。意外かもしれないが今やスープの優劣なんてそう大差はないんだ、どこの店もこだわりが凄いからな、そこで当然調味料にこだわった店だけが生き残る」

ちゅうきち「難しいですね~」

箔座「厳しい戦いなんだよラーメン店ってのは、そこでどの塩を選んでいくかがポイントとなってくる、今だったら断然岩塩だ。昔に比べて流通も盛んだし何よりラーメンとの相性がいいんだ、その中で、どこの産地を選ぶか、そこに全てがかかってくる。岩塩でもっとも有名な産地はヒマラヤ産だ、確かに美味しいし仕上げに上から振り掛けるならばほんのりピンクに輝いて美しい。ただし有名なぶん味も知られていて特徴が出しづらい、そこでインド産のブラック岩塩だ。基本的にまろやかな味のする岩塩の中で岩塩とは思えないほどの強烈な個性を持っている、コレを黒胡椒の代わりに仕上げに振りかけて完成だ」

ちゅうきち「難しいですね~」

箔座「そうだ、この微妙な選択のバランスが少しでも狂っちまうとお客にはウケないんだ」

ちゅうきち「やっぱ難しいですね~、話しが専門的過ぎてさっきから何言ってるのか全然理解できてないですよ~」

箔座「そういう意味だったのか!確かにお前にはマニアック過ぎるとは思ったけども、どこが一番わかんなかったんだ」

ちゅうきち「ええええ。それはですね、あの~、塩ってなんですか?」

箔座「そもそもだな!言わなくてもわかるやつだぞそれは。どうやらいちから説明しなきゃなんないようだな。」

ちゅうきち「そこんとこヨロシクです~」

箔座「海ならわかるだろ」

ちゅうきち「えっ?」

箔座「まさかそれもわかんねーのか!ソコ説明に入ると逆にややこしくなるぞ」

ちゅうきち「わかんないのでおヒトツおねがいします~ええええ」

箔座「普段暮らしている場所から離れていくと青~く広がった場所にたどり着くだろ」

ちゅうきち「ええええ、ちょっとイメージできませんですね~」

箔座「一度くらい見たことあるだろ、お前出身何処だ?」

ちゅうきち「ええ、群馬でして~、実はワタシ群馬から一度も出たことがありませんです、ええええ」

箔座「嘘をつくな!ここお台場だぞ。そうだ、お前スタジオ入りするとき見てるはずだぞ、このスタジオは海に囲まれてるんだよ」

ちゅうきち「ああ見ました見ました、あれが海だったですか~、だとするとあれですね、海とは地表をおおう陸以外の全体の約7割を占める場所の名称なんですかね」

箔座「なんなんだその覚え方、そんなややこしい覚え方お前以外誰もしてねえぞ、だいたいそんな表現耳にしたのは中学のころの教科書以来だわ。だけどたどり着いたんだからまあいいや、その海の水を煮詰めてできた白い結晶が塩だよ」

ちゅうきち「それは~、密売しないと手に入らないものなのでしょうか~」

箔座「シャブじゃねえんだよ!別に所持してても問題ないやつだよ」

ちゅうきち「でも誤認逮捕されないかが心配ですね~」

箔座「そんなことになったら主婦が日本中から消えちまうぞ」

ちゅうきち「えっ?」

箔座「だいたい主婦が家庭で塩を切らしたらスーパーで1キロくらいのを買うんだよ。その度に日本全国の万引きGメンがあたかも麻薬Gメンみたいに日本中の主婦取り押さえられたらどうすんだよ」

ちゅうきち「主婦は消え、国は滅びますね」

箔座「塩なんて堂々と売られていいもんなんだ、心配すんな。塩の説明はこれくらいでいいだろ」

ちゅうきち「ええ、ようやく理解できました」

箔座「お前に喋らせるとキリがなくなるんだよ!俺が喋るからいっとき口塞いどけ!ラーメンといったらやっぱり麺だ。麺類は一般的に小麦を使ったものが主流で、ラーメンの麺も小麦粉を練ったものだ。ただし、こだわりのあるラーメン店は麺の原料の配合にこだわり抜いている、そしてその上をいくアイデアを俺は考えた。このやり方で俺はラーメン界に旋風を巻き起こすつもりだ。金太郎飴は知ってるだろう、あれは最初顔となるパーツのそれぞれの色彩の飴を大きな塊のままおおよその顔の配置を予測してくっつけ丸めていく。はじめは白い大きな塊だがじょじょに細長く引き伸ばされて最後には長い長い紐のように伸ばされる、表面は飴の外観となる白い飴だが、中身は顔となりゆくための原型である各色の大きな塊の隣なりあったものから、それが癒着し合ったのち縮小されそのまま金太郎の顔を留めて細長い形状へと様変わりしてゆき全体へと波及していく、この原理でつまりどこを切っても同じ顔した飴が出来上がるわけだ。これを麺に応用するのが新しいラーメンの麺にふさわしいんじゃないかと思うんだ。金太郎飴は専門技術だからそうやすやすとは作り出せない。おれは新しい麺の開発にあたって金太郎飴職人のもとで一年間働いてその技術を会得した。まず一番真ん中から、ここは麺の芯と呼ばれるところで、重要だ。ここには何とそば粉を使う。国産のそば粉を粗めに挽いていきその生地の塊をちょうど中央へ持ってくる。次に北海道産小麦粉と新潟産コメ粉をブレンドした生地、ここは芯に近いぶぶんで、やや火が通りづらいが、コメ粉をブレンドさせたことで独自の食感と粘り気を残す。そしてその外側からは何層にも分けて2種類の小麦粉をミルフィーユのように重ねていく・・・国産の柔らかい小麦と、イタリア産の歯ごたえのあって香りの強い小麦、これらを交互に、10層以上に重ね合わせていく。その金太郎飴の原型を、専門技術によってキレイな層を保ったまま伸ばしていき、さらに金太郎飴の形状よりさらに進んで、一般的なラーメンの麺として適した細さにまで伸ばしたところで完成だ。以上が麺のこだわりだ。次にスープだが・・・」

ちゅうきち「箔座さん箔座さん、ちょっといいですか・・・多分ワタシじゃなくてもついていけないレベルにまで到達しちゃってます」

箔座「せっかくノってきたところだったがな、しかし俺ひとり暴走してても仕方がない、なら、俺たち二人が交互に話していって、少しずつ二人のちょうど中間地点にまで寄せていこうじゃないか」

ちゅうきち「助かります、ええええ。食べ歩きをしている店のなかでワタシがとくに気に入っているお店が一軒ありましてね、ええええ」

箔座「いい流れじゃねえか、この調子で教えてくれよ」

ちゅうきち「ええええ、その店には画期的なシステムがありましてね、ええええ」

箔座「面白そうなだな、一体どんなシステムだ」

ちゅうきち「むしろイベントと言うべきですかねえ。ラーメンの器の中に、美味しそうな具材を乗せるんですねえ・・・ええええ」

箔座「・・・何だ、それで終わりか」

ちゅうきち「ええええ」

箔座「トッピングと言って全店共通のシステムだぞ」

ちゅうきち「ええええ、そうでしたかねえ」

箔座「お前食べ歩きしてたんじゃなったのかよ」

ちゅうきち「憧れのメニューがありましてね」

箔座「勝手に話題を変えてんじゃねえぞ」

ちゅうきち「ええええ、全部のせっていうメニューがありましてね」

箔座「変わってなかったな、早とちりしちまったじゃねえかよ」

ちゅうきち「あれはすごいですねえ、同じラーメンなのに2倍くらいの値段がするんですねえ、憧れますねえ、ええええ」

箔座「やったことないのか」

ちゅうきち「ええええ」

箔座「あれはハードル高けえんだよ、よほど常連になってからじゃねえと注文した時に店員から白々しい目で見られて食べてる間じゅう謎の気まずい思いをするだけだからな、ああいうのは3周回ったくらいにやっと注文するのが理想なんだよ。お前の頼みたかった全部のせのトッピングの種類全部覚えてんのか」

ちゅうきち「ええええ、もちろんです」

箔座「じゃあ今から全て言ってみろよ」

ちゅうきち「ええええ。中でもいちばん羨ましいのがあの、スライスハムみたいな高級感漂う無我の境地ですね」

箔座「スライスハムなんて家で袋麺を食べるときにしょうがなしに代用品で乗せるもんだぞ。あれはチャーシューって言うんだ、よおく覚えとけ」

ちゅうきち「ええええ、次に例え仲間を欺いたとしても手に入れたい魔性の剣ですね」

箔座「何を言い出すんだ急に、当てずっぽうだからな、とりあえずシナチクということにしておくぞ、いいな」

ちゅうきち「ええええ、次は手に汗にぎるイモムシ音頭ですね」

箔座「きくらげ」

ちゅうきち「クレイジーミスティックマウンテン」

箔座「煮玉子」

ちゅうきち「我が断腸の思いに耳糞ほじる」

箔座「ネギ」

ちゅうきち「安らぎの王国グレートサンダーアタック」

箔座「焼きの・・・」

ちゅうきち「ああああーーーー!ちょっとちょっと~、最後くらいワタシの口から言わせてくださいよ~」

箔座「聞きたいのはむしろこちの方だぞ。じゃあなんで言わなかったんだ、これで最後なんだな、お前ほんとに知ってんのか」

ちゅうきち「ええええ」

箔座「俺が言おうとしてたのはアレだぞ、黒くて」

ちゅうきち「ええええ」

箔座「平べったい長四角で」

ちゅうきち「ええええ」

箔座「ご飯に乗せたらバッチリ合うやつ」

ちゅうきち「ええええ、間違いございません」

箔座「いいぞ、言ってみろよ」

ちゅうきち「・・・ええええ、もうすこしヒントがいただければすっと答えられるんですが・・・」

箔座「さっき4文字ちゅう3文字まで口走ってんだ、これ以上ヒントの出し用がねえんだよ!今わからないお前に答えることなど絶対に不可能だ」

ちゅうきち「ええええ、それはやってみなければわかんないです、じゃあ箔座さん、箔座さんの考えるこだわりのトッピングを教えてください、そして最後に今のトッピングを紹介して欲しいんです、その時点でワタシ、ピンと来ていると思うんで最後にワタシに答えさせて欲しいんです、ええええ」

箔座「じゃそのやり方でいいんだな、もし無理だったとしても苦言は呈するんじゃねえぞ」

ちゅうきち「ええええ、大丈夫です、きっと思い出しますとも」

箔座「そしたらまずはチャーシューだ、素材にこだわるのはもちろんだが俺がもっとも重視するのは調理法だ。チャーシューを巻くときにチャーシューの中央にいくつかの具材を敷き詰めてからそれを包むように肉を縛るんだ。それは3つだ、フォアグラ、パルミジャニーノレッジャーノ、そしてピスタチオだ」

ちゅうきち「ええええ、つぎはつぎは~」

箔座「シナチクは竹の子のもっとも瑞々しいものを使い、煮ることはしない、調味液に漬け込んで、何度も何度も調味液を入れ替えていくことで臭みとアクを取り出し、新鮮な歯ごたえと香りのみを引き出していく」

ちゅうきち「ええええ」

箔座「きくらげとクラゲを勘違いしている情弱も多いがここはそれを逆手に取る、クラゲを燻製にしてキクラゲと同等になるまで色付けていき完成だ」

ちゅうきち「クラゲときくらげ、ええええ」

箔座「煮玉子、うずらの卵を鶏の卵の殻に注入してそれを煮玉子の調理法で調理する。サッカーボールのようなグラフィックだ」

ちゅうきち「蹴りたくなりますねえ、ええええ」

箔座「ネギは青いネギと白いネギを等分のちいさな方眼に刻み同じ比率にて美しく散らす。そして最後だ」

ちゅうきち「ええええ。来ましたねさいごさいご~」

箔座「いつもなら焼いた状態にするのだが、今回は佃煮で仕上げてみよう。漆黒の美しい宝石のようなそれは・・・」

ちゅうきち「フランスはペリゴール産の黒トリュフの佃煮ですね~はいはい」

箔座「お前最後の最後に来て急にヒトのシマで暴れまわってんじゃねえぞ!言っとくけど南仏のペリゴール地方と佃島は地球上でもっとも遠ざかった場所だからな!ダメだダメだ、どうやらお前と俺との中間地点はこの世に存在しないらしいや・・・」

ちゅうきち「箔座さん」

箔座「何だよ」

ちゅうきち「ここじゃダメだったんでもう一軒ハシゴして次のお店でやり直しましょう」

箔座「ここラーメン屋だったのかよ、もういいよ」

BGM

矢部「さあ、Bブロック一組目終わりました、感想行ってみましょう、テリー伊藤さん」

テリー「はい、ラーメンに詳しくない相方を優しく諭すように進めていく感じが、嫌な感じしなかったですねえ。ツッコミの箔座さんの食に対するマニアックさが、下手をすると嫌味なバランスに行ってしまいがちなパターンもあると思うんですよ、それをゆるい感じでうまくまとめていたかなと思いました。面白い漫才でした」

岡村「高評価ですね、良かったんじゃないでしょうか。さて次は第二組です」

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